あの日、校舎の階段で (ショコラ文庫)

著者 :
  • 心交社
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本棚登録 : 92
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778115265

作品紹介・あらすじ

笠井亨は同窓会で、元親友の遠藤圭祐と十年ぶりに再会した。ゲイの友人を遠藤が不登校に追い込んだことで仲違いしていた二人は、また高校時代のような気の置けないつきあいを始める。だが笠井は偶然、遠藤がずっと自分を好きだったことを知ってしまった。友達でもいいとすがる遠藤を、表面上は受け入れる笠井。しかし執着と欲望を隠そうともしない遠藤に苛立ち、彼の前から姿を消すが-。ノベル未収録作と書下ろしを加え文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 何度か読み返していた作品。なので、文庫化で「プラネタリウム」と、もうひとつ書き下ろしがついているということで迷わず購入。
    書き下ろしまで読み終えて、やっぱりいいと太鼓判です。

    遠藤の執拗さがハンパなく恐怖。逃げても逃げても追いかけてくる、ストーカーそのもの。でも、どこか憎みきれないし、気持ち悪いのに最後にはなぜかほだされてしまいます。
    読者にとっても、笠井にとっても唯一の救いは、遠藤が「ただし、イケメンに限る」だからなんですよね~
    外見と身体の相性は大切。
    そして、共有できるきらきらとした思い出ですね。
    …それでも、血を吐くほどに気持ち悪いのは間違いないです。

    「プラネタリウム」は、笠井が抱える男同士の恋愛への深いトラウマが描かれています。笠井の心の傷は、遠藤のせいでさらに深手に。
    遠藤って卑屈でネガティブなくせに、やることは大胆ですからね。それに嫌われるとわかっているだろうにまだ懲りていない。
    そんな彼を受け入れて、気がついたら主導権もしっかり握っている笠井って、意外に女王様でした。

    書き下ろし「週末は甘い病気」は、笠井が後輩の失恋を慰めるためのコンパを断ったら、恋人の束縛を皆にありえないとつっこまれてしまう…という話。
    すっごく面白くて笑いました。遠藤のぱんつくんかくんかが変態で最高。
    笠井はもう慣れた?
    痴漢プレイがさらに変態風味を増していて、遠藤らしかったです。
    地獄は続いてるけど、あまあま地獄でした。

  • 久しぶりにヤンデレとも呼べる攻めに会いました

  • 今まで数々の執着攻めの小説や漫画に手を出してきましたが…この攻めの執着はほんとうに気持ち悪くて薄らこわい。こんなに好感を持てない攻めは初めてです…!でもこの気持ち悪さが癖になります

    主人公と攻めは高校時代の友人。ある時主人公がゲイに告白され、それを目撃した攻めはそいつがゲイだと言いふらします。自分の親がゲイだということもあり過去に嫌がらせを受けた経験のある主人公がそれに憤り、攻めと喧嘩して疎遠に…。社会人となって同窓会で再び会うことになって…というのが大まかなあらすじ。

    なんだろう、距離の詰め方が絶妙に気持ち悪い。
    恋とはどういったものかを熱弁した後、主人公が寝たのを見計らっての頬撫でにはゾッとしてしまいました。
    最初は謙虚さを見せておきながら徐々に本性を出して、思い通りにいかないと屁理屈を押し通して強行に及んだり職場に電話を掛けたり主人公がどんなに嫌がってもお構い無し。

    受けが本当に攻めを気持ち悪がってる描写が秀逸!
    魚の餌のミミズが潰れて赤い汁が指についたときのふと出た「気持ちわりぃんだよ…」って言葉が攻めに対しての言葉でもあるんだな〜と思うと…
    ナメクジのキスは笑うw

  • THE 泥沼!この執着攻めがヤバいと聞いて読んだ!遠藤すごく気持ち悪いぞ…。面白くて続きが気になってぐいぐい読み進められました。なんかこのふたり、永遠にお互いを傷つけ合っていそう。まぁそれでもずっと一緒にいそうだけれど。

    しかしこれはハッピーエンドなのか??

    一応両思いになっても、(ちゃんと同意のものもあるけれど)最後まで同意じゃない性行為があるし、それによる攻めの反省がなしなのでちょっとキツかったです…。そして受けは諦めて攻めの好きなようにさせる。

    もうこれほぼストックホルム症候群なのでは…????

    遠藤の気持ち悪い執着とかは怖くてよかったけれど、彼のストーカー 行為や脅迫、強姦に対しての反省は笠井が体ぶっ壊したときだけで、それ以外はあんまりそんな様子うかがえないのがやっぱりキツい…。まぁ遠藤自身もどうにもできないから、もうほとんど開き直りみたいなになっているのかもしれないが。
    ほんと色々考えてしまうような余韻のすごい話でした…

  • とてつもない執着攻ものですが、このレベルは
    突き抜けすぎてて衝撃でした。
    初読み作家さんでしたが、この腹の底から気持ち悪い、
    最早恐怖と言えるような執着を書ききってるのに驚きです。

    理解不能で気持ち悪い、言葉の通じない相手、
    しかもそのストーカーっぷりたるや、受が警察に相談
    することを本気で悩むレベル。
    受は受でごく普通の性癖をもってたはずが、親友と
    して付き合ってた相手がどんどん豹変し、しまいには
    監禁強姦のような力業、あげく脅迫までされて憎しみ
    に……。

    一体どんな風に決着つけるんだろ……というくらい、
    もう深み嵌りすぎてボタンが掛け違いすぎてどうしよう
    もない展開だったのに気がつけば……。
    この受の攻を受け入れていく過程が秀逸でした。
    私も勿論、この攻の異常さは怖気が立つくらい気持ち
    悪いと思ったんですが、気がつけば……(笑)
    なにこのマジック。

    捨てられた犬みたいな眼をしたって知らないからな!

    とか思って踵を返しても、背後で「くぅぅん……」と
    泣かれてしまったら引き返してしまう、みたいな。
    攻の身勝手っぷりに腹が立って仕方ないのに、何か
    不思議と目が離せません。
    ごね勝ちといえばそうなのかもしれないですけど、
    受の葛藤も非常に上手に書かれていて、凄い。

    何冊かこの作家さんの作品は積ん読しているので、
    次が楽しみです。

  • 執着攻めBLは多々あれど、ここまでまんまストーカーで脅迫まがいに強引で、それでも攻めに感情移入出来てその執着かつ変態ぶりが逆に愛おしいと思えてしまうストーリーは初めて。
    大概のBLが鬼畜に攻められるうちに身体が絆されてという展開が多い中、これは身体よりも精神的に絆されていく様子がよく分かる。所々学生時代のシーンを入れながら、笠井が心の奥底では昔から遠藤を憎からず思っていること。決して流されたのではなく、葛藤しながらも笠井はいつも自分で解決策を模索して選択して結果を受け入れていること。気が強くて口が悪く素直じゃなくて、支配されているようで実は笠井の方がかなり優位な立場にいること。だからこそ痛い展開ながらも安心して両者に感情移入しながら読めたのだと思います。
    笠井にとことん惚れて愛情を余すことなく全て捧げる遠藤。その執着たるや変態過ぎて気持ち悪いwけれども何処か不憫で絆されてしまうのも事実。一歩間違ったらただの鬼畜になるキャラだけに佐田さんの彼の描き方が本当にお上手で憎めない。
    書き下ろしではその気持ち悪さを十分に発揮してグレードアップさせていて笑ってしまいましたww こんな風にこれからも遠藤は笠井の事を心配しながら嫉妬しながらもだもだしてればいいと思います。遠藤が思うより笠井はずっと遠藤を好きだと思うけれど。このまま笠井に主導権がある関係で、実は精神的に笠井に支配されて執着している遠藤、という構図が大変美味しいです!

  • 木原さん好きなら好きな設定じゃないか?と言われ読んでみたら…。

    10年前に喧嘩別れした高校の時の親友・遠藤と
    同窓会で再会した笠井。
    昔みたいな関係に戻れたと喜んでたが
    遠藤の自分を見る目が違う事に気付き、
    やがて遠藤はストーカーとして笠井に付きまとうように…。

    ストーカーの表現がリアル!!
    ストーカーって自分でも
    もうどうにも出来ないんだろうね。
    恋する気持ちってのは厄介なもんだね(-ω-;)

    脅されて続く関係にやがて限界がくるけど…
    さすがBL小説(笑)読んでからのお楽しみ。

    執着の果てに何があるのか?

  • 大好きっ!な本だけ登録しているのだけど スルーできなくて。なんだろう これは。木原作品なら登場人物 全部嫌い!(本の好き嫌いとは別)で済ませるのに。
    遠藤の半端ないストーカーぶりと 笠井の判断ミス?に イライラ気持ちが悪くなる。 後ろ指をさされない人生を望んだだけで 自分も気づかぬ心の奥底では愛があったということですか? 気づかないふりをしていただけで。 人間として大切だと思っている相手の望みはどこまで譲歩できるものなのか。

    はからずも「熱砂と月のマジュヌーン」「ふったらどしゃぶり」と 続けて読んだとは。

    そうか、 泣いてただをこねても 可愛いと言ってもらえ 我が儘をとおせる愛らしい子供、 上目使いで だってぇと言えば許される女の子に我慢ができない私だから 余計に受け入れにくい話なんだ。

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