裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書)

著者 :
  • 太田出版
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感想 : 134
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315603

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄で未成年の少女たちの調査・支援に携わり、2012年から綴られた記録である。
    著者自身が、沖縄生まれであるからこそわかる土地感や環境もあるのだろう。
    とても詳しく書かれていた。

    少女たちが、10代で家を捨てて風俗業界で働くこと。
    そして10代半ばで子どもを生み、シングルマザーとして暮らしていること。
    淡々と書かれてはいるが、決して普通ではない。

    そこまでに至る理由。
    複雑な家族関係が影響される。
    彼女たちは、家族や恋人や男たちから暴力を受けて、生きのびるためにその場所から逃げる。
    回避することができなければ、どうしても家を出て誰かに縋りつき、年齢を偽って夜の仕事をする。

    中には、目標を見つけ、看護師の資格を取り頑張ってるのをみれば、よかったと思える。
    すべてが事実であるために彼女たちの今は、どうなんだろうと気になるが。
    沖縄だけではなく、辛い思いをしながら毎日を生きている少女はいるのだろう。


  • ずっと読みたいと、図書館の予約リストに入れていた本。
    でも、読むには覚悟がいるだろうと、長いこと保留にしていた。

    上間陽子さんは、よく聞くラジオ番組で沖縄がテーマとして取り上げられる際、時々出演される。
    柔らかい言葉でゆっくりと話される上間さん。
    ああ、この人にだったら頑なな少女達も心を開くのだろうな…と感じさせられる。
    ご本人も、沖縄の米軍基地のフェンスが目の前に広がるエリアで育ったそうで、この本に書かれている少女達は、かつての上間さんの同級生達と重なるとも書かれていた。
    沖縄の暴力に晒される少女達について、少女が女性となる年齢になるまで付き添い続けた記録。

    家庭の中に日常的に暴力があると、無力な少女はただその場から逃げるしかない。そして逃げた先にもまた暴力がある。
    覚悟して読み始めたが、本当に読むのが辛くなる。
    まだ14、5歳の少女達がなぜこんな過酷な状況に晒されなければならないのか。
    しかし、上間さんは彼女達にただ同情するのではなく、その考えを尊重し、言葉を聞き、ただただ寄り添う。
    大人になった彼女達は、連絡の取れなくなった少女もいるが、それは過去と決別したことと受け止めている。
    皆、自分の足でしっかりと立ち、誇らしく生きている。

    この本では、少女達の過酷な現実を描いているが、その背景にある男達の暴力について、その元となる要因のことはあまり書かれていない。
    沖縄には基地という巨大な暴力があるが故なのかもしれないが、男達の暴力の連鎖についても知ることができたら、と思う。
    2022.6.9

  • 大学の先生からお薦めしてもらい読んでみることに。

    舞台は沖縄。家庭環境がうまくいっていない若い女の子達が複雑な事情を抱え、逃げ場を求めるが、助けてもらう場所が見つからず、必死に自分の力で生きていくという実話が載っている。

    未成年の妊娠、恋人からのDV、売春、、
    観光地で美しい海など良いイメージでしかない沖縄でこのようなことが起こっていることを知って愕然とした。

    私たちはこの事実を見逃していいのか。
    とても考えさせられる話でした。



  • 私の知らない恐怖、私の知らない痛み、私の知らない世界。
    それがこの本にありました。
    言葉もつたなく、自分の思いを表現することに長けていない彼女達。
    十代で未婚の母になり、生活のために夜の世界に入り、ダメだといってもDV男の元に戻ってしまう。
    幼い頃から暴力に晒されていると暴力を振るわれても「当たり前」だと思ってしまうようになる、という事を聞いて衝撃を受けた。
    そんな世界から裸足で逃げてきた。
    上間さん達に過去を語り、自分の感情を吐露することでなにか変わったのだろうか。
    彼女達と上間さんたちとがじゃれあいながら笑い合いながら‘日常’を送っているシーンの数々がキラキラしすぎて眩しい。
    もしかしたら、私の知らない幸せの味わい方を知っているのかもしれない。
    彼女達をジャッジせず、ただ寄り添うように話を聞き、描いた筆者の姿勢は好感が持てた。

  • 沖縄に住む彼女たちの壮絶な体験に関する、上間さんの丁寧な聞き取りを読みました。しかし、自分には感想をどう書けばよいかわからないのです。それで、 長くなりますが本文より引用します。

    「まえがき ー沖縄に帰るー」より
    p.6 9行~
    私たちは生まれたときから、身体を清潔にされ、なでられ、いたわられることで成長する。だから身体は、そのひとの存在が祝福された記憶をとどめている。その身体が、おさえつけられ、なぐられ、懇願しても泣き叫んでもそれがやまぬ状況、それが、暴力が行使されるときだ。そのため暴力を受けるということは、そのひとが自分を大切に思う気持ちを徹底的に破壊してしまう。
    それでも多くのひとは、膝ががくがくと震えるような気持ちでそこから逃げ出したひとの気持ちがわからない。そして、そこからはじまる自分を否定する日々がわからない。だからこそ私たちは、暴力を受けたひとのそばに立たなくてはならない。そうでなければ、支援