脳がわかれば心がわかるか (homo viator)

  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315191

感想・レビュー・書評

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  • 2021I074
    114.2/Ya
    配架場所:A3 東工大の先生の本

  • おばあちゃんが亡くなったときの悲しみは、ただシナプスの反応に過ぎないのか・・・まぁ、そんなことを言われたらムカっとくるだろう。でも、脳科学で進めばそうなるんだよ、という人はたしかにいるのかもしれない。その感覚的にはなんかヘンだなぁということを、さまざまな文献を広げつつ話してくれるのが本書の楽しさだ。本書によれば、それはやっぱりちょっと変だよ、ということになる。幅広い本からの知識が、疑問に答えてくれるあたり、読書っていいものなんだなと楽しく思えた。

  • 「心の哲学」の導入として分かりやすいと思いました(厳密には「心脳問題」が主題ですが)。実験の解釈に「あれ?」と思うことも。

    【書誌情報】
    著者:山本貴光
    著者:吉川浩満
    装丁・造本:有山達也+山本祐衣
    装画:ワタナベケンイチ
    価格 2400円+税
    判型 菊判(218×152ミリ)
    ページ数 320ページ
    ISBNコード 9784778315191
    搬入年月日 2016.6.06

     はんらんする脳科学・脳情報に振り回されず、「脳の時代」を生き抜くための処方箋を示した、平易かつ本質的なマップ(『心脳問題』2004年、朝日出版社刊)から12年を隔てた増補改訂版。改訂にあたって改題しました。

      [著書から|増補改訂版に寄せて]
    “旧版刊行から約10年、じつにたくさんのことがありました。本書のテーマである心脳問題をめぐる状況も大きく動いています。
     たとえば、脳科学における知見の蓄積、神経美学や神経経済学といった新分野の興隆、あるいは脳波によってコンピュータを操作するブレイン゠マシン・インターフェイスのような技術の発展は、旧版で論じた問題をさらに先鋭化させています。これまで技術的な限界もあってウヤムヤのままにしてきた諸問題に、私たちはいよいよ直面しつつあるのです。
     それだけではありません。私たちの無意識のバイアス(認知の偏り)を暴きだす行動経済学の知見や、数度目のブレイクスルーを果たしつつある人工知能研究は、脳科学とは別の角度で、私たちの自己認識と社会のあり方を根底から変えつつあります。いまや心脳問題自体が些細な問題となりつつあるのではないかとすら思えるほどです。
     しかし、それは心脳問題の解決を意味しません。本文で確認するとおり、心脳問題は私たちの心と身体をめぐるもっとも根本的な哲学問題であり、これからも何度でも回帰してくるでしょう。見ぬふりを決め込むのでもなければ、このような厄介な問題に対処する方法は多くありません。ひとついつでも有効な手は、問題そのものの性質や条件を、一度は真正面から考え抜いてみることです。たとえ解決はできなくても、理解することが力になります。諸科学の知識と技術によって人間の定義そのものが揺らぎつつある現在、あらためて何が問題であるかを示す里程標として、この増補改訂版を提示する次第です。”
     (「増補改訂版へのまえがき」より)
    http://www.ohtabooks.com/publish/2016/06/06152428.html


    【目次】
    目次 [003-008]
    増補改訂版へのまえがき [009-011]
    初版まえがき [012-016]

    第1章 脳情報のトリック――カテゴリー・ミステイクとパラドックス 017
    はじめに 018
    脳とわたし――ジレンマ 020
    「だから」の錯誤――カテゴリー・ミステイク 026
    「じつは」の欺瞞――パラドックス 032

    [間奏]頭がよくなる? 052

    第2章 心脳問題の見取図――ジレンマと四つの立場 065
    はじめに 066
    心脳問題という難問――やさしい問いとややこしい議論 067
    心脳問題の特質――「ある種の知的な気分」 070
    回答集――四つの立場 077
    [間奏]脳研究小史 087

    第3章 心脳問題の核心――アンチノミーと回帰する疑似問題 131
    はじめに 132
    心脳問題の争点――カントの第三アンチノミー 133
    アンチノミー=ジレンマの解毒剤――「重ね描き」 141
    権利問題と事実問題――ジレンマふたたび 154
    解決されず解消あるのみ――回帰する疑似問題 156

    [間奏]デカルトの神話 163

    第4章 心脳問題と社会――社会と科学、そして生 172
    はじめに 172
    科学の原理――同一性と一般性 174
    科学の力――科学/技術とジレンマ 179
    脳科学――「脳のスペック」 183
    脳中心主義――現代社会の根本教理 186
    脳科学と社会――バイオテクノロジーもコントロール型社会 194
    心脳問題の横滑り――「ある種の知的な気分」の政治性 214

    終章 持続と生――生成する世界へ 225
    はじめに 226
    科学の限界――持続と特異性 227
    持続の相の下で――構成物としての心脳問題 235

    補章 心脳問題のその後 243
    1 心脳問題のその後 科学 244
    2 心脳問題のその後 哲学 251
    3 アンチノミーのさまざまな形 253
    4 おわりに 254

    作品ガイド [257-291]
    索引 [293-310]
    初版あとがき(2004年5月 山本貴光、吉川浩満) [311-315]
    増補改訂版へのあとがき(2016年5月 山本貴光、吉川浩満) [316]

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著者プロフィール

山本貴光(やまもと・たかみつ) 文筆家、ゲーム作家、ユーチューバー。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。著書に『マルジナリアでつかまえて』(全2巻、本の雑誌社、2020/2022年)、『記憶のデザイン』(筑摩書房、2020年)、吉川浩満との共著に『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。――古代ローマの大賢人の教え』(筑摩書房、2020年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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