ほんたにちゃん (本人本 3)

著者 :
制作 : okama 
  • 太田出版
3.64
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本棚登録 : 391
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778311162

感想・レビュー・書評

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  • 本谷さん自伝的小説。と思いきや、どうやら自伝ではなさそう。
    主人公と同じ年頃のころにWebに掲載された文章を少々手直しして出版した模様。

    19歳の専門学校生の自意識過剰な日常。
    非常に軽やかな現代版「人間失格」という感じ。

    この前まで高校という狭い社会に生きていて、社会に出ていこうとする中の最後のモラトリアムな一人暮らし生活で、自意識だけが過大になって、自分にだけ興味がいってしまっている主人公の気持ちが、やはり小さい世界において(専門学校と実家のお母さんとの電話)展開される。

    同世代で読んだら、相当面白い小説だろう。(腹抱えて笑いながらイタさに共感)

    中年まっさかりで社会の波に翻弄されるぼろ雑巾のような私からすると、この小説に書かれているような背伸びだとか、自意識過剰さ、主人公の視野の狭さは、純粋さと薄汚れていないことにしか見えない。娘を暖かく見守る気持ちで読めてしまう。

    ストーリーやエピソードは思いつきの面白ネタを次々に足していったような印象。

    これだけどうでもよい話をきちんとスピード感を持ち、エンターテイメントとして書ける筆力が20歳頃にあったことが凄い。本谷さん自体が、主人公のようにただ自意識過剰でいるだけではなく、客観性を持ち自分のことを見れるからなのではないか。

    しかし、「本人本」というのは何を表しているのだろう
    か、コンセプトの意図がくみ取れなかった。

  • 今まで読んできた小説の中でトップクラスで“笑える”。
    小説というよりもギャグ漫画に近い感覚。
    自意識過剰と、根拠のない万能感・功名心、サブカル憧れ。
    身に覚えがありすぎて痛いよー!

  •  あああああ痛たたたたたたた!肥大した自意識のモンスター化、自己演出アンド自己演出。孤高感、絶望感、哀しみ、苦しみ、それによって得た精神性の豊かさ、思慮深さ、神秘性、洗練された感受性、哲学的思考回路、独自性、普遍性、人間としてどうしてもにじみ出る、本物の魅力。全部自分の中にインストールしたい、こういうの、『厨二病』なんて括られるんだろうね。
     だが彼女の内面世界は最高におもしろい。飲み会で文庫なんて開いてる場合ちゃうで、綾波レイのイメージで心閉ざしてる場合ちゃうで、考えてること表現したほうがいいって、おもしろすぎるもん!タイトルから察するに、これは私小説的なものなのかしら。だとすれば、小説家になってくれてありがとう、この肥大した自意識を一つの作品に閉じ込めてくれてありがとう、と言いたい。最高におもしろかったです。
     こんな風に彼女よりはマシ(笑)と余裕ぶっこいてる自分と、あかん、わかりすぎてしまう…と他人事とは思えず笑えない自分が、読んでる間絶えず交互に登場しては喧嘩する。だが結局、19歳で自意識モンスターの主人公と、30過ぎて自意識をうまく飼いならしてそれっぽくふるまってる自分、未だ何者かになれるかもしれないと思ってる自分、どっちもどっちやん…むしろ30年生きてこの状態ってうち結構やばい?と自分のやばさに気付き暗澹たる気持ちになる。
    『天然最強説』には全面的に同意します。奴らはせこい。自然に人を振り回せる人に憧れが止まらんもん。天然っぽく振る舞うことを研究した時期もあったなー。あれも周りには気付かれてたんかなー。あーー痛いよーやめてー。

  • 帯にある。「オロカわいい!!!!」。言い得て妙。
    自意識肥大のためにキャラ設定を間違えてしまった。
    ここまではよくある話だが、内面の声が自分を裏切る裏切る。
    地の文をここまで面白く書けるのはひとつの発明だ。
    敵になるのか救い主になるのか、野次マサムネにどうあっても認められよう(キャラはそのままで)という執念。
    まさかそんなことまで申し出るとは。

    カバーイラストが素晴らしく的確だと思ったら、なんとokama氏。角川つばさ文庫「ふしぎの国のアリス」の。

  • イタイイタイわーーでも分かるわー(笑)

  •  個性的で独創的でサブカル通でミステリアスである風に世間から思われたい主人公が痛くて痛くて大変なことに。私は自尊心を人に悟られたくないがために、普通さ、凡庸さを強調しがちなタイプであるので、主人公とはベクトルが違う、けれど共通するものは強すぎる自意識であると思う。他人の目が気になって気になって仕方がなくて、多少の演出なしには生きられない主人公の唱える「天然最強説」は事実、でも、『痛々しさで死んだ人間なんていない』のも事実で、勇気が湧いたようなそうでもないような。面白い本だった。

  • 『小学生の頃、授業参観でしどろもどろに説明した掛け算の仕組みがたまたま正解。今から思えばそれがすべての始まりでした。まぐれと言う言葉を知らなかった私は勘違いして調子に乗り、あろうことか「自分は他人とは違うんだ!」と思い込み続けて、自意識が異常に肥大。かっこつけることに命を懸けた。』

    『毎年必ず担任に「自分が思っているほど誰もあなたを気にしてませんよ」って成績表の余白に書かれる始末。』

    『もし、今ここにタイムマシンがあって一度だけ使っていいと言われたら迷わず九年前へと遡り、まだ十歳の自分に「かさぶた剥がし続けるとね、一生傷のままの治らないんだってね! ニキビとかってあれ、潰すと一生跡が残るんだってね!」と取り返しがつかないことの恐怖を覚え込ませ、全力で今の未来を阻止する。』

    『私はさっきから周囲に気づかれないようこめかみを人差し指で押し続けている。と、見せかけて、そんなしんどそうな自分に誰かが「具合でも悪いの?」と尋ねてくれることを密かに期待している。いつでもいいよ? どっからでも聞いて? 答えはもう決まってるのだ。全然大丈夫じゃなさそうに、ものっすごい辛そうに「平気だから…」と心を閉ざした一言。観たことないけどエヴァンゲリオンの綾波レイのイメージで。』

    『とにかくわたしはこの学校に入ってから、両親を幼い頃に二人とも亡くしているっぽい不遇のキャラを、こうした態度でそれとなく匂わせている。両親どころかおじいちゃんもおばあちゃんもみんなお米送ってくれたりして元気です。』

    『やった、やったよ。心閉ざしている人間にとって、こうして誰からも誘われてない飲み会に出席するのが実は一番難しいのだ。幸いうちのクラスはお互いにコミニケーションがそこまで密なわけでもないから、とりあえずまぎれて参加していればきっと「誰かが誘ったんだな」と思ってくれるはずで、私はこれを「ええ、あの人、お正月に来て家の中うろうろしてだけど親戚のおじさんじゃなかったの?」作戦と呼んでいる。』

    『そんな岩井さんを差し置いて隣になったというのに、私ときたら綾波レイだから全然自分から話しかけることができない。』

    『このおっさんは私が一日に五回凹んだら死んでしまう生き物だということを知らないのだろうか?』

    『でも本とか読んでるところを誰かに見てもらいたくってしょうがないのって、私だけなのかな? なんか頭良よさげな感じがするから、待ち合わせして相手よりも早く着いた時とかにもわざわざやってしまうんだよね、いっつも!』

    『私の孤独はもはや「千年ここでこうしていました」と言ってもいいくらいの切実さでじわじわとリアリティを持ち始めた。』

    『誰かこっちに気づけ。そんで「どうしたの」って訊いて? 「別に…」って答えるけど「こっちに来なよー!」みたいに無理やり引っ張っていって、私を中心にした話を他のグループが羨ましくなるくらい盛り上げて!?』

    『ああもう、私がもし念動能力者だったら人質に取られたバッグや財布なども今すぐここに移動させることができるし、瞬間移動能力者であれば「エイ!」ってやって家の外にピュッ! だし、時間遡行能力者だっからあの男に電話する前に戻ればいいし、そもそも予知能力者だったらこんなことにはなっていない。』

    『大体、私はちやほやされてる人間への嫉妬や嫉妬や嫉妬や嫉妬が半端じゃないのだった。』

    『大丈夫。
    痛々しさで人間なんていないよ。
    ラスクも応援してるよ。
    十年後の私よ、
    今日ここで挫折しなかった私をちゃんと後悔させませんように!
    うひー。』

  • これが初めての本谷さん作品だった

    表紙から風変わりで惹かれた
    まさか、若くして劇団立ち上げてる才能豊かな女性だとは知らず…
    その後すぐに他の本も集めだしたのだけれど、どんどん映画化ドラマ化して、
    びっくり

    売れっ子さんなんですね
    こういう作品が読みたいなあ、また

    映画は小池栄子と美波の演技が秀逸だった「乱暴と待機」が好きですね←

  • ひゃー痛いよーやばいよーなにこれってなりつつもつい楽しく読んでしまった本。自分の痛さに目をそむけつつ…それでも無理矢理見せられてあいたたた。ぶっとんでるなあ。

  • なにこれいたいいたい痛々しい

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