つみびとの花 (ショコラノベルス)

著者 :
制作 : 上田 規代 
  • 心交社
3.70
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  • 本棚登録 :98
  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778109714

感想・レビュー・書評

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  • 哀しい男ふたりがおずおずと距離を縮めて愛し合う過程が
    丁寧に描かれていて、胸に沁みた。
    北川が若いころ悪い仲間たちとはずみでアナル交友したってエピソード
    ちらっと出てきたけど、それ・もっと詳しく!
    どんな弾み・・。
    北川の勤め先、景気が悪いとにおわせたり、
    彼の愛した人とは死別するという布石もあり、
    最後に不幸がまた!っとドキドキしてたけど、なにもなく幸せな
    男夫婦に収まって、ああ・よかったねと安堵しつつものたりなさもあり。
    九官鳥とはなちゃんの描写は癒し・・。
    大樹君親子と偽善者神父にはもやもや・・。

  • あらすじ一切読まずに読み始めたので、
    「子連れアットホームBLかな?」とか思ってて
    その後のシリアス展開にダメージを受けました。
    いや、表紙とタイトルで気付け、私。

    とにかく子供の死は辛くて涙が出ました。
    しかもレイプで始まったから痛いの来た~!と
    ショックが大きかったです。

    …でも、その後は意外とやさしいお話でした。
    そもそも主人公の北川は優しい男なんですもんね。
    最初は氏家に好かれないのも加害者だから当たり前、
    と思って読んでいたけど、そのうち不憫に思えてきました。

    こんな始まりだから氏家には蛇蝎のごとく嫌われて
    本当に好きになってしまったのに手に入らない…
    って展開かと思ったのに、意外とあっさり氏家にも好かれて、そこはちょっぴり拍子抜け。
    直前に木原音瀬さんを読んでいたので頭がダークモードになっていたのかな…。

    いやいや、でも、子供を亡くした可哀そうな人は
    このぐらいの方が良かったかもしれませんね。
    最終的には幸せになってよかったです。

    文章も読みやすく、心情描写も丁寧でするっと心に入ってきました。
    デビュー作とすればかなり良く出来てるんじゃないでしょうか。

    しかし、途中のお見合いおばさん的な人にはイライラしました。
    頭と股の緩いシングルマザーにも。
    離婚と死別を一緒にするなっ。

  • 贖罪の為身体を差し出す保育士と亡くなった娘の父親。光の見えない展開のように見えるけれどちゃんと救いはありました。
    二人の過去がこれでもかというくらい悲惨で辛いのに、何故かすらすらと読み進めてしまう。最初は一方的なレイプから始まっての傷の舐め合い、そして二人の距離が近づくまで。陳腐で在り来たりな展開でもあるのに、九官鳥を通したやり取りやそれぞれの過去の背景、心理描写が細かいので逐一感情移入してしまいます。過大で極端な出来事にもリアリティを持たせる筆力でガツガツ攻めてくる感じが木原さんを思い出させたり。
    「苦しい息も…」で氏家側の気持ちや事情が分かり二人を取り巻く環境にも変化が訪れ希望のあるラストになっていて救われました。何気ない日常の二人の会話がとても暖かくて微笑ましい。

  • 男手ひとつで育てていた娘を、北川巽は保育園のバス事故で失った。
    罪悪感に苦しむ保育士の氏家志信を無理やり抱くことで、底なしの絶望と孤独からひととき逃れようとする北川。彼を恐れながらも、償うために身体を差し出す氏家。
    やがて北川は氏家の生真面目さや優しさを愛しく思うようになるが、氏家は頑なな態度を崩さない。
    氏家には、結婚を決めた女性がいた──。

  • とにかくこれでもかってくらい不幸な二人。
    それでも人を好きになる気持ちを捨ててなくてよかった。と思う。
    冷蔵庫の中にある『桜でんぶ』のくだりがとても切ない

  • つみびとの花』読んでて、木原さんに似てるなって感じるのは何故なのか、なんとなく判った気がする。身体に触れられて脅える、と言う場面で、木原さんは覚える人間の身体の反応だけを書くんだよね、「脅えて震えた」ではなくて「震えた」と言う現象だけを書く。ここが凄い客観性を生んでる元でその書き方が似てるんだな、って思った。「泣きだしそうな顔をして、脅えて震えている」と言う様な、書き手の感情が入ってない書き方、と言うか。木原さんの方が徹底してるけども、文法が似ている気がする。北川は氏家の儚げで奥ゆかしい微笑みに亡き妻の面影を重ねた時点で、一発で氏家に思い入れを抱いてしまったんだなぁ…関係を作るきっかけは誉められたもんじゃないけど、自分が好意を寄せている者に似ていると言うだけで惚れてしまう気持ちは凄く解る。
    休憩時間に読んでる時、丁度ウォークマンから椿屋四重奏の「かたはらに」が流れて来て、氏家の心情、北川の心情にタイトルの「かたはらに」と言う言葉が恐ろしいくらいにリンクした。椿屋四重奏の歌詞は、本当にBLに合う。

