狂人失格 (本人本)

著者 :
  • 太田出版
2.88
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本棚登録 : 135
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778312039

作品紹介・あらすじ

「自分探し」の果てに辿り着いたもうひとりの私?今だから書ける痛恨の大失敗、その顛末記。

感想・レビュー・書評

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  • これはダメでしょ…なんでこの本を書いてしまったんだろう。裁判のニュースにつられ、好奇心で読んだ私もダメだ。すみませんでした。

    これはとても小説とは呼べない。
    私小説に分類されるのかもしれませんが、創作と言える部分が多分モデルの方の名前だけでは?
    ここまで「まんま」だと引いてしまう。
    そりゃ、裁判にもなりますよね。
    (モデルの方について、いくらか分かりましたが、感想は変わりません)

    この本を書いた理由について、著者は色々と理由を重ねてはいるけれど、正直理解ができない。それは私が“凡人”だから、と著者は言うだろう。

    まあ、凡人でいいわ、と思う。
    凡人でいいわと思えることもまた幸せなんだなと。

  • 興味を持って近づいた相手が、
    自分が思った以上に手強くて手に負えなくなった話。

    「坂本龍一さんが絵本を書いた」って勝手に言って自分のサイトに誘導するURLを貼り付けたってところは本当に驚いた。
    あと「~メデューサは他者の瞳を通して「自分の姿(人からどう思われているか)」を見ているけど、鏡の盾にはね返った自分の姿を見ることは耐えられない~」
    ってくだりは面白かったです。(つまり、自分自身を真正面から考えることに耐えられない)

  • 自称「京大のマドンナ」こと優花ひらり。彼女の狂気性に興味を持った中村うさぎが彼女の実態に迫った、というか迫ろうとしたルポ。
    彼女は外の世界を持たない、つまり客観性を持たない。ネットでの罵詈雑言もポジティブに受け入れ、自分が大作家となって憧れの河村隆一と会えることを夢見る。他者の言うことは都合よく捻じ曲げ、ありもしない現実に身を沈める。まるでアダムとイヴが知恵の実を食べてしまう前の、あの「エデンの園」にいるかのよう。彼女は、客観性を持った"普通の"人間が持つ苦しみ、つまり自意識という葛藤を持たない。
    自意識の問題は中村うさぎ氏がずっと追い続けている問題だ。自分が満足できればいい?いや、やっぱり他者からの承認こそが必要?その狭間に置かれた人間はもがき苦しみ続ける。多くはその狭間でバランスをとりながら無理やりに自分を納得させる。だが優花ひらりは違う。そもそも自己と他者の区別が曖昧としている中で、彼女はそんな苦しみを持つことがないのだ。
    ひたすら夢の中で暮らす彼女は果たして幸せか?それとも現実の中でもがき続けながらも生きていく方が幸せなのだろうか?それを判断するのは個々人だが、もし仮に、自分の夢の中のみで生きてきた人間がある日突然その夢から覚めてしまったら…これぞまさに絶望の体現かもしれない。
    キリスト教的世界観で語るならば、やはりアダムとイヴが知恵の実を食べて客観性を持ってしまったことこそが、人間の苦しみの元凶だ。だからこそ、多くの人がキリストに救いを求めるのであろうか。

  • 優花ひらりという登場人物は実在している人のようです。中村うさぎさんとその方とのやりとりから出来上がった内容です。 優秀な人は、ある意味狂人なのかもしれない。

  • 中村うさぎ、いろいろなことをしているなあとは思っていたけど、こんな心持ちでいたとは。正直いって、これまではそれほど興味を持っていたわけではないけれど、今後のこの人がすごく気になります。それにしても、逆鱗に”ぎゃくりん”、妄執に”もうしつ”、悪臭芬々に”あくしゅうぷんぷん”とルビを振ってみせるとは、編集者、まじめにやれ。

  • ネガティブな部分には無理やり目をつぶり全てを自分に都合よく解釈して物事を真っ向から解釈しようとしない逃避的思考。強引な善意の解釈があまりに不自然かつ欺瞞的。揶揄と侮蔑の対象でありながら群がらずにはいられない。何かやらかしてくれるのをワクワクしながら待っている自分がいる。プリミティブな感じのする呪力の正体は何なのか。他人事ではない自分自身の戯画として著者の模索が始まる。自分より弱い者を見つけて踏みつける自己誇示欲。特定の他者嘲笑することで己の優越を確認したいという自己誇示欲。真実でも現実でもなく脳内ファンタジー。言葉にはできない深層心理の混沌を言語化しながらその正体を見極める。

  • 中村うさぎと狂人・優花ひらり(渚水帆)

  • 中村うさぎさんの小説「狂人失格」は名誉棄損…100万円賠償命じる 地裁堺支部  - MSN産経west
    http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130531/waf13053101530000-n1.htm

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    「彼女は私の人生に立ち現れた最強のボスキャラだった――。
    「自分探し」の果てに辿り着いたもうひとりの私?
    今だから書ける痛恨の大失敗、その顛末記。
     
    「私に起きたようなことが、あなたの身にも起きるかどうか、わからない。
    だけど、私を見て。私から学んで。
    人は自分に復讐される生き物だということを――」(本文より)
     
    作家志望の女性との間に起こった騒動を描き、雑誌『本人』連載中より話題を呼んだ
    中村うさぎのエッセイ新境地。」

  • 優花ひらりの自分世界、中村うさぎの他者との世界。神が歓迎してくれる世界か追放される世界か。
    なんだかわかりやすい哲学書を読んでいるよう。
    私もうさぎさんと優花と同じ世界はまっぴらごめん。生きててもなにかしらの反響がないとつまらないし。

  •  初中村うさぎ作品。なんでこの人のこの本なのかというと、この本で出てくる実在の人物のモデル問題に興味があって眼を通したかった。ノンフィクションエッセイ?
     ネットで有名?な自称作家の女性の存在をしった著者は、彼女のサイトにある掲示板に一緒に本を出したいと書き込みをして会う約束をする。著者の自分に対するナルシシズムの分析と彼女の言動と分析と起きる騒動と顛末。自称作家の名前は仮名にしているが実在する人物。ネットですぐにわかる。
     自分の嫌な部分を客観的に鋭い分析で書いていて身につまされる箇所があった。そして彼女は自分の投影でそれを見つめたいと願う著者だが単純にというか当たり前というか相手はただの狂人でしかなくて…… 
     筆力あるなあと感じた。ギリシャ神話の話に納得がいった。メデューサの石化と視線の考察は膝を打った。自意識の地獄の恐ろしさと論考はうまい。ただ、全体的に散漫とした印象がある。完成度を求める内容や種類の本では無いのはわかってるだが……
     みんなやめとけというのにこういう人物に触れてしまう著者の頑固さとか壊れっぷりには脱帽する。

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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