日本の起源 (atプラス叢書05)

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313784

作品紹介・あらすじ

古代の天皇誕生から現代の日本社会までを貫く法則とは?歴史学がたどりついた日本論の最高地点。

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  • 日本の起源 (atプラス叢書05)

  • ばっさと歴史をとらえる與那覇に突っ込みを入れる東島、という構図。


    ”古代の天皇誕生から現代の日本社会までを貫く法則とは? 歴史学がたどりついた日本論の最高地点。/いつから私たちは「こんな国、こんな社会」に生きているのだろう。どうしてそれは変わらないのだろう。”

    価  格:1800円+税
    判  型:四六版仮フランス装
    ページ数:376ページ
    ISBNコード:9784778313784
    発売年月日:2013.8.29
    http://www.ohtabooks.com/publish/2013/08/29153651.html


    【目次】
    目次 [002-005]

    まえがき (與那覇潤) 006
    第一章 古代篇 009
    起源の天皇は女帝だった/豪族チャンピオンとしての大王/「聖母卑弥呼」は存在したか/科挙を生まなかったマルチタレント登用/はやり歌による革命と桓武天皇の純血作戦/唐物グローバリズムとクールジャパン政策の起源/平安京荒廃が生んだ「かのように」の論理/『芋粥』に見る官治国家の起源/院政がリセットした「二五年間同一内閣」/「空虚な中心」を囲んだ家産官僚/令外官の増設は温泉旅館形式/古文書が語る『文字禍』の世界

    第二章 中世篇 065
    バッファーの多すぎる国/イエ制度は自然ではない/三国志としての源平合戦/東西分割統治と道州制の起源/戦後歴史学が求めた統治権の理想/貞永式目はマグナ・カルタか/元寇が領域国家の起源/南北朝は何を転換したのか/未完のプロジェクトとしての「江湖」の観念/一揆の傘連判は「空虚な中心」/印判状が作った近代行政の起源/中途半端だった義満と信長/ポピュリスト秀吉と起源のクリアランス

    第三章 近世篇 129
    東アジアと日本の動乱はつねにリンクする/徳川氏がコピーした皇祖皇宗の神話/中世を終わらせた元禄時代/忠臣蔵はブラック企業の起源/歴史は進歩か、反復か/武家社会が作った「失敗の本質」/公共事業入札と復興予算流用の起源/享保の飢饉が生んだ自己責任論/「災害ユートピア」は現出したか/江戸が示したアソシエーショニズムの限界/アウトローだけが自律する社会/「四民平等」幻想からこぼれ落ちるもの

    第四章 近代篇 183
    幕末は不真面目な改革の起源/西洋化できずに中国化した明治/「市民」を探した丸山眞男の苦悩/荻生徂徠から進歩しない論壇/元老制はバッファー政治への回帰/議会政治は二党制よりも二頭制/都市を食べさせることに失敗した政党政治/さも自然を作為する社会/日本文化論と「古層」の永久運動

    第五章 戦前篇 229
    第一次世界大戦に起源を見る/大正デモクラシーは議会制不信の起源/天皇に独占された一般意志/アジア主義に可能性はあったのか/儒教を使いこなせなかった日本人/江戸時代に回帰した「田舎臭いファシズム」/総力戦体制も律令以来の背伸び/古代をも下回った「無責任の体系」

    第六章 戦後篇 275
    敗戦まで続いていた権門体制/挫折した「天皇に代わるもの」の夢/ウィキ版『太平記』としての歴史論争/日本を変えなかった高度成長と六八年/「大きな物語」の終わりと「津波てんでんこ」のはじまり/八〇年代が隠蔽した長い江戸時代/混乱の平成へ、そして歴史学は何をすべきか

    あとがき 東島誠 335
    注  [339-360]
    人名索引・事項索引  [i-xiv]



    【抜き書き】
    與那覇 「そういう融通無碍で軟体動物のようにネトネトした社会規範を、ルース・ベネディクトは『恥の文化』と言い、山本七平は『空気の支配』と言い、中根千枝は『場の論理』と言い、土居健郎は『甘えの構造』と言い、河合隼雄は『母性社会』と言い、阿部謹也は『世間の原理』と言ってそれぞれ探求した。みんなが表現を新たに工夫しつつ、実質的には同じことを言い続けるのですが〔……〕」
    (p. 227)

  • 目次

    まえがき 與那覇潤

    第一章 古代篇
    起源の天皇は女帝だった/
    豪族チャンピオンとしての大王/
    「聖母卑弥呼」は存在したか/
    科挙を生まなかったマルチタレント登用/
    はやり歌による革命と桓武天皇の純血作戦/
    唐物グローバリズムとクールジャパン政策の起源/
    平安京荒廃が生んだ「かのように」の論理/
    『芋粥』に見る官治国家の起源/
    院政がリセットした「二五年間同一内閣」/
    「空虚な中心」を囲んだ家産官僚/
    令外官の増設は温泉旅館形式/
    古文書が語る『文字禍』の世界

    第二章 中世篇
    バッファーの多すぎる国/
    イエ制度は自然ではない/
    三国志としての源平合戦/
    東西分割統治と道州制の起源/
    戦後歴史学が求めた統治権の理想/
    貞永式目はマグナ・カルタか/
    元寇が領域国家の起源/
    南北朝は何を転換したのか/
    未完のプロジェクトとしての「江湖」の観念/
    一揆の傘連判は「空虚な中心」/
    印判状が作った近代行政の起源/
    中途半端だった義満と信長/
    ポピュリスト秀吉と起源のクリアランス

    第三章 近世篇
    東アジアと日本の動乱はつねにリンクする/
    徳川氏がコピーした皇祖皇宗の神話/
    中世を終わらせた元禄時代/
    忠臣蔵はブラック企業の起源/
    歴史は進歩か、反復か/
    武家社会が作った「失敗の本質」/
    公共事業入札と復興予算流用の起源/
    享保の飢饉が生んだ自己責任論/
    「災害ユートピア」は現出したか/
    江戸が示したアソシエーショニズムの限界/
    アウトローだけが自律する社会/
    「四民平等」幻想からこぼれ落ちるもの

    第四章 近代篇
    幕末は不真面目な改革の起源/
    西洋化できずに中国化した明治/
    「市民」を探した丸山眞男の苦悩/
    荻生徂徠から進歩しない論壇/
    元老制はバッファー政治への回帰/
    議会政治は二党制よりも二頭制/
    都市を食べさせることに失敗した政党政治/
    さも自然を作為する社会/
    日本文化論と「古層」の永久運動

    第五章 戦前篇
    第一次世界大戦に起源を見る/
    大正デモクラシーは議会制不信の起源/
    天皇に独占された一般意志/
    アジア主義に可能性はあったのか/
    儒教を使いこなせなかった日本人/
    江戸時代に回帰した「田舎臭いファシズム」/
    総力戦体制も律令以来の背伸び/
    古代をも下回った「無責任の体系」

    第六章 戦後篇
    敗戦まで続いていた権門体制/
    挫折した「天皇に代わるもの」の夢/
    ウィキ版『太平記』としての歴史論争/
    日本を変えなかった高度成長と六八年/
    「大きな物語」の終わりと「津波てんでんこ」のはじまり/
    八〇年代が隠蔽した長い江戸時代/
    混乱の平成へ、そして歴史学は何をすべきか

    あとがき 東島誠

    索引
    http://www.ohtabooks.com/publish/2013/08/29153651.html

  • 20150411途中返却

  • 年末の暇つぶしに、と購入。
    暇つぶしにはならず、かなり脳ミソに負担を掛けてしまった(苦笑)。一言で言うなら、「難解」の類の著である。
    東島、與那覇両先生の博識に脱帽です。こういうことを語られたら…(涙)

    歴史学から現在を読み解く、といったらよいだろうか、古代から現在まで語り合っているのだけれども。
    東島先生のあとがきにも書いてある通り、「起源の歴史」を語り合った本。バッファー、空虚の中心…日本的なるものって何だ?
    ボブには未だ消化不良の所があるので、もう一度読み直そうと思います。まだまだ修業が足りません。

  • 小中高でのんべんだらりと習ったのは日本史の一面でしかないんだなと痛感。全体的に専門的すぎて(というより私に日本史の知識がなさ過ぎて)、とくに鎌倉~戦国時代あたりはささっと読み飛ばしましたが、始めの記紀の成り立ちのあたりと、後半の江戸~現代あたりは面白く読みました。
    あと元禄赤穂事件について、なぜ筆頭家老の大石内蔵助が穏健派で、下っ端の堀部安兵衛らが急進派だったのかがちらりと書かれていたのは拾いモノだった!常々疑問に思っていたので。参勤交代の影響だったのか~(赤穂詰の内蔵助らと、江戸詰の安兵衛らと)。

  • 教科書で習った歴史が、信じてきたことが、ミステリのように反転する感覚を味わえました。ですが歴史を作ってきた人物や読者に対して、どうにも物言いが上から目線に感じました。お前ら同じこと繰り返してるな、いっつも中途半端だな、物を知らないなって感じの。空虚な中心を奉り、安定した停滞状態をまったり生きたいのが日本人であったなら、それでも構わないじゃないかとも。

  • 古代から戦後にわたって日本の起源を探し求めて行きついた先が「日本史のなかで本当に日本人の「心のふるさと」を作れたと言える時代は、一八世紀の江戸盛期と一九七〇〜八〇年代とを合わせて、せいぜい一二〇年強だけだということになります。」です。巻末の注に記載されている文献だけでも優に300冊以上あり、二者の思考の源泉の一部分となっていることが分かる。重層的な知識の中から一つの結論が浮かび上がってくる様子がうかがえる作品であった。

  • 歴史学者同士(日本中世史と日本近代史)の対談本。知的刺激にあふれているものの、その分理解が難しいところも。もう少し丁寧な注釈がほしいね。以下、覚え。「日本社会の秩序は、『予測可能性を高める』ことで成り立っている」ってとこに思わず膝を打つ。「現代を説明する際に歴史からメタファーを持ってくるのは、安直なあてはめにも陥りがち」というくだりに、温故知新的な発言に自覚的な與那覇さんをおぼえる。「まずは自分の価値観が偏っていることを自覚できて、初めて『自分の価値から自由』な人なのです」というあとがきの言葉。マックス・ウェーバー提唱「価値自由」からの言葉を噛みしめて、思うところあり。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:210.04//H55

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著者プロフィール

立命館大学教授。1967年、大阪府生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻博士課程修了、博士(文学)。著書に『公共圏の歴史的創造――江湖の思想へ』(東京大学出版会)、『自由にしてケシカラン人々の世紀』『〈つながり〉の精神史』(ともに講談社)、『日本の起源』(與那覇潤と共著、太田出版)など。

「2023年 『「幕府」とは何か 武家政権の正当性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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