怪物執事 英国を魅惑した殺人鬼の真実

制作 : 村上 リコ 
  • 太田出版
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本棚登録 : 36
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313951

作品紹介・あらすじ

1978年、スコットランドでひとりの人間が終身刑を言い渡された。ロイ・フォンテーン-本名アーチボルド・ホールは数々の屋敷に執事として入り込んで金品を盗み、実弟をふくむ5人の人間を殺害した。「執事になりすまして主人を殺す」「著名人との華麗でエロティックな交友関係」「男女問わずとりこにする爛れた性生活」など、彼が獄中から語るスキャンダラスな物語は、タブロイド誌をにぎわせ、大衆の興味をそそった。彼の語る華やかな物語は、どこまでが真実なのか。その謎に、彼自身の証言と事実の両面からはじめて光を当てる。

感想・レビュー・書評

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  • 著書は弁護士兼著述家で、
    本書は英国の連続殺人犯「モンスター・バトラー」
    ロイ・フォンテーンこと
    本名アーチボルド・トムソン・ホール(1924-2002)
    の虚像と実像に迫った評伝。
    己の所業をナルシスティックに美化・正当化した
    ホールの自伝に沿って人物像を素描し、
    しかる後に、その虚飾を剥ぎ取っていく。

    まずは窃盗の罪で服役、出所。
    社交界情報誌で執事の求人を探す。
    貴族やブルジョアの家に住み込めば、
    高価な宝飾品などを盗むチャンスに恵まれるから、
    というのが実益に、また、
    上流階級の雰囲気を味わいたい、
    金持ちに仕えることで「上質な文化への嗜好」を
    満たしたいから――というのが
    趣味に基づく動機だったという。
    執事になるためのトレーニングなど
    受けてはいなかったが、
    映画の見様見真似で、それらしく振る舞えたし、
    また、この職業は当時既に廃れていたので、
    もっともらしく書かれた偽の紹介状を携えていれば
    簡単に雇い主の家に潜り込めたそうだ。
    絶滅危惧種ながら、否、それ故に(?)
    一定の需要があったとは
    さすが英国というべきか、摩訶不思議。

    さて、キャッチ―なタイトルに
    まんまと釣られて衝動買いしたわけだが、
    アンソニー・ホプキンス演じる
    レクター博士のような人物の話を
    期待していたものの、
    現実は断然しょっぱかったのだった。
    そんなクールでエレガントな殺人鬼ではない
    ホール受刑者、ばったもん臭プンプン。
    連続殺人といっても、それは盗みの結果
    逼迫した状況を打開するための愚策に過ぎず、
    殺すこと自体が目的という快楽殺人ではない。
    故に薄味かつ雑味が目立つ。

    自分を実物より大きく、美しく見せようと
    嘘を重ねる人間に、時々実際に出会うが、
    当人の目的が
    見栄を張って話を「盛る」ことだけなら
    大した実害はないけれど、
    「脳内現実」を拗らせた挙句、
    やっつけ仕事のように殺人を犯されたのでは
    被害者や遺族は堪ったもんじゃないなぁ。

  • ガッカリな点は偽執事だったこと

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