世界経済の大潮流 経済学の常識をくつがえす資本主義の大転換 (atプラス叢書)
- 太田出版 (2012年4月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778313111
作品紹介・あらすじ
終わりなき危機からどう離脱するのか!?出口の見えないデフレ、相次ぐ国家財政破綻、連続する経済危機…。資本主義のかつてない変化を解き明かし、未来の経済を構想する。
感想・レビュー・書評
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グローバル化の真の意味がわかった気がする。我々は今、『長い21世紀』の岐路にいる。
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歴史は現在と過去の対話である。
中間層の再建がなければ、危機を乗り越えられない
ケインズ=利子生活者の安楽死を予測
石油価格の上昇で物価が上がり景気にブレーキがかかる=スタグフレーション=マネタリズムによって克服
バブルは弾けてみてはじめてバブルだったの認識できる=バブルは弾けてみないと分からない=バブルを防止することはできない
市場メカニズムの不備を政府がコントロールすることで福祉国家を実現する
しっぽがアタマを振り回す
成長は長期金利がピークを迎えた1974年に終わっている。
分配率の弾性値はゼロまたはマイナス
デフレから脱却するには原油価格が下がればいい。外需デフレーターが物価を押し上げる
原油価格は新たに50億人が使いはじめるので、今後高騰する。先進国の交易条件は悪化する。デフレ社会へ移行。
資源価格の価格革命で交易条件が悪化。
労働分配率が下がる=賃金革命
ポスト近代はエネルギー革命。
経済と技術は一体化している=コブダグラス型生産関数=技術進歩が成長の決め手。 -
リーマンショックから5年が経ち、また日本ではアベノミクスと呼ばれる経済政策により、なんとなく、経済の状況が良くなっているように報道されています。
しかし、以前の状況からどのような部分で変化があったのか?と問われると、答えられない自分がいます。
そんな経済の状況について、大局に立って書かれている本があると知り、読んでみることにしました。
まず、利子率の歴史的トレンドを踏まえ、「蒐集」と言う言葉をキーワードに、資本主義の構造と大きな流れを解説しています。
そして「グローバリゼーション」をキーワードに、1995年以降に世界経済で起こったことと、その結果として二極化が進んだことを説明しています。
最後に、今後どのような方向に進むのか、その中で日本はどのような政策を打つべきなのか、著者の考えが書かれています。
ある程度経済の専門知識が無いと、理解するのは難しい本だなと、感じました。
自分自身も理解できない部分が多々、ありました。
その中で読み進めていきましたが、今の日本(そして世界)の利率というのが、100年単位で比較しても極端な低水準であること、そのために米国中心の資本が行き詰っていること、という状況であることは理解できました。
「東アジア共同体」「地方分散」といった方向が、今後の日本にとってプラスになるのか、自分には予測が出来ないのですが、経済の大きな流れを踏まえると、このような見通しがあるということは、認識していきたいと思います。
この分野は著者によりだいぶ、意見が異なるようなので、今後も複数の本を読んで勉強していきたいと思います。 -
日本は1973年から緩やかに金利が低下し、経済も下降曲線に転じた。そのような状況下でもGDPは増加し、1人当たりの所得も先進国の中ではずば抜けて多く、豊かになった。しかし、その裏側では膨大な国債が積み上がっているわけで、借金で需要を無理やり作り出し、企業を儲けさせ、見かけだけ豊かになったような錯覚に陥っているといっても過言ではないだろう。これは世界的な兆候でもある。
有効な投資先を失った巨額のマネーは時としてサブプライムローンのような詐欺まがいの金融商品を生み出し、実態経済を揺さぶる。世界中を見渡しても未開の投資先はアフリカくらいではないか?そして、アフリカまでが社会インフラを手にしたとき、食資源、化石燃料資源は、需要を賄えるのか?更なる貧富の差を生むのか?その時日本は今の豊かさを保てるのか?色々と考えさせられる書籍であり、秀逸であった。 -
バブルが起こるのは、「成長」の幻想にとらわれ、量を増やそうとするから。
リーマンショックと原発事故の根っこが同じだという論点は意外であったがまさにその通りと納得させられるものだった。 -
人に強くなる極意
お金 -
とても人気のある本らしく、図書館のサイトで予約して、2~3ヶ月待って、やっと借りれた。
証券会社の金融市場調査部長からチーフエコノミストになった実務家の視点から金融市場やマクロ経済を分析しながら、そこにアナール派の歴史学の視点を持ち込んで、長期的な経済の動態を分析している。
ブローデルやウォーラーステイン、リオタールなど持ち出すあたりが、まじめなエコノミストとしては、異例。
おもしろいけど、視野が長期的すぎて、ちょっと。 -
F・ブローデル、I・ウォーラーステイン等の歴史学者の分析的枠組みを利用して、現在の世界経済を見ているところに非常に共感できる。
現在の資本主義世界経済、つまりウォーラーステインの提唱する近代世界システムが誕生したのが、時代的には「長期の16世紀」であった。筆者はこの時代に起きたことが現在も起きておりまさに「長期の21世紀」である、と述べている。この「長期の21世紀」は歴史的な転換点であり、新しい社会システムへの移行期であるから、混迷の時代がこれからも続いてくのだ。
「長期の21世紀」においては4つの革命が進行しており、その最先端を走っているのが日本であり、これからもしばらくこの長期的な混迷の時代はつづいていく。
こうした分析は悲観的な見方と言われるかもしれないが、「見たくないものは見ない」ではだめなのだと思う。-
さきほど、この本を読んで備忘録として感想を書いたのですが、
sizumanudiverさんのレヴューを読んで、興味を持ち、本棚を見せてもらっ...さきほど、この本を読んで備忘録として感想を書いたのですが、
sizumanudiverさんのレヴューを読んで、興味を持ち、本棚を見せてもらったら、
私の読書の傾向と、近いと思いました。
これから、本棚を覗いて、参考にさせてもらいます。
もしよろしければ、相互フォローを希望します。2013/06/21
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キーワードとしては利子率革命・コレクション・陸の国・海の国。
世界的なバブルなどについて時代の流れと共に記載されており、分かりやすいとは思う。
また、成長を前提とした考えが成り立たないことについては同意できる。が、利子率革命やコレクションはいいとして、陸の国・海の国というレッテル的拘りはスッと腹に落ちない。
この本は言いたいことの大半を1章で書ききってある感じ。
以下は備忘録としての内容まとめ。
金融資産が実体経済の二倍になり、金余りとなり利子率革命(利率の鄒勢的低下)が現在社会。その社会では資本家は利子生活ができない。資本家は新たなカネの儲け場所として、レバレッジを効かせたCDSなどのバブル市場を作り弾けたのがリーマンショックであった。
GDPデフレータ(名目GDP/実質GDP)を見ると名目GDP(雇用者利得+企業利潤)が下がり実質GDPが上がっている。これは原油高により名目GDPが下がっているために発生。エネルギー問題は解決しなければいけない。
成長が終わった先進国において、グローバル化により新たな利潤獲得を追うことになる。アメリカであればドル高で海外から資本を集め、金融社会構造を拡大させた。そこが限界となりバブルが崩壊。この辺りの歴史的な流れも記載されている。
金融やバブルに頼らない新たな仕組みが低成長時代には必要になるのであろう。