  • あらすじの重さにどんな結末が?とすごく期待して読みました。子供が亡くなるので涙を誘いますが、思ったより読みやすく軽い仕上がりでした。
    話は攻め視点の1話目と受視点の続編になります。1話目であまり表現されていなかった受の気持ちが続編で分かりますが、受の婚約者の存在がちょっと都合よすぎたような気がしました。

  • 胸に迫る話。これはBLというくくりだけでは読むことができません。いろんなことを考えさせられました。

    園バスの事故でたった一人の家族だった娘を亡くした傷心の北川。線香を上げに来た保育士でバスを運転していた氏家の罪悪感を逆手に、無理矢理抱いてしまいます。そうする事でしか絶望や孤独から逃れる術がなかったのです。
    でも、北川は決して鬼畜な男ではなく氏家に対する優しさは持ち合わせています。ただ、人肌が恋しくて寂しさを紛らわせたいがために、氏家の罪悪感に甘え即物的に現実逃避しようとしているんです。
    そんな北川でしたが、亡くした娘と同じ喘息を患っている氏家を一人の人間として次第に意識するようになっていきます。そして、また氏家もやさしく看護されたことで北川に対する接し方が微妙に変化していくのです。

    心の変化とか、ちょっとした動作とか、さりげないところに見え隠れする二人の心情描写が絶妙です。二人の心をつなぐ九官鳥がいい役どころ。北川の職場の人たちや、保育園の先生たちや親の見せる表情も手抜きナシのリアルさです。特に前園は強烈でした。彼女の登場で氏家のよさが際立ってきました。世話を焼く周囲の気持もわかるだけに痛いです。そんな周囲と北川の温度差がすごくよく出ていて、胸にずっしりきました。

    そして、氏家に彼女がいることがわかって、いずれは手離さなければと思いながらも、優しくて従順な彼にますます惹かれていく北川。どうなるんだろうと、ドキドキさせられました。

    つづく「苦しい息もたえだえに」は氏家視点で、まどかとの結婚を破棄して、沢口夫婦に北川との関係を告白する経緯が描かれています。沢口夫婦の驚きや怒りは当然に感じられたし、氏家も今まで彼なりに我慢をしてきたのだと思うけれど、それで絶縁となると悲しい気がしました。でも最後、スーパーでのやりとりが描かれていてすごく泣けた。世の母親がいかにもやりそうな愛情表現に胸が熱くなりました。なんだかんだ言ってもいい人たちです。
    北川と氏家ががものすごく仲良くて、ラブラブなのが伝わってきてジーンとさせられました。イチャコラがたっぷりで満足感いっぱいです。愛に恵まれなかった二人が、これからは幸せになれると確信できる後味のいいラストです。

  • 責任という言葉を逆手に取る攻めの理不尽な行動に木原さんの1作がふと頭に浮かびました。痛さと共に不幸要素もてんこ盛りのお話です。文章の構成や過剰気味の設定等に少々首を傾げる部分もありましたが、攻めの心情変化が細やかに描写されているので物語に入り込めました。痛みを伴う展開の中、孤独な魂が寄り添うようにお互いの温もりを感じ始めていく流れに胸が打たれました。この二人なら毎日繰り返される日常の中から小さな幸せを見つけて積み重ねていける…そう思わせてくれるお話で、読後感が温かいのです。そして今週発売の新刊買う予定!

  • [家族を失った男×家族に捨てられた男]

    たかがBL作家されどBL作家。
    人生で経験しなければ分からない気持ちがある。
    この作品のテーマはそういうものかもしれません。
    始まりは強引でしたが、その後の心情の変化を
    とても上手く表現されていると思います。
    テーマの好みは分かれるかもしれませんが、
    とっても良かったです。
    次回作にも期待!!

    ☆あらすじ☆
    男手ひとつで育てていた娘を、北川巽は保育園のバス事故で失った。罪悪感に苦しむ保育士の氏家志信を無理やり抱くことで、底なしの絶望と孤独からひととき逃れようとする北川。彼を恐れながらも、償うために身体を差し出す氏家。やがて北川は氏家の生真面目さや優しさを愛しく思うようになるが、氏家は頑なな態度を崩さない。氏家には、結婚を決めた女性がいた――。

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