夢を売る男

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 3057
レビュー : 525
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313531

感想・レビュー・書評

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  • 読書会でお世話になっている方からお借りして、あっという間に読んでしまいました。
    題名や表紙の獏が示すように、なんとも人を喰った話でしたが、非常に面白かったです。

    とても『永遠のゼロ』や『海賊とよばれた男』と同じ人の作品とは思えませんでした。
    そして、これが全て「事実」だとしたら、作家志望の人は相当に覚悟しないと、とも。

    それにしても、ご自身も劇中のネタにしているのは徹底してますね。
    主人公の牛河原からして某小説の人物をパクリ、、もとい参考にしてるようですし。

    そんな実在の小説へのオマージュがあちこちにちりばめられていて、ニヤニヤしてしまいました。
    そういや『バトルロワイヤル』の人の新作は聞いたことがありませんね、、うーん。

    娯楽や余暇のためのコンテンツの在り様に、一石を投じていると感じます。
    小説は時代を映す鏡であるかな、と、受け入れられる(売れる)かどうかも含めて。

    そして、時代とは民衆の雰囲気でもあり、娯楽を提供して金を稼ぎたいなら、
    その娯楽を消費する民衆に寄り添う必要がある、、とは至極まっとうで。

    それを拒絶するのも一つの在り様だが、それには相当の覚悟がいるのは事実ですね。
    個人的に『本は10冊同時に読め!(成毛眞)』と同時読みすると面白いかも、と感じました。

    ん、いわゆる「作家」になりたい人は、手に取る前に一考された方がいいのかな。。

  • なんともブラックな...と思いながら読んでいくと、最終的にはなんかちょっと素敵ないい話なんじゃ、と思ってしまうのは、まさに作者の思う壺なのか。
    牛河原がなんか情に厚いいい男に思えてしまうのがすごく悔しい。
    東野圭吾の短編集にもこういうのあったよね。
    出版業界を皮肉るブラックユーモアみたいなの。

    ボロカスに言ってるけど、でもやっぱりこれは本への愛情があふれた一冊だと思います。

  • 小説の形式の文学論のような本。
    作者自身のことも直に消える作家と手厳しい。
    死後に再評価される作家は生きているときに売れている作家だとか、小説誌が売れないなんていうのは、確かにその通りだと思う。

    でも、文学的な文章よりも読みやすくてわかりやすい文章の方がいいっていうのはどうなんだろう?読みやすくてわかりやすい文章しか読めないままでいいのかなと思うけれど。文学的な文章も読むことができる力っていらないのでしょうか?
    それから、この本を読んでいると本には未来がないような気がしてくる。

    ただ、ラストはとてもいいです。
    ハッピーエンドは好きなので。

  • 著者の本、殉愛の印象が抜けなくてなかなか読む気にならなかった本だけど読み始めたら面白かった。エンタメ本になるのかな。コメディの要素もあり。事故顕示欲が強い人間に巧みな話術で本の出版を持ちかける出版業界の話。「あなたの本は素晴らしい」とお世辞を言い、自費出版だとは気付かせず数百万のお金を出させる主人公の交渉術はすごい。でも自費出版は本当のところ経費はそんなにかからないとは驚いた。しかし、ここに出てくる本の出版を望む人たちの自信満々で嫌らしいこと(笑) 

  • 私の中では「永遠のゼロ」で有名な百田氏による小説で、昨年(2013)の2月に出版されていたようで、私は最近本屋さんで手にしました。面白い本というのは数ページ、いや最初の数行でわかるのですね。いつの間にかレジに行って、帰りの電車から夢中になって読んでいました。

    主人公は、以前は老舗の出版会社で編集長を務めていた人で、新しい会社でお客さんの原稿を集めて、それを本にするというビジネスをしています。

    いろんな見方があるとは思いますが、本を出版すると言っておいて著者から出版代を出させたり、絶版を予告しておいて在庫本を引き取ってもらったりと、ビジネスとしては利益が出ると思いますが、詐欺と思う人もいるかもしれません。

    しかし、本を出すという夢をかなえる手伝いを、ある一定の金額で支援しているという見方もあり、ある意味上手なビジネスであると思いました。

    小話が10個あり、各々は独立していますが、主人公やそれを守り立てる脇役は同じメンバーで、会社も同じです。それぞれが素晴らしく、続編を読みたくなる気分にさせてくれました。多分、”続編は読者が頭の中でイメージしてください”ということなのでしょう。

    一作毎に全く異なるジャンルを生み出すと著者紹介に書いてありましたが、まさしく「現代のピカソ」なのでしょうか!

    以下は、本の中に書いてあり、気になったポイントです。

    ・2006年に、世界中のインターネットのブログにおいて一番多く使われている言語は日本語で、英語を抜いた。(p53)

    ・「君はやればできる」という言葉を使っていいのは、一度でも何かをやりとげた人間のみ、そうでない人は軽々しく口にする台詞ではない(p90)

    ・子供が上手にできると笑って、できないと悲しい顔をする教育方法は、一時的には有効だが、そういう子育てをされた子は、親の顔色を見なければ何も行動できない子になる(p119)

    ・詐欺というのは、本人が騙されたと思ったときに成り立つ犯罪である(p238)

    2014年4月27日作成

  • 読み終わって、なんとなく受け入れがたい様な感じが残った。
    自費出版本ではなく正式な本である、と言われその違いは何なのかと思う。本を出すことは自己満足なのか、また本の売り方は現状でいいのか色々考えた。
    小説=売れなくては意味がない、には抵抗があるが、現実的にはそうなんだろうと思う。

  •  出版業界をとりまく不況を背景にしながら、出版社と著者とで出版費用を負担しあうジョイントプレス事業を題材にしている。本を読む人は減っているが、印税生活にあこがれ、自己顕示欲から本を出版したいという人は増えているらしい。
     日本人が読書に当てる時間は雑誌も含めて1日平均13分。しかしブログにしめる言語の割合は日本語がトップなのだと。

     「夢を売る仕事もビジネスとして成立し、健全でなければ長続きしない。情熱が無ければ夢は売れないし、ビジネスとして成立しない。」と訴えている。

  • 百田氏の新刊。早速買って読んでみた。

    今まで読んだ著者の本とは違う類だがおもしろい。出版に関する暴露本のようにもとれ、少しでも本を書いてみたいと思ったことのあるような人は絶対にハマる一冊。

    悪徳出版社の部長が、カスみたいな内容の本を世に出したがる素人を次々にだまし金を巻き上げていく。彼が自分の部下に、いかにしてカモを見つけ、いかにしてお金を引き出すかを教育していく様子が会話調で描かれている。

    本はどんどん売れなくなっているのにブログ等の影響で自己の存在を知らせたく本を書きたい人はどんどん増えている、誰も読みもしないのにブログを更新し続ける人程自己顕示欲が強く騙すかっこうの的になり得る、最後まで書ききる人は自分の作品が絶対面白いと思っているからこそであり、作品を褒めれば簡単に騙せるなど、、、部長のセリフは的を得ていて納得できる。

    でも最後は部長の人柄が出てくる、、、おもしろい。

    ただ、この本、私が買った本屋では入り口付近の平置きではなく、少し奥の目立たない位置に置かれていた。

  • 本の出版を夢見る人を、言葉巧みにほとんど騙すような形で半自費出版させる出版社の話。出版業界の裏話を詰め込んだブラックユーモアで、単なる自費出版ではなく「夢を売る」構造が実際になりたってしまうんじゃないかと思えてくる。

    さんざん業界や小説家を皮肉った上で、編集者の心意気というか一本気が最後のオチで見えて感動さえしてしまう秀逸なラスト。

  • 敏腕編集者「牛河原勘治」の働く丸栄社に集まる本の出版を夢見る人々。自伝を残したい団塊世代の男、ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になりたい主婦。牛河原が持ちかける「ジョイントプレス方式」とは。。出版業界の裏話を詰め込んだような内容。言葉巧みに「夢を売る男」牛河原が面白い。いろんなことを考えるものだと感心しながら読んだ。一作ごとに異なる作品を送り出す百田さんらしい作品。

著者プロフィール

百田 尚樹(ひゃくた なおき)
1956年生まれ、大阪府出身の放送作家・小説家。『探偵!ナイトスクープ』の放送作家として活躍。
50歳の時にはじめて執筆した『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。ヒット作となり、映画化されている。
ボクシング青春小説『ボックス!』が第30回吉川英治文学新人賞候補、第6回本屋大賞の5位に選出され、映画化もされた。『海賊とよばれた男』で2013年本屋大賞大賞受賞。コミック化、映画化された。

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