オメガは運命に誓わない (ショコラ文庫)

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  • 心交社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778127398

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  • ▼あらすじ
    大手電子機器メーカーで働く朱羽千里は取引先のβに実らない片想いをしていた。諦め切れないでいたある日、造形作家でαの黒江瞭と出会い、誘いをかけられる。甘い顔立ちをした美形だがオメガを下に見るような態度が許せず、すげなく拒んでしまう。もう二度と会わないだろうと思っていた矢先、朱羽はαとΩ専用のクラブで発情期に入ってしまった。抗えない欲望に耐え切れなくなり、偶然居合わせた黒江と身体を重ねてしまって
    ――!?

    ***

    ストーリーの完全度:非常に高い
    トーン:せつない・シリアス(中)
    エロ度:やや高い
    萌え度:高い
    総合評価:★4.8

    「運命の向こう側」という作品のスピンオフらしいです。前作未読のままこちらを先に読みましたが、特に問題はなかったです。
    今回、初めてオメガバース小説を読みましたが、凄く面白かったです。時間に余裕があればおそらく一気読みしていたんじゃないかな、と思います。ちょっと予想以上でした。

    オメガは総じて容姿が整っているだとか、アルファ同士はそりが合わないからつるまないだとか、私が知っているオメガバースとは設定や世界観が異なる部分が結構あり、こういう解釈もあるのかと吃驚するのと同時に、オリジナリティーがあって面白いなと思いました。(特に番のシステムが無いのには吃驚しました笑)

    そして現代モノかと思いきや若干近未来要素が入った世界観で、作中で当たり前のように出て来るフォーンIDやセキュリティ・クエスチョンという単語に「??」ってなりました。フォーンIDは何となく分かるけど、セキュリティ・クエスチョンって何だ?よく分からなかったけど、何かSFちっくでカッコ良かったです(笑)

    あと、マッチングシステム!作中に登場するオメガとアルファ用のお見合いシステムなんですが、登録するだけでコンピューターが相性の良い相手探してくれるとか羨まし過ぎる(笑)
    物凄く合理的だし、このシステム現実にも導入してくれないかなって思いました(笑)

    設定は面白いなって思ったけど、ぶっちゃけ最初の方は萌えられるかどうか心配だったんですよね。攻め(黒江)のキャラが思ってたのと違くて、こういう子供っぽいタイプの攻めはあんまり好きじゃないなぁ…と思ったり。
    ただ、それもほんとに最初だけで読み進めていく内に黒江の好感度がどんどん上がっていき、最後の方は何だか可愛く思えてしまう程に。
    飾り気がなくて良い意味で全然アルファっぽくないんですよね、黒江って。横柄なところもあるけど素直だし、何よりめちゃくちゃ健気なところに好感が持てました。

    この作品、設定が面白いのは勿論のこと、心理描写が丁寧だから余計に引き込まれるんですよね。ずっとベータに片思いしてた朱羽が失恋するシーンなんて彼の気持ちが痛いほど伝わって来て感情移入しまくりでした。何なら朱羽が泣くシーンでこっちまでもらい泣きしそうになったくらいで。失恋描写が上手すぎる(笑)

    その後、黒江を拒絶する展開になるんですが、これはまぁ、ちょっと黒江が可哀想だったかなと。黒江の気持ちも理解出来るし、何よりめちゃくちゃ反省しているのが分かるからこそ、朱羽の徹底した拒絶っぷりが読んでいて悲しかったです。
    でも、朱羽の“信じてたのに裏切られた”って思う気持ちも分からなくはなかったし、二人の想いが通じ合うまでは何ともどかしくて辛かったです。(そこがまた面白くもあったのですが)

    オメガバース作品としては全体的に大人しめな印象だけど、上述したように丁寧な心理描写と作り込まれた世界観、本能やバース性に振り回されながらもそれに必死に抗って自分達だけの幸せを見つけようとする二人の姿をしっかり描かれているので物足りなさなどはなく、最後まで楽しく読む事が出来ました。
    自分にとって初めてのオメガバース小説でしたが、読んで良かったです!お気に入りの一冊になりました♡

  • 最近は電子派ですが、ペーパー応募のために紙で。
    「運命の向こう側」のスピン。

  • 「運命の向こう側」のスピンオフ。
    今回もとても染みるお話でよかったです。千里が体の発情期とは別に、白根沢への気持ちを大切にしている姿がとてもよかったです。黒江とはアルファとオメガでどうしたって体の反応が先に出てしまって、そんな自分が受け入れられず、黒江との関係がこんがらがっていく様子がとても切なかったです。まあ黒江にも悪いところがあったんですが、心底後悔して落ち込んで一生懸命になっている姿を見ると、本当に千里が好きなんだなと切なくなってしまいました。最後に千里が心で黒江を受け入れて、心と体が一致するところは本当に染みました。

  • 「運命の向こう側」のスピンオフ。春間と冬至、風花と清明も登場していて彼らのその後がわかるのが嬉しいけど、前作読んでいなくても問題なしです。

    今回のメインは、春間と同じ大手電子機器メーカーで働く朱羽千里。千里はまだΩとしての自分の運命を受け入れられない人物です。意志に反して不遜な態度の黒江のようなαに発情してしまうのが嫌で、まず気持ちから好きになりたいと切望するΩなのです。
    そして密かにβの白根沢に片想いをしていて、精神的にはとても純情なのです。白根沢が好きなのに身体が心を勝手に裏切ってしまうのは悲劇。気持ちと身体の相容れなさが伝わってくるので千里の気持ちを考えるととても切ないです。
    でも、ヒート時の千里はとてもエロくて、平常とのギャップ感がすごいのです。

    見た目横柄で俺様な黒江も、内心αであることで感じる孤独に耐える日々を送ってる男です。優秀で何不自由なく見えるがゆえの寂しさがにじみでている…
    読んでいて、黒江にどんどん肩入れしてしまっている自分に気がつきました。色々かわいそうな状況が(特に千里とのHシーンにおいて)てんこ盛りだったような。
    とにかく、お互いに気持ちから恋愛したいのに、まず身体が反応して制御不能になってしまうから、特に千里なんかは黒江が許せなくて辛く当たってしまうんでしょうね。

    それは、千里も黒江もΩとかαとか抜きにしても相手のことが好きならば、意に添わないHなどではなく本心から求めあいたいというピュアラブがあるからですね…
    黒江の不器用な愛情表現に、最後はほだされていく千里に安堵しました。碧の親友らしい助言もグッジョブだったけど、結局は千里が自分自身で黒江への気持ちを認めて納得できたのが一番の決め手でしたね。黒江は意外に忍耐強いカッコいい攻様でした。

  • 安西先生ー!って感じ。オメガで、ヒートに引きずられちゃう自分が嫌で、何ならもうセックスなんて嫌いだ‼️とうんざりしている千里。ベータで年上の教授にずっと片想いをしている。
    対して、教授の教え子のアルファ黒江さん。ちょっと近寄りづらい外見に反して、アルファなんて孤独で寂しい。寂しいから早く成婚したい、と率直にこぼせるアルファなとこが、なんか安西先生んちのコだなぁって感じですごく好印象(^^)
    「運命」かどうかよりも、普通にひとりの人間として心惹かれて相手を欲したい。初めから真っ直ぐな黒江さんと、中々自分の深層に気付かず認められず迷走しちゃう千里。前作に続いて、オメガバースだからこそ、それなしでの自分たちってどうなの?を突きつけてくる切なくてきゅんきゅんするお話、めっちゃ良かった❗️
    千里の女友達碧ちゃんもすごく好き。彼女の恋がどうなるのかもすごく気になる。

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