テストパイロットインジャパン

  • エイ出版社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784777914746

感想・レビュー・書評

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  • もう少し掘り下げた取材を期待していた。
    実験団ということで色々と話せない内容が多いのは分かるが、内容は薄め。
    パイロットに憧れる若者にはいいかも。
    写真が美しい。

  • 岐阜基地でテストパイロットを勤める方からの聞き取りで進んで行きます。航空自衛隊の作戦機に搭乗する方々は、それだけでも常人とは違う素質と各人の努力の賜物だと思いますが、テストパイロットは、それに加えて、機体に起こったことを、エンジニアに伝えるだけの知識とセンサーが有って当たり前とのこと。
    日本が開発に力を尽くしたF-2支援戦闘機のくだりは、同機に興味を持たせてくれました。
    ちりばめられた写真がとてもよいです。

  • 本書のタイトルを見て、興味を持ったこと。

    ・テストパイロットってどんな仕事なんだろうか。
    ・テストパイロットを取材するなら、航空機産業がより盛んな海外が良いのではないか。なぜ、「イン ジャパン」なんだろうか。

    そんな思いで、本書を手に取りました。

    本書は、航空自衛隊岐阜基地に駐屯する飛行開発実験団に焦点をあて、テストパイロットとは何か・機体を運用するということはどういうことなのかをテストパイロットへの取材を通して明らかにしてくれます。

    最初の興味。テストパイロットってどんな仕事なんだろうか。
    本書の以下の言葉がそれを端的に表してくれます。

    【本書抜粋 著者】
    プルアップ警報は、いわば最後の砦で、F-2を運用している最中に発生することはまずない。
    そのままでは地面に激突する絶体絶命の状況でないと作動しないからだ。
    万全を期して生産された機体とはいえ、誰かが危険領域にあえて挑み、支障なく警報が作動するかチェックする必要がある。
    このような誰も足を踏み入れない未知の、そして危険極まりないゾーンを飛ぶのが岐阜基地に本拠地を置く飛行開発実験団のテストパイロットたちなのである。
    ---

    【本書抜粋 飛行開発実験団 団司令 空将補 飯田克幸】
    飛実団は、そうしたマニュアルを制作する部署でもあります。
    まず理論を立て、予測し、一つひとつ飛行して実証する。
    その上でマニュアルにしていかなければならない。
    我々の仕事は、まだマニュアルになっていない領域を飛んで、言語化し、マニュアルを作りあげていくことといえます。
    ---

    【本書抜粋 飛行開発実験団 3等空佐 藤曲雅彦】
    飛行機の設計や開発に関わっている技術者って、日本の理数系でもトップクラスばかりなんです。
    でも、いくら優れたコンピュータを使っても机上だけで完璧な飛行機なんてできないし、だからこそテストパイロットは必要だと思うんです。
    ---

    開発者も実戦戦闘機パイロットも踏み込んだことがない領域に踏み込み、あらゆる事態を想定し再現する。
    それをフィードバックし、その飛行機の性能だけでなく、部隊運用を向上しつづける仕事。

    2つ目の興味。なぜ、「イン ジャパン」なのか。
    この答えも本書にありました。

    【本書抜粋 著者】
    ひとつの戦闘機を運用するというのは、日本の政治や地理的な条件、気象の特性、周辺国の事情などに適合した機体と装備を持ち、任務を達成するための運用方法までが確立され、これらすべてが第一線のパイロットに行き渡り、一年三百六十五日、一瞬たりとも絶えることなく実施されてこそ、ようやく<手中にした>といえるのではないだろうか。
    やはり二十年はかかるのかも知れない。
    (中略)一国がある戦闘機を百パーセント使いこなすには、膨大な人と時間を要するということだ。
    ---

    性能が優れた飛行機があり、それを操る優秀なパイロットと整備員がいればそれだけで運用ができる訳ではありません。
    その飛行機がそこに存在する目的を達成するため、膨大な時間と費用を掛け育成しつづける必要があります。
    飛行機が実戦配備されている間も、日々成長しつづける必要があるということだと認識しました。

    この世界は、職人の世界に似ていると思いました。
    日々精進を続けなければ維持できない。
    立ち止まったその瞬間に、世代を超えて引き継がれてきた技術は失われます。

    防衛費の削減は当然直接的に影響を及ぼします。
    祖国の防衛のために日々何が行われているのか、もっともっと知る必要があると感じました。

    【本書抜粋 著者】
    飛実団の取材を通して、戦闘機は育てていくものだと知った。
    それは機体や電子装置だけでなく、操縦、整備、運用の方法、さらに組織作りにまでおよぶ。
    航空自衛隊用のF-15初号機はアメリカで製造され、日本に空輸されたが、それは単なる器に過ぎなかった。
    そこに日本独自の技術を詰めこみ、組織として使いこなせるようになるまで膨大な時間と人手を必要とした。
    ---

  •  受領した航空機を、実際に使う為に様々なテストをしていくパイロットに着目した本書は、綺麗な写真とユーモラスな語り口で話が進んでいく。
     兎に角、写真が綺麗で感動した。F-2やF-15がこんなにも綺麗な曲線を持っていたのかと思う程に。
     戦闘機パイロットは感覚的なところで動くことが多いそうだが、テストパイロットはそうはいかない。擬音だけで会話をしてはいけない。マニュアルや仕様書に反映させなくてはいけないので、的確な意見を求められる。
     航空機を動かしながら、常に試験や確認したい事を頭の中で整理し、着陸したらそういう思っている事を言葉に出来る能力って、極極限られた人間にしか備わっていないのでは?と思ってしまう。

  • 戦闘機のことがいろいろとわかった。
    航空祭の前に読んでおけばよかった。

  • 航空フィクション作家の鳴海章のこれまでの取材内容も含めて豊富な写真とテストパイロットと言う資質までマニアには参考になる内容でお奨め。図書館で借りて読んだけどこれは後で買います!

  • ジャーナリストの目ではなく(もともとジャーナリストじゃないけど)、戦闘機好きの目で書いてあるのがなかなか好ましい。
    写真も豊富で楽しい本。

    • Y. ムラサメさん
      ジャーナリストの目ではなく(もともとジャーナリストじゃないけど)、戦闘機好きの目で書いてあるのが好ましい。
      ジャーナリストの目ではなく(もともとジャーナリストじゃないけど)、戦闘機好きの目で書いてあるのが好ましい。
      2010/04/23
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著者プロフィール

1958年北海道生まれ。’91年『ナイト・ダンサー』にて江戸川乱歩賞受賞。以後、航空小説の分野で独自の世界を描き続けつつ、警察小説、時代小説でも活躍。’18年からは池寒魚名義で時代小説を発表。作家デビュー30年、100タイトル目の新作『レジェンド・ゼロ1985』(集英社文庫)が最新刊。

「2021年 『14歳、夏。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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