芸人交換日記~イエローハーツの物語~

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 753
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313548

作品紹介・あらすじ

結成11年目、いまだ鳴かず飛ばずのお笑いコンビ"イエローハーツ"。これまでコンビの今後について真剣に話し合うことを避けてきたふたりも、気がつけば30歳。お笑いに懸ける思いは本気。でももう後がない。何とかして変わりたい。そう思ったふたりは「交換日記」を始めることにした。お互いの本音をぶつけ合うために-。交換日記形式で織りなされる、おかしくも切ない「絆」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「やろうと思ってる人は一杯いて、それを実行に移す人はほんの一握り。『やろうと思ってた』と『やる』の間には大きな川が流れてる」

    この言葉がグサっと刺さった。私は自分がやりたいと思ったことはすぐに始める方だけど、それを長く続けられない。自分には向いてないかもとか、これやってもどうにもならないから他のこと頑張ったらいいやとか思ってすぐに辞めてしまう。

    「夢を諦めるのも才能だ」

    その言葉は、私のように言い訳を見つけてやりたいことから逃げてしまう人には言えない言葉だ。不安を乗り越えて自分の選んだ道を突き進んだ人の言葉だ。
    だから、彼らがすごく眩しすぎて苦しかった。

  • 若林さんの後書きがまた良い

  • 立ち読みで終わるレベルのボリューム。
    日記形式で綴られるのは悪くないが、にしてももう少し書いて欲しい。

  • 泣かせ、笑わせ、楽しませ。芸歴10年以上で芽のでない漫才コンビイエローハーツ。底抜けに陽気で勢いはあるけど考え無しで働かず彼女に働かせ借金を重ね飲みに出るクズな甲本が、クールな相方田中に持ちかけたのは「交換日記」。ほぼほぼ交互に書かれる交換日記だけで綴られる物語。最初は甲本が大乗り気で田中は嫌ですと断ってたのに、いつのまにやら田中が攻める側にまわったり、交互に入れ替わる波のようにいままで言えなかったこと隠してたことをぶちまけ、ぶつかりあい、そして…。書き手まであざむき、こう来たかという波乱万丈を経ての最後の漫才まで、勢いよく、けれど弱いところもダメなところも含めてぜんぶ愛しくなってくる。うまいなあ、やられたなあ、と思ってしまう。

  • M-1やKOCなどを見る目が変わりました。
    何千人もの人が優勝という栄冠を狙い、優勝した人、惜しくも優勝を逃した人などそれぞれにストーリーがあることを考えるとテレビに出ている世界だけが全てでは無いことを感じさせられました。
    とても感動します、泣いてしまいました。

  •  結局イエローハーツは、自分たちの「素」で勝負しようと腹をくくることになります。「笑軍天下一決定戦」というコンテストに向けてネタを出し合いながら、「コンビニの店員と客」といった設定ではなく、「田中と河本」という人間自体の面白さをネタにするのが一番面白い、という結論に辿り着きます。
     この結論は、お笑い芸人を目指す人だけじゃなく、表現をしたいと思っている人みんなに共通するものだと思います。おそらく一番の問題は、「自分」から出発しないで「理想」から出発してしまうことです。若い頃はとくに、「理想」と「自分」との距離のあまりの遠さに押しつぶされそうになります。そして、「理想」に辿り着くため、「自分」を大きく見せるために、余分なものを積み重ねていこうとします。でも僕は、じつは積み減らしていくことのほうが正解だと思うのです。減らして減らしていった最後、逃げようのない本来の自分というものがドスンと出てきた時に、その人らしいものが現れます。それこそが、面白い。(あとがき・若林正恭)

  • Q.なぜこの本を購入したのか?
    たまにはビジネス書でもなく、自己啓発書でもなく、
    ユーモアのある小説を読みたいなと思い、購入してみました。

    放送作家の鈴木おさむが書いたというネームバリューにも惹かれました。

    Q.実際に読んだ感想は?
    ストーリーの構成は流石は放送作家といわんばかりに綺麗にまとまっていました。
    コンビ二人の胸中の想いがページをめくるごとにあらわになっていく姿は、
    なにか「人のプライバシーを透明人間になってのぞき込むような」ワクワク感や背徳感にも似た感情が沸き起こりました。ただ、二人の人生を第三者としてのぞき込む好奇心はたまらなかった。

    しかし、1つ残念な点は、二人のやりとりがくどすぎる場面が数か所あったところ。
    い「くらなんでもそのくだりで日記回さないだろ」というところも日記を使ってやりとりするところは流石に冗長すぎて読むに堪えなかったです。

    それ以外は泣けて笑える日記小説といった感じで最後まで楽しめました。

    芸人さんって楽しそうにやっているけど大変なんだなあ。

  • やろうと思ってる人は一杯いて、それを実行に移す人はほんの一握りなんです。「やろうと思ってた」と「やる」の間には実は大きな川が流れてるんですよ。



    若林 解説
    僕は、じつは積み減らしていくことのほうが正解だと思うのです。減らして減らしていった最後、逃げようのない本来の自分というものがドスンと出てきた時に、その人らしいものが現れます。それこそが、面白い。

    「諦めよう」と思うところまで突き詰められるのは、敗退ではなく、前進だと信じたいのです。「自分はこの世界でやっていくような人間じゃない」と気付くまでやり切った人なら、次の場所でも必ず、夢を追えるはずですし、辞めていった仲間は実際にそうです。

  • 交換日記だけで繰り広げられる、コンビ芸人の会話が物語になっている。
    2人の芸人の人間性や、2人の関係性、芸人としての思いなどが伝わる日記になっている。

    「男の友情」とな「夢を語り合う」感じに自分は弱いな〜と思った。

    交換日記を誰かとしたくなった。

    最近は、オンラインでのリアルタイムでのやり取りばかりだから、現在より少し前の人と連絡を取る感覚味わいたいのかな

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著者プロフィール

放送作家。1972年生まれ、千葉県出身。Instagramで漫画「ティラノ部長」(毎週金曜日更新)と「お化けと風鈴」(毎週水曜日更新)を連載中。著書に『ブスの瞳に恋してる』シリーズがある。

「2021年 『ティラノ部長』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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