須賀隼鷹は元刑事。
刑事時代は、持ち前の勘のよさで検挙率ナンバー1であったが、始末書の数もナンバー1。
問題児扱いされてもおかしくないような状態ではあったけれども、性格のよさで課の先輩にも可愛がられていた。
そんな須賀が、体力が有り余っているから、という理由で行かされたのは皆が嫌がる厳しいSPの研修。それを受けた中から素質有りと見なされた者だけがSPの第五係に配属されるという研修だった。
須賀は当然、自分がそんな部署に配属されるわけがないと思っていたが、どういう訳か研修を終えてみると、第五係に配属が決まってしまう。驚いた須賀であったが、第五係の係長・宗方公輔の顔を見て更に驚く。
宗方は、数ヶ月前に夜勤明けの非番に見つけた犯人を追いかけた際に、逆に捕まってしまい媚薬を飲まされた須賀を身体を宥めるためと抱いた男・翔にそっくりだったのだ。
けれど、クールで禁欲的で隙のないキレ者オーラを漂わせる宗方と、淫らな言葉とテクニックで須賀の身体を弄んだ翔とイメージがまったく一致せず、須賀は宗方と翔は別人であると結論付ける。
しかし、須賀は宗方の顔を見るたびに、翔にされたいろいろなことが頭をよぎり、ドキドキしてしまう。
おまけに、宗方の仕事に対する姿勢に徐々に惹かれていく須賀は……
という話でした。
須賀は真っ直ぐで、自分の勘と五感に頼って反射的に動いてしまうところもあるので確かに単独行動が困る場面では困ったことになる可能性も否定できないけれど、それも含めて宗方は第五係の一員として迎えているので、何も問題はなく、のびのびと仕事ができている。
ただし、あの一夜の経験が須賀の頭の中にふと浮かび上がってきて、集中力を切らしてしまうことがたまに……という状況。
一方の宗方は、エリートでありながら、現場である第五係の係長であるのには実は理由があって、そこには議員の秘書をしながら襲われ死んでしまった親友への想いがあった……という人物。
そんな宗方に須賀はだんだん惹かれていくんですが、そんな時に亡くなった宗方の親友が秘書を務めていた議員の警護をするという任務が舞い込んできて……という話でした。
宗方の状況だけ字で書くと重たいように感じなくもないですが、須賀の持ち前の明るさとあんまりくよくよしないところとが、物語全体を明るくしていて、とても読みやすくて。
宗方の親友を殺したのは誰かという内容で、ミステリー的な要素もありつつ、とても面白かったです。
宗方とはハッピーエンドの最後の一回だけだったですが、それ以外にも間ではちょこちょこ翔が登場していたので、えちのシーン的にも問題なく、おもしろく読める小説だったんじゃないかな、と思います。