- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778314033
作品紹介・あらすじ
『フード理論』で読み解くとまんがが100倍おもしろくなる。おいしい名作まんがから生まれた、かわいいお菓子レシピ&愛たっぷりのエッセイ集!諌山創、雲田はるこ、中村明日美子、水城せとな、豪華ロングインタビュー。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第一弾が面白くて面白くて、福田さんの展開する「フード理論」にすっかり魅せられた私。あれから7年。今回の「おかわり」発刊は小躍りするほど嬉しかった!!
今回も様々なジャンルの様々な名作が集合。第一弾に比べ、自分の読んだことのある作品が結構取り上げられているのが嬉しかった。勿論、未読の作品に対してはぐぐっと興味をそそられ。そして、前作以上に冴えわたる福田さんのフード解釈は、的確すぎて悶絶ものです。「進撃の巨人」の諌山創氏が、福田さんのフード理論に影響を受けていたとは驚き!勿論「進撃の巨人」もフードまんがであり、フード絡みの名シーンが満載との指摘に、俄然読みたくなってきました!
もうひとつ驚きの理論が、「読み合わせ」。ケーキとコーヒーのような、いわゆるおいしい食べ合わせ。同様の考えで、まんがでもあの作品とこの作品を続けて読むと印象が変わる、より味わいが深くなるという相性のいい組み合わせが存在するという。へえ~~~~!!!例えば、前出の「進撃の巨人」は寄宿舎まんがとして読むと「トーマの心臓」(萩尾望都)と読み合わせがイイんだそう。何より、共に他人に「心臓を捧げる」話だから。うお~~~!!!すごすぎるよ着眼点が。このように、柱コラムにまでマンガ解釈がビッチリ書き込まれてて、読みごたえがありすぎる。
福田さんと雲田はるこさん、そしてマンガ研究者のヤマダトモコさんとの対談も濃かったな~。古い少女マンガの蔵書の中から究極の一冊「俺のりぼん」を選ぶとか…かつてのりぼん読者として、懐かしすぎてこれまた悶絶しました。私も、「俺のりぼん」を探しに行きたい…!(この本はどこを読んでも悶絶しまくり)
当然、本職であるおかしレシピも素敵すぎます。レベル高すぎて料理下手な私に手は出せないが、物語の細かいディティールをこんな手法で、こんな素材で表現…なんて、福田さんしかできないとつくづく思う。中でも、西炯子さん「娚の一生」の、“もじりや本舗特製 角島銘菓おもかん”。西作品は細かいもじりが魅力で、角島が鹿児島のもじりなら、鹿児島銘菓の「かるかん」をもじって「おもかん」って(笑)隅々までぬかりがないんですホント。その発想が素晴らしい。
おまけだが、1972年の福田さん少女時代のイラスト&ポエム、これが何気にクォリティ高くて面白かったな。第一弾にも載ってましたが、そこからの成長を感じられて(笑)よくぞ載せてくれたと思う。
そして、よしながふみさんの表紙イラストの料理男子にも萌え~。コップの持ち方にもこだわりあり、ここもまた某作品と関連付けられてます。これはもう、マンガ好きのバイブルだな。読み合わせは是非参考にしてみたい、新たな発見ができそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「おかわり」は表紙がよしながふみさんで、これはもう一目で読まなければ!と。
きれいな写真で紹介されるユニークな創作お菓子の中には、とってもおいしそうなのもあるんだけど、今度もレシピはそっちのけで、漫画論として楽しむ。雲田はるこさんへのインタビューでの福田さんの発言「一人でここまで来たと思うなよ?(笑)」にはっきり表れているように、漫画史(主に少女漫画)を俯瞰した視点で、漫画というジャンルを開拓してきた方たちへの敬意を柱として書かれているところが、いいなあと思うのだ。
以前のようには漫画を読まなくなっているので、この雲田さんをはじめとして、インタビューが載っている漫画家さんは、名前も知らないか読んだことのない人ばっかり。それでもしっかり面白い。特に、水城せとなさんと雲田はるこさんが興味深かった。著者が言うように、漫画は今もずっと進化を続けていて「ここまで来て」いるんだなあと(あんまり「ここ」は知らないが)しみじみ思った。ずーっと第一線で描いている先生方はまったくすごいものだなあ。
懐かしかったり、今現在楽しみに読んでいたりする作品については、今回もなるほどなあと思う所がいろいろあった。
「レディ・ギネビア」
うーん、懐かしい。華麗な絵柄とラディカルな内容が好きだった。以下のくだりには深くうなずく。
「今考えると戦後少女まんがの創成期から80年代初頭まで、少女まんがの王子様はほぼ全員童貞だったと思う。作者も読者も『理想の王子』の顔と身長と髪型と育ちと知的レベルと才能と服のセンスには、皆一家言持っていたけど、王子の下半身事情だけは常に霧に包まれたようにもやっとしていた」「それを決然と打ち破る『性に奔放な王子様』を明示し、読者に衝撃を与えたのが名香智子さんだ」
「こいきな奴ら」
一条ゆかり先生については、ファンと言うほどの気持ちを抱いたことはない。でもやっぱり、なんたって「女王様」だと思う。それが何故か、これを読んで納得。
「地方出身(本人曰く貧乏な家だった)の一条ゆかりさんは10代にして上京を果たし、ずば抜けた才能とペン1本で若くして少女まんが家として成功した。誤解を恐れずに言えば、だからこそ彼女の描く都会には『まだ見ぬ都会がこうだったらいいのにという過剰にキラキラした田舎者の夢』が、コマの隅々まで溢れんばかりに具現化されているのだと思う。都会が地元という人間にこれは描けない」「まさに地方の田舎町で生まれた私-すなわちごく一部を除く日本中の少女読者が該当する出自-が待望した感性だ」
「海街ダイアリー」
今一番楽しみに次巻を待つまんが(あ、待て!「ガラスの仮面」と並んで、と追加)。吉田秋生先生は「カリフォルニア物語」の頃から大好きだったが、ここにきてこんなに深くて温かいものを読めるなんてと、読み返すたびに感激する。
「1巻の冒頭、…佳乃の情事後の朝帰りで幕が上がると、矢継ぎ早に父の訃報が飛び込み、三姉妹で囲む朝食会議の後、慌ただしく会社に出勤する……たった7ページの中に既に性と死と食と再生が描かれていることにまず愕然とする」 ほんとだ。
「一緒に遭難したいひと」
これは読んでない。でも読んでみようかなと思う。
「ヒロインより背が低い彼氏、それは少女まんがでは長きにわたってタブーだった。女子の”王子様”は自分より背が高い信仰は、存外根深いとみえ、じつはバツイチ、近親相姦、不倫、貧乏、どSなんかのほうが、ずっと王子様認定しやすいという、この微妙な乙女心を誰かに分析してほしい」
「聖☆おにいさん」
これはもうマンネリになろうが何だろうが、ずっと読み続けたい。その魅力は確かにこの通りだ。
「有名なフード噺を無数にお持ちの二人は逸話から二次創作された抱腹絶倒なギャグを連発する。しかし“聖人”なので、ギャグをかましても悪人と受け取られたり、下品に見えるのは避けたいわけで。大笑いできるけれど、わたしたちはどこか品のある笑いでなくてはね?イエス……そうだね、ブッダ、ウリエルたちが飛んできちゃうと、わたしも困るよ~、という絶妙に上品な着地点に笑いを決める作者のコメディセンスに舌を巻く」 -
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
図書館でまとめ読み。
何年も探していたが、まさかの隣町の図書館で発見!ごちそう様です!
フード理論面白く読みました。皆がここまで考えて描写してるのかな?好きな作品で食事シーンをどのように描いているか気になっちゃうな。 -
コメント
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思ってたのと内容が違った。てっきり作品内で描かれた料理の再現だと思ってたのに。実際はイメージ料理でした。町でうわさの天狗の子の三つ編みパン。うん、しめ縄みたいな三つ編みパンが出来上がってたわ(笑)剛毛量多めの私が三つ編みしたらあんな感じになるんじゃない?
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「よしながふみ」というペンネームの由来初めて知った!そうだったのかw
前作と比べ、フード理論をより分かった気がする。諌山先生と中村明日美子先生のインタビューも面白かった。 -
「進撃の巨人」と「トーマの心臓」の食べ合わせならぬ読み合わせがいいという柱コラム、よくそんなこと思いつきましたね…!確かに、どちらも「他者に心臓を捧げる話」だ。
命を捧げるというフレーズはありふれているのに、心臓を捧げる、という表現はどきっとするほどの強さを伴う。
どちらの場合も、物語を貫くテーマのような言葉だけれど、一方は、人類のために戦う兵士達が心を奮い立たせる合い言葉であり、もう一方は、たった一人の誰かへの愛の言葉である。この違いと共通点はちょっとおもしろい。
各まんがに捧げられたおやつ達は、いちいちお洒落なだけでなくアイデアが秀逸で「そう来たか」と毎回にやっとする。愛がこもってるなあ。昭和元禄落語心中のおざぶとん水羊羹がめっちゃかわいいです。猫村さんの背中模様のラングドシャ(ちょっと猫背気味)とか…