日本建築思想史 (atプラス叢書10)

著者 :
制作 : 横手 義洋(聞き手) 
  • 太田出版
3.50
  • (2)
  • (2)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 95
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314217

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 凄く面白かったが、まだ早かった、、、
    今の僕にはとても難しい、大学3年生くらいなったらまた読みたいと思った。

  • おもしろかった

  • 磯崎は自身のことを建築思想家と捉えていて、自身の系譜に連なる近代〜現代の四人の建築家を題材に語る日本の建築思想史。
    最後の鈴木博之をめぐる議論が全体の総括のようになっていて、言葉の装飾も剥ぎ取られた本音に近いものがにじみ出ております。

  • ふむ

  • 建築を思想という視点で、歴史的に見つめる。
    磯崎新の思想と批評精神がうまく引き出された本で、
    建築が時代に応じて、どう変化してきたのか
    ということが、解明されている。

    1920年 堀口捨己。茶室の研究。八勝館
    1945年 丹下健三。広島平和記念館本館、代々木オリンピックプール。
    1970年 磯崎新。群馬県立近代美術館、水戸芸術館。
    2020年 妹島和世。金沢21世紀美術館。

    この4人が、日本の建築の思想を形作った。
    その時代を、継続しながら、切断する。
    磯崎は、「わ」と「間」で、建築を考察する。
    時間そして空間。さらには、人間。
    日本語の特徴として、Time、Space、Humanには、間がある。
    岡倉天心は道。九鬼周造が粋。谷崎潤一郎が陰翳。
    虚、間、灯に照らされた闇。
    建築を考察するとは、時代を考察することとなる。
    時代とともに寝たという磯崎新の本領が発揮される。

    日本的なものとしての堀口捨己。
    茶室を非都市空間として、捉えることで、日本を演出する。
    丹下健三は、日本的なものと西洋的なものを統一する。
    広島平和公園は、桂離宮をモチーフにし、
    代々木オリンピックプールは、伊勢神宮をモチーフにする。
    モダン建築の巨匠 ルコルビュジェとロイド・ライトの流れの中で、
    ミケランジェロをそのメルクマールにする。
    「機能的なものが美しい」とルコルビジェが言う。
    丹下健三は、「美しきもののみ機能的である」と言う。
    その反発としての 磯崎新。
    巨匠に対して、反抗する 大学ではなくて、在野の建築家として活躍する。
    建築批評と建築を思想家し、言葉で語ろうとする。
    それは、建築を理解する上で、実に重要だ。

    その次に、つなぐものが 妹島和世だと言う。
    継続され、切断している。
    金沢21世紀美術館の持つ、入口と出口がいくつもあるスタイルは
    今までの美術館とは 違った建築物を提供する。

    建築の本質とは何か?
    建築は、どこに向かうのか?
    建築と都市、そして国家の中で、考える。
    合 反 非 隠 奥
    モダンから、ポストモダン、ネオモダン

    磯崎新はいう
    「東大の先生は要するに、お国が正しかろうが間違っていようが、その時代の国の方針を正当化するための立ち回りを社会的にせざるを得ない」と言う発言が 小気味良い。

    建築のアイコン。時代を象徴するアイコン。
    造形力ではない別な魅力を備えた建築になってほしいと横手は言う。
    わかりやすく、面白く、建築思想史が学べた。

  • 建築家・礒崎新が日本の近代建築を振り返って語るインタビュー形式の読物。書名から連想される教科書的な構成ではない。建築の専門知識がなくても断片的なエピソードを楽しめる。
    初めに、建築史100年を4つに区切り、それぞれを堀口捨己、丹下健三、礒崎新、妹島和世に代表させる歴史観が示される。それは例えば、日本/国家/都市/共同体に対応する。
    特に妹島和世について「近代建築の理解から外れている」「僕から見るとふつうではない」「いちばん素っ頓狂な解法を示した」と、その新しさを率直に評価している件がおもしろい。
    ところでこの本は太田出版「atプラス叢書」の第10弾。白井聡『永続敗戦論』、東島誠・與那覇潤『日本の起源』、大竹弘二・國分功一郎『統治新論』等、様々な角度から日本の現在地を照らし出そうとしている。担当編集者・柴山浩紀氏にも注目しよう。

  • 磯崎新さんを知るには格好の入門書になります。もっと難しい本だと思って構えて読み始めましたが案外読みやすく気持ちよく読み進められました。

    磯崎新に興味を持ってその作品(著書・建築・アンビルド建築)を見ていこうとするひとがいたらまずこの本を読んでからだといい感じになると思います。

    「建築を批評としてデザインする」 この一言でわだかまりが氷塊します。

    磯崎新さんは建築のデザインを信じている。

    僕はまだわかりません。レトリック・追従・弁論術に否定的だからです。デザインはレトリックの変奏であるという見方が一方にあって、でもデザインは面白いと思うし感動することもあります。でも使い古されてしまえば感動はなくなります。音楽でも感動して何回も聞いていたら飽きてうんざりした感をいだくことが多々あります。デザインもそんな消費されるものとしてあるなら僕には価値があるとは思えない。

    ただ消費としてあるのではなく、例えば労働力の商品化の廃絶、消費の廃絶のようなそんな理想社会から建築があるならそこにどんな建築が可能でどんなデザインが可能なのか興味があります。

    磯崎新さんの著作を再読してみたいと思い、「磯崎新建築論集」を読みたいと希望していますがあまり時間がありません。他に研究したいこともありますし、そんな人にはこの本は最適かもしれません。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

磯崎新(いそざき・あらた) 1931年生まれ(85歳)。建築家。代表作「つくばセンタービル」でポストモダン建築の旗手と目された。1996年ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展金獅子賞受賞。

「2017年 『空間へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

磯崎新の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×