奴隷のしつけ方

  • 太田出版
3.46
  • (7)
  • (47)
  • (40)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 525
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314750

作品紹介・あらすじ

古代ローマ貴族が教える、究極の"人を使う技術"

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 代々奴隷を扱ってきて奴隷の扱いはお手のものという架空の人物・マルクスが語る奴隷管理方法の本。ケンブリッジの教授さんこんな遊び心のある本だしちゃえるんだなぁ。

    これを読んだ誰もが思うでしょうが、現代の会社と似ている。勿論ここまではしないよってこともあるけど奴隷の方がマシじゃないのこれってこともある。

    奴隷を不当に傷つけたり殺したりが禁止されていたり、自殺未遂歴を開示しなきゃいけなかったりしたのは知らなかった。また開放された後も主人のために働くのが当たり前だと思われてたことも。この辺りもプライペートの時間って何それな会社に通じるところがあって微妙な気分になった。

  • ローマの奴隷制度についてローマ時代に書かれたという体で書かれた本。
    奴隷に対する主人のあり方は、翻って現代の会社組織にも当てはまることが多々ある。
    焼きごてとかされないだけましか。

  • 古代ローマの「架空の」貴族に語らせた、奴隷の扱い方ハウツー本です。面白いです。
    古代ローマの庶民の生活も分かりますし、とにかく奴隷制度が当たり前に定着している様子が分かりますね。
    最後に触れられていたように、時代的に、キリスト教は奴隷に支持されて広まってきたのかと思ってましたが、どうやら違うようですね。
    本書を、組織の管理方法論と見るか、古代の大衆歴史書と見るか、なかなか興味深いです。

  • 2016/01/09【新】

    奴隷側にならないよう生きていこう。

  • ローマの貴族マルクス・シドニウス・ファルクスが書いた奴隷管理法、という体裁をとって、
    古典研究者ジェリー・トナーが書いたギリシア・ローマ時代の奴隷についての解説書。

    訳者あとがきにあるように「こんな本が欲しかった! 古代ローマ人が奴隷管理法を語るタイムトリップガイド。生身のローマが見えてくる!」という、ローマ時代の生活には、切っても切れないというか当然のように存在した奴隷について、様々な文献の記述から、いまそこに見えるように生々しく平易に解説した本。
    奴隷の立ち位置、奴隷との付き合い方の基本、奴隷の買い方、奴隷への罰の与え方、奴隷の解放について等々、記述は詳細かつ多岐にわたる。

    そこには、貶められた獣のように扱われ使役される奴隷ではなく、主人の所有物という法的な立場はもちながらも、存在を認められ、働き、生きた、奴隷という存在が見えてくる。

    著者は、「しかし、いくら存在を認められとはいえ、今の時代にはマルクスのように奴隷制を容認し、それを正当化する人はいない。しかし、現代はどの国でも奴隷制は違法であるといっても、奴隷状態に置かれているひとはたくさんいる。Free The Slave というNGO団体の統計によれば、暴力で脅されて労働を強要され、給料ももらえず、逃げる希望さえない人が2700万人いる。現代社会には、古代ローマのどの時代より多くの奴隷がいるのです。」と、本書を締めくくる。

    さらに、現代社会には、消費を煽られることによって精神をコントロールされ、給料をもらい自由に生活しているという形をとりつつも、自分の精神は縛られ、稼いだというお金は搾り取られ、老後はクズのように捨てられる、より多くの奴隷的立場にある国民が多くいる。それに強く矛盾を感じた。

  • 【選書者コメント】ヤマザキマリ推薦!
    [請求記号]2320:63

  •  著者は古代ローマの貴族だ。といっても、実在の人物ではない。解説者であるジェリー・トナーが作り出した架空の人物だ。トナーは英ケンブリッジ大で古代ローマの社会文化史を専門とする研究者。本書では架空の同時代人に語らせることで、ローマを支えた奴隷の仕事や暮らしぶりを生き生きと描写してみせた。

     古代ローマには奴隷があふれていた。正確な統計は難しいが、首都ローマでは3人に1人が奴隷だったと推定される。彼らは田畑を耕し、家長の食事の準備や洗濯、掃除などあらゆる家事をこなす。富裕層にとって奴隷所有は生活水準を示す指標でもあり、手紙の朗読や代筆、食事の時の演奏のためだけに専門の奴隷を持つ者もいた。
     興味深いのは、家長が奴隷を単なる「使用人」とみていたわけではなく、自らが支配する集団「ファミリア」の重要な一員と考えていたことだ。ファミリアの繁栄には奴隷の働きが欠かせない。家長は良い働きをした奴隷には相応の報酬を与え、時には結婚も認めるなど、その管理に細心の注意を払っていたという。
     解説者のトナーはセネカなど古代ローマ人の著作を史料に、当時の奴隷に対する価値観を読み解く。それでいて内容は堅苦しくない。古代ローマ社会を知る入門書として役立つ。橘明美訳。(太田出版・1800円)

  • うーん、まあまあかな

  • 日本語のタイトルこそ衝撃的ではあるが中身は結構マジメに書かれている本。
    この時代のギリシャを研究している学者が架空の人物(マルクス・シドニウス・ファルクス)を設定して、その人に奴隷について語ってもらい解説を付けるという体裁。ご丁寧にも扉の著者紹介には彫刻の写真が付けられ、プロフィールもちゃんと付いている。
    こういう作りかたの本は日本にはあまりない。
    単に学者が古い文献についてアレコレ言うのではないので物語調で面白い。

    そして奴隷というものは現在の語感ではとてもつもなく酷い制度のように思えるのだけど、実際のところはそうでもなかったということがわかった。奴隷でも長年きちんと働けば解放されて自由人になれる、とか意外に緩い制度だったようだ。

    架空の人物は言う。大事なのはその人の仕事内容ではなくその人の品性であるとして「品性は自分自身で養うものであり、その人固有のもの」p.109と。だから奴隷でも品性のある者もいるし自由人でも下品な者もいる。金に困って奴隷になる者もいれば立派な働きをして自由人になる者もいる。奴隷制度は流動的なものだった、ということは衝撃的なことだと思った。

    また、人を支配する時にはどうするべきかの心得を語り手が色々と教えてくれるので一種の権力者のための知恵を提供するというような側面もある。たしか、この本の存在を初めて知ったのは何かビジネス系の雑誌(東洋経済とかプレジデントとか)の書評だったと思う。多くの部下を持つ人たちにも役に立つ内容と言えなくもない。

    たとえば、
    「奴隷所有者は社会の上に立つ者として常に道義をわきまえ、公正でなければならないし、それは相手がそれに値しない者であっても変わらない」p.53
    などという箇所を読めば、人の上に立つ人の心構えとして現代の人間にも十分に通じる内容である。
    あるいは
    「最下層の無知な奴隷ほど、不当な扱いに腹を立てると危険な存在になる」p.77
    なんてところは本当に的を射ている。だからこそ最下層の者でも「たまには」意見が言える状況にしておく必要があるという。

    この本を読んで、へぇと思ったことはいくつもあるけれど、思いつくままに記すと以下の通り。
    ギリシャの奴隷は運命だったが、ローマの奴隷は流動的だったこと。
    女奴隷には主人の子供を産ませてその子供は奴隷になること。
    (子供を産まない女奴隷は解放されない+3人くらい産むと解放される)
    奴隷は所有物ではあるけれど殺してはいけないこと。
    解放されても主人との交流は続くこと。

    全体的になかなかに面白い内容だった。
    架空の人物が奴隷をナチュラルに見下しているところも皮肉が効いている。そして解説者(実は作者)がそれをたしなめるところもあったりして洒落たつくりだ。

全46件中 1 - 10件を表示

奴隷のしつけ方のその他の作品

奴隷のしつけ方 Kindle版 奴隷のしつけ方 マルクス・シドニウス・ファルクス

マルクス・シドニウス・ファルクスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
田中正人
シーナ・アイエン...
スティーブン・ピ...
ベン・ホロウィッ...
中村 文則
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印

奴隷のしつけ方を本棚に登録しているひと

ツイートする