家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 490
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313821

作品紹介・あらすじ

二〇一二年一二月一二日、兵庫県警本部の留置施設内で、ひとりの女が自殺した。女の名は角田美代子。尼崎連続変死事件の主犯である。美代子と同居する集団、いわゆる"角田ファミリー"が逮捕され、これまでの非道な犯行が次々と明らかになってきていた矢先のことだった。主犯の自殺によって記憶の彼方に葬り去られたこの事件の裏側には何があるのか?尼崎を中心とした徹底取材をもとに、驚愕の真相を白日の下の曝す、問題作!

感想・レビュー・書評

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  • 主犯の美代子は子供の頃からネグレクトの中で育った。
    現在服役中の実弟も、彼女と同じく非常に暴力的なことから、
    おそらく暴力は日常的だったのだろう。
    誰にも愛されない孤独な寂しさと不条理な暴力が、人間形成に大きく作用し、
    負の感情だけがとてつもなく増殖してしまったようだ。

    乗り込んだ家の子供を引き取る際、
    不当な暴力に立ち向かえない情けない親の姿を見せつけ、
    親への失望を子供の心に植え付け、互いに殴り合いを命じる。
    このやり口は、子供の頃自分が感じた辛さを同じように体感させることで、
    自分の気持ちを誰かに解って欲しかったのではないか?
    そして優しさを装い手なずけて、ファミリーに加えた後は絶対的な忠誠を求めた。

    彼女をよく知る人は口を揃えて、「本当は寂しがりや」だと言うそうだ。
    留置場で同房だった30代の女性には、気持ち悪いほど甘えたらしい。

    これは勝手な推測であり、もとより弁護する気など毛頭ないが、
    美代子の心に空いた底なしの穴のような寂寥と、家族に対する狂おしいほどの渇望が、
    この事件の根源ではないだろうか。
    自殺という卑怯な手段で全てから逃げたことが、
    弱く憐れな本当の彼女を物語っているように思った。

  • 20140112
    どうしてこんなひどいことが、できてしまうのか知りたくて読んだ。元を正せば、美代子の親がひどく、さらにひどくなってしまったのが、美代子だと思った。救えた命があったことが本当に悲しい。家族内で殴り合いをできてしまう精神状態は誰にも理解できないほど、つらいことなのだろう。そして、川村大江さんたちがそうだったように、いつ誰にふりかかるかわからないことが、怖くて仕方なかった。本としては少しわかりづらかったけど、仕方ないのかな、

  • 尼崎連続変死事件のルポルタージュ。
    あの事件は当時TVの報道で見て、かなり衝撃を受けた。マンションのベランダに設置された「監禁小屋」はまだ記憶に新しい。今回この本で詳しく内容を知って、その異常さに改めて戦慄した。戦後まもなくの時代とかではなく、これがごく最近の出来事だということに驚く。
    推理小説なら投げ出しているレベルで人物相関図がややこしい。身内や関係ない人をも巻き込んで、角田美代子という一人のおばさんが、暴力と洗脳でこんなに人を支配してしまえるものなのか。茉莉子さんや猪俣光江さんなど、救える命もあっただけに、警察が民事不介入ということで周りの訴えをことごとく無視していたことに怒りを覚える。角田美代子はその尋常ならざる洞察力と人を操るすべを、会社経営とかもっと正当なことに使えなかったのだろうか…。

  • 尼崎連続変死事件がどのように起こったのかを時系列ではなく、筆者視点で追うノンフィクションです。
    筆者の事実が徐々に明らかになっていきますが、主犯とされる角田美代子の心理は結局闇の中で終わります。
    ボクら一般人が凶悪犯罪の心理を知る目的は、単なる好奇心でしかないので、この事件をモデルとした小説を期待しています。

  • 美代子の暴力団まがいの支配も恐ろしいが、助けを求めてきた人々を見殺しにした兵庫県警の反省が全く見られないのがもっと恐ろしい。

  • 事実は小説よりも奇なり。

    この本にエンターテイメント性を求めているのであれば、
    これよりもずっと面白いフィクションのミステリ等いくらでもあるのでそちらをおススメします。

    これは、あくまでも、現実のお話。
    ですが、簡単には信じがたい事実がここにはあります。

    この本を読んでいて私が折に触れて思ったことは、
    これと同じ現象はすでに我々が年端もいかぬ幼少期において起こっているということ。
    退路もない、仲間もいない、疑心暗鬼の中、互いに傷つけあうことしかできない世界。
    支配者がいて、生贄がいて、傍観者がいる世界。
    これと似たようなことは、いまや学校や会社、どこにでも起こってる。

    ただただ、読んでいて一番恐ろしかったのは、
    『民事不介入』の一点張りで警察が一切関与しなかったこと。
    ある時は血だらけで、ある時は泣きながらに訴えているにも関わらず、一切の助けがないことが、
    一体どれほどの絶望を彼らにもたらしただろうか。

    何度文章を読み返しても、想像すらできない世界。
    まさに『地獄』としか形容できない。

  • ここ日本では、俺みたいにのほほんとした日常を過ごしている人が大多数だろうけど、こんな荒んだ闇と地獄の日常を過ごしている人がいるということに戦慄を覚える。
    それにしても民事不介入。わかっちゃいるけど、もうちょっと何とかならんのか。

  • 尼崎連続変死事件を追ったルポ。当時報道で見てた時はなんだかよくわからなかったが、本書を読んでなるほどこれは全容を理解するのは大変だわと納得。小説より奇なりな実話であるが何より恐ろしいのはこの事件、ある一線を超えなければこんなに話題にならなかったのだろうという読後感。確率低くても自衛の心が必要。書いてないけど地域性の問題もあるのだろうが。

  • 恐ろしすぎる。家族を人質に取られ、暴力で支配された人間は家族をも傷つけるのか…
    これが21世紀の事件ということが信じられない。警察は忙しいのかもしれないけど、こういう事件を見過ごしてきたということは罪深いし、責任を誰も取っていないというのも腹立たしい。

    自分がこういう事に巻き込まれた時に家族を守れるんだろうか。自分は大丈夫と思っていても、身内や知り合いから飛び火してくることもあるので、弁護士の知り合いを何人か見つけておきたいところである

  • 修羅の国あまがさき…(縁がある場所なので読んだのだが)
    まともな優しさや遠慮につけこまれて家族が崩壊していくのを読むのはつらい。こんなに必死な訴えがあったのに民事不介入ってことで流されてしまっていたのが本当に本当に悔しい。

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