初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

著者 :
  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313968

感想・レビュー・書評

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  • 初音ミクと日本の音楽の現状について知りたくて読書。

    初音ミクという映像(音楽?)を目にする機会が増えてきている。しかし、どんなもので、どんな風に誕生したかなどの背景は全く知らなかったので勉強になる。

    21世紀の音楽文化に革命とも言える衝撃を与えたボーカロイド技術。音楽を所有する時代から、聞きたい音楽をコンテンツとして購入して楽しんだり、共有する時代への変化。

    初音ミクでCDデビューする人。自己実現のツールとしての初音ミクなど興味深い現象で、書名の通り、初音ミクが日本の音楽文化そのものを進化させつつあるのだと感じた。

    人間が存在する限り、音楽は無くなることはない。音楽を聞く手段、媒体が変化するだけである。今はそんな過渡期なんだなと実感。

    去年バンコクの空港鉄道(シティーライン)一面に初音ミクがプリントされていたのを見たが、アニメでもない、J-POPでもない日本初のボーカロイド文化が、世界へ広がり、世界の音楽そのものを変えるなんて言われる日は訪れるのであろうか。

    本書ではフランスの例が紹介されていたが、個人的に中国や他国での状況に関心がある。

    読書時間:約50分

    本書は知人から借りています。有り難うございます。

  • ボカロムーブメントをポピュラー音楽界の転機、「サード・サマー・オブ・ラブ」として捉え、2007年のVocaloid発売前夜から関係者の証言を追ったドキュメント本。

    世界を変えたのかどうか、いやまだまだこんな変化は序の口なのか、それも含めて未来はまだ分からないというボカロ界隈の発信ですが、少なくとも証言集としてはかなり貴重。柴さんの仕事ぶりに敬意を表すべき1冊といえましょう。

  •  序章「僕らはサード・サマー・オブ・ラブの時代を生きていた」一章「初音ミクが生まれるまで」二章「ヒッピーたちの見果ての夢」の流れだけでも初音ミクが生まれた背景から技術の進化とヒッピーカルチャーとコンピューターを繋いだ男、そしてアメリカ西海岸というインターネット文化の始まりから今へとわかりやすく書かれている。

     一九六七年のアメリカ、一九八七年のイギリス、二〇〇七年の日本、二十年おきのサマー・オブ・ラブには「新しい遊び場」と誰でも参加可能なコミュニティと中心に音楽があった。そう歴史が繋がれている。
     ゼロ年代以降に分断されたものを柴さんが意識的に意欲的に自分が関わってきたジャンルできちんと接合しようとしている感じが読んでてする。
     上の世代と今の若い世代の狭間で分断されてしまった歴史をきちんとこういう流れがあって初音ミクに繋がるんだよって。すごくそういうの大事だと思う。この書籍はできれば初音ミクとかが普通にあって聴いてきた若い世代が読む事で自分たちの親世代とか上の世代に起きた事やそれが脈々と繋がっている、歴史という時代の果てにあるんだよってことを知ることができると思うし断絶したものを繋げれる一冊になっている。

     人形浄瑠璃などの文化がある日本で初音ミクが生まれて育つというかユーザーの間で育ち世界に放たれていったなどの話も興味深いがクリプトン社の伊藤社長にしている最後のインタビューは文化がいかに育って行くのか、一発屋みたいなヒットカルチャーから豊穣で次世代に繋がって行くものに育て行くかについての姿勢と新しいものは奇跡的なタイミングと出会いによって生まれてくるものだとわかる。

     ボカロPたちもただ楽しむために始めたものが広がっていった。初音ミクを開発していた人たちのバックグランドにあったものが与えた影響など本書に書かれていることは「初音ミク」を巡るゼロ年の景色のドキュメンタリーだがこの十年に定番になって音楽シーンを賑やかなものにしている。

     柴さんにはぜひ二十年後に起こりうるであろう「フォース・サマー・オブ・ラブ」について書いてほしい。その時二十年前に起きた「初音ミク」からの影響や類似点を挙げてもらってとなると音楽の歴史書のようになるのかもしれない。

  •  初音ミクとは何かに迫った一冊。

     初音ミクは20年ごとに来る音楽の熱気、サマー・オブ・ラブだと始まるこの一冊。初音ミクの誕生を点ではなく音楽史や創作の歴史という線で追っている。
     初音ミクを超えてボカロPの名前で曲が買われている現在。なぜそのようなことが起きているのか、この本を読んでなんとなくそれが分かったような気がした。
     しかし、初音ミクの声って完全な人口音声じゃなくて元の声を撮った声優さんがいるのね。本当なんにも知らなかった。。。

     初音ミクを知るなら必読の一冊。

  • 初音ミクを、萌えコンテンツとしてではなく、もっと純粋に、60年代からの音楽シーンの流れに位置づける試みとして論が展開されてます。
    音楽詳しくないのでいちいち知らないことばかりですが……
    ツール自体の価値よりも、ネット上で人々(の創作)に相互作用をもたらすハブとしての価値に注目しているのが面白く、なるほどと思いました。2007年という年の偶然の凄さも。
    「あ、これ読むなら今じゃないと鮮度落ちる」と思いました。

  • 初音ミク現象を第三の「サマー・オブ・ラブ(音楽を中心に文化・政治的な主張を伴った社会現象)」に見立て、様々な「目立つ」当事者及び関係者との対話と著者のポジティブな想いを熱っぽくドキュメンタリーに仕立てたエッセイ。
    私も聞く側+aとして真っ只中にいた。内部のドロっっっっっドロ抗争にはなるべく蓋をし(カラオケあたりやryoさんの歌詞にちらっとだけ見えるが、もっと目もあてられない状態だ)賛美的に脚色された、厚さのわりにすらすら読める楽しい文章だった。
    サマー・オブ・ラブと呼ぶには現象に政治思想があるかどうか…個人的には著作権・創作の分野に一石を投じて欲しいと願い、本の中にもあるように実際動いている方もいらっしゃるが、現象全体の思想の『主流ではなかった(内部のドロドロに一役かうほど)』とも感じている。
    明るい未来を感じて欲しい「初音ミクに興味を持った一般の方」にオススメしたい夢のある本だ。

  •  ネギを振る少女がフランスでオペラをするようになったという壮大な出世物語……なんですが、確かに、初音ミクって最初はオタク向けのネタキャラかと思っていた。けれども、初音ミクはみんなの創りたいという気持ちにマッチしたツールであり、それを生かすニコニコ動画やYoutubeなどの土壌があって花開いたのだなぁとしみじみ。初音ミクの曲が聴きたくなる。
     にしても、帰ってきたヨッパライが根に有るとは知らなかった(笑)

  • “ボーカロイドの「現象」は何故生まれたのか?それは初音ミクというキャラクターがクリエイターたちの想像力を喚起したから、そして初音ミクという一つの「ハブ」を元に創造の連鎖が起こったからだった。
    こうして初音ミクは単なるキャラクター人気としてのブームではなく、クリエイターたちの創作が重なり合うムーブメントとして広まっていったのだ。”[P.146]

  • 初音ミクというボーカロイドについて、21世紀における音楽的位置付けをメインに論じた本。関係者への多様なインタビューが興味深い。
    ブームは意図的に始まったものではなかった。インターネットは多くの人に機会を提供し、クリエイティブな創作活動へ参加するきっかけとなっていく。
    これまで時代の中心であったお金という価値観さえ変えてしまう力。第三の革命といわれる情報革命のなかで、たとえ、初音ミクというブームが去ったとしても、この出来事はカルチャーへと繋がっていくのだろうか。

  • 今や日本を代表する歌姫となった、初音ミク。
    彼女はどのようにして生まれ、どこに行こうとしているのか。

    この本はその初音ミクを、音楽的側面から見た初の本と言える。

    ボーカロイドが開発されたその経緯や、ニコ動でのブレイクしていく様子。
    それをきっかけにして様々な作曲家が生まれ、ついにはパリでオペラ公演をするに至るまで、非常に多くの人々にインタヴューが載せられている。

    一読して感じたのは、この初音ミクという現象・・・日本のあらゆる物に神がやどるという思想や、日本の先端的音楽技術、様々なキャラクターを生み出し育てるという文化的土壌が背景にあったことが、単なる流行りではない、一つの新しい世界を生み出したことが分かる。
    おそらくは日本以外ではこんなことは起こりえなかっただろう。
    ネットでの音楽配信やダウンロード時代の到来は、音楽の衰退を招くどころか、新しい可能性を切り開いたと著者は説明する。
    ミクをきっかけにして多くの才能が生まれ出でた事実の記述に自分は驚嘆した。
    このような流れは今後も続くだろう。

    グーグルやトヨタなど様々な企業とコラボし、海外でのライブは熱狂をもって迎え入れられた。
    世界へと羽ばたく初音ミクの広がりは、とどまることを知らない。


    彼女が繰り広げるこの舞台は、まだ序章が始まったばかりのようだ。

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