- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784777831180
作品紹介・あらすじ
M-1グランプリ2023王者・令和ロマンの髙比良くるまがM-1と漫才を完全考察!
分析と考察を武器に、芸歴7年目の若手ながら賞レースをはじめ様々な分野で結果を残してきた令和ロマン。そんな令和ロマンのブレーン・髙比良くるまが、2015年から昨年のM-1、さらには2024年のM-1予想に至るまで、考えて考えて考え尽くした一冊。
「現状M-1に向けて考えられるすべてのこと、現在地から分かる漫才の景色、誰よりも自分のために整理させてほしい。頭でっかちに考えてここまで来てしまった人間だ。感覚でやってるフリをする方がカッコつけだと思うんだ」(本文より)
史上初のM-1二連覇を狙う著者が、新型コロナウイルス流行や、東西での言葉の違い、南北の異なる環境が漫才に与えた影響、昨今話題の「顔ファン論争」に漫才の世界進出まで、縦横無尽に分析していきます。著者の真骨頂“圧倒的マシンガントーク”は本書でも健在です。
感想・レビュー・書評
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M1の連覇を機に令和ロマンをYouTubeで見るようになり、その流れのまま手に取りました。わたしはお笑いのことはよくわからないので、果たしてこの考察がどれほど過剰なのかどうかも分かりませんが、どの人も好きなものへの考察はある程度過剰なのだと思います。成功するために苦労する必要なんてないし、仮に苦労したとしてもそれを言う必要もないです。順調にここまで有名になったように見える2人ですが、このままどんどん大きくなっていってほしいと思います。
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それまでYouTubeはぼちぼち見ていたけど、恥ずかしながら2022年のカベポが優勝したABCまで令和ロマンのネタをしっかりと見たことは無かった。
2022年のABCで令和ロマンのネタを初めてちゃんと見て、あまりの面白さに衝撃を受けた私は、それから劇場公演の配信にラジオ、雑誌とお2人の出ている媒体を追いかけまくってきた。
漫才過剰考察の書籍化が発表されてからも早く読みたい〜とうずうずしていたのでようやく読めて嬉しい。
序章から胸を締め付けられ一気読み。
文章全てがくるまさんの早口で脳内再生されて楽しく読めた。(コンボイさんの台詞はコンボイさんの声で再生された、楽しい。)
去年のM-1で令和ロマンが優勝した後に「令和ロマンはM-1優勝したというより攻略したという感じ」という旨のポストがXでよく流れてきたが、彼らがそう言われるに至ったくるまさんのこれまでの漫才分析の集積を知ることが出来る。
M-1聖書。
寄席の話などは雑誌でも言及しているのを目にしてきたが、ここまで深く広く掘り下げて知ることは出来なかったので改めてくるまさんの考えを垣間見ることが出来て嬉しい。
東西から南北、さらには世界における漫才の在り方までくるまさんの考察を読める、なんて贅沢なんだ。
本文中でも触れている通り、お笑いコンテンツが大量に増え、「お笑いを楽しむにはお笑い"しか"見る時間がない」状態ゆえに、SNSではお笑いファンから芸人が崇高な存在として扱われ、お笑いを分析するお笑いファンはまた別のお笑いファンからウエストランド井口さんよろしく叩かれ〜というくるまさんの提唱する「ベタ、メタ、シュールの三段活用」状態がまさに日々起きているわけだけど、その混沌状態を圧倒的な面白さと分析力でコンテンツ化しちゃうくるまさん、悪魔。
私は舞台に立つ人間では無いし、ネタを見る時に「ほうほう、これは西のお笑いがベースになっているなぁ、おっとここで裏切るのか!」みたいな分析する楽しみ方は出来ないタイプなのでこの本の内容を知ったところでお笑いに対する姿勢が大きく変わる訳じゃないけど、これだけ密度の濃い考察内容が書かれていて、読者が読後お笑いに対して身構えずに済むのは一重にくるまさんの文章が面白すぎるおかげだと思った。
お笑いを見る側が考察する余地なんて無いくらいに面白い。
お笑いという漠然とした形の見えないものを分析し、言語化し、輪郭づけ、さらに分かりやすく面白く書かれていてすごかった。
粗品さんとの対談もよかった。
粗品さんがラジオとかでたまに見せるめちゃくちゃアツい部分も伺えて嬉しい。
お笑いは諸行無常のコンテンツ、常に流動していて、飽きることは無いけれどその分気疲れすることがごくたまにあるから、くるまさんが「映画や料理と同じように、(お笑いに)正解の感じ方はない」と書かれていることに救われた。
今年の決勝も楽しみ〜(;_;) -
松本人志と引き換えに、今後のお笑い界をひっぱる神的な存在が現れた。それが高比良くるま。
去年の時点で思っていたけど、今年の決勝を目の当たりにし、極め付けにこの本を読んで、もはや確信した。この本も、まっちゃんの『遺書』のように、この後出てくる全ての芸人が通る本になるんじゃないだろうか。
いや、ここまで考えなきゃだめなのか、と芸人志望の若者を絶望させる、悪魔の書になるかもしれない。YouTubeで見る1.5倍速ですか?と思うくらいの圧倒的な早口が脳内再生される文体で、M-1のこと、漫才のことがクレバーに立て板に水で分析されていき、しかも合間のボケや例えも面白いと来ちゃ、もう誰も敵いませんよ。
次のM-1チャンピオンには、「ハッピー感」、「愛され力」「パワー」が必要と分析され、見事データ型にも関わらず全てを兼ね備えた令和ロマンが優勝したわけだけど、2026年、この焼け野原で次のチャンピオンになるには何が必要なんだろう?リアルタイムでずっと分析を発信してほしいくらいだ。
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2023年のM-1で優勝する前くらいから令和ロマンが面白すぎると思っていたが、その面白さの裏にはここまでの考察があるからなのだと明確に理由がわかった。
さらに2024年も優勝して考察と実力が本物だということを証明した。
以前NONSTYLEの石田さんの漫才の分析の本も読んだから、2人の対談も見てみたい。 -
2023・2024M-1を連覇した令和ロマン 高比良くるまによる漫才の解説本。
冒頭、くるまの「全てに流されて生きてきた。確固たるものを持たずに大人になってしまった。」という一文からはじまるエッセイで、自身が過去に大きな成功体験も失敗体験もなく現在に至ることに対してコンプレックスを持っていることが吐露される。
そして、なかば偶然的にM-1に導かれたことで、「自分の役割はM-1を盛り上げること」だと強烈に自覚したことで、M-1と漫才の分析を始めたと述べる。
宣言通り、本書の内容も、新M-1(2015〜)のトレンド分析と2023年の自分たちの勝利要因の考察という前半と、漫才自体の分類・分析をする後半に分かれている。
内容は面白かった。
個人的には漫才が好きで、M-1当日は一日予定を空けておいて敗者復活から通しで集中して見るし、YouTubeに上がる三回戦以降のネタ動画は全てチェックし、めぼしい組の仕上がりを確認するぐらいには、楽しみにしている。
本書の内容を読んで、なぜ年によって盛り上げる/盛り上がらないM-1があるのか一定の答えをもらった。
漫才の類型の分類論も興味深かった。
「関東:ボケ主導で、ボケが客に向き合う」
「関西:ツッコミ主導で、コンビが互いに向き合う」
「九州:ボケ主導で、ツッコミが客に向き合う」
「北海道・北陸:ボケ主導で、コンビが互いに向き合う」
漫才の現在の類型は大まかに上記の通りであり、これらがミックスされるようになったことらで「漫才のバリエーションが増えている=漫才のレベルが上がっている」とする。
この分類についてはその通りだと思うものの、地域にのよる傾向は一般論に過ぎず、どのタイプを選ぶかはコンビの好みの部分が多いのでは、とも思った。
その他では、現在の賞レース漫才のトレンドは「ないない」のお笑いに移りつつあり、従来の「あるある」のお笑いは、TikTokやYouTubeといったネット空間に移りつつある、という指摘も興味深かった。
(そのため、芸人やお笑いファンと、YouTuberの対立が生じる)
著者は1年ごとのM-1の展開から細かくトレンドを分析しているが、個人的には、そこまでトレンドが切り替わるという論には同意しかねる。
99%のM-1視聴者は、しゃべくり漫才と漫才コントの違いもよく分からずに、ただ笑いたくて漫才を見ているだけだろう。
故に、現在の漫才は「M-1全盛期」という大きなトレンドと見做される程度ではないか。大きなトレンドというのはもっと遅く、緩やかに変化していくはずだ。
くるまがここで指摘しているのは、大会ごとの流れやコンビの仕上がりによる特徴の差異に過ぎない。
「漫才」は、非常に短い時間の中で「人を笑わせる」つまり、「感情を動かす」技術であると言える。
これはとてつもなく高度なスキルであると、最近プレゼンやサジェスチョンをビジネスでよくするようになってから強く思う。
相手に自分に注目させ、言いたいことを伝えて意志と感情を動かす。
芸人はそのために、緩急、声量、声の質、表情、間を駆使する。
漫才とは多彩なスキルの総合芸術である。ここから学べることは多くある。
巻末収録の粗品との対談も良かった。
確固たる自我がありそれが故に周りを引き摺り回す粗品と、エゴに乏しく周りに必要とされるかに自らの価値の源泉を見るくるまの対比が面白かった。
この両極端の二人の天才が、今後どのような道を辿るのか、彼らが提供するコンテンツを通して見ていきたいと思う。 -
漫才、奥深すぎッッ!!
言われてみれば確かに...と思うことの連続。
なんでもこうやって深ぼりすると、無数の発見があるのかもしれない。
関西vs関東の漫才の違い、寄せでの笑いの取り方、M-1の順番、どれをとっても、なるほどと頷かせる分析ばかり。
これまで何となく楽しく見ていた漫才が、綺麗に分類されて、繋がって、アハ体験の連続だった。
漫才は深く突き詰めようと思うとどこまでも深く考えられるのだろうし、それは漫才だけじゃないのかもしれない。
この後、何となく音楽を聴いた。よくよく聴いて考えてみたら、達人たちの血の滲む汗と努力が垣間見えた。
私はこれまで色んなを見逃してきたのかもしれない。
また、最後の令和ロマンくるまと霜降り明星粗品の対談もすごく興味深かった。
2人ともお笑いの天才と呼べる逸材だが、考えていることは全然違う。
似ている2人だと思っていたけれど、考え方や目指しているものすら違っていてすごく面白かった。
近くに優れている人がいると、どうしてもその人が持っている自分に無いものを意識させられることがある。でも、これだけ方向性の違う2人が違うアプローチでお笑いに取り組み勝ち取ってきたものを見て、自分にあった道を進めばいいんだな、ということにも気づくことができた。
M-1ネタの内容が多いので、これまでのM-1をちゃんと見てないと若干伝わらない部分はあるかもなとは思うが、漫才が好きな人なら一度読んでみる価値めちゃめちゃアリ!!!! -
お笑いって、漫才って、芸人さんたちがあまりにも飄々とやっているから一見分からないですが、本当に奥が深いですし、大勢の人の前でしゃべくりして、なおかつ笑いを取るって相当の技術なんだなということに改めて気付かされました!くるまさんはその言語化に非常に長けていて、しかもこの本をM-1前に書き上げるとはタフすぎますし、やっぱりお笑いに取り憑かれています。粗品さんとの対談も必見です。同世代として、なんだか分からないけど未来に向かって私も一生懸命頑張ろう!と勇気をもらえる1冊でもあります。
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くるまさんは、自分の芯を大切にしている人だと思った。「使命」という言葉が印象的。
自分は、人に流されて生きて、何の取り柄もないみたいな自己卑下的な発言もあったけれど、
私には、それでも、誰よりも頭を使って考えて、まっすぐM-1やお笑いに向き合っている姿が「すごい人」だと映った。誰にでも良さがあるし、それを活かすのも自分なのだと教えてくれた。
令和ロマンのネタも喋りも好きなので、これからも楽しみにしてます! -
漫才の考察もさることながら、会場や客層、自分達がどのように見られるのか、演目まで競技漫才の技術を曝け出している。
これを読んで彼らのネタを見ると、確かに本書に書かれたことが念頭に置かれているのだと感じる。
またくるま氏の文体に宿るマッドネスがまたイイ。 -
大好きな令和ロマンのくるまのお笑い考察をたっぷり味わえて大満足。お笑いを少しだけ深く見れるようになった気分になれます。
あと粗品との対談も面白すぎて一気読みしました。
最後の注釈も本編並みのクウォリティとボリュームで全くスキがありませんでした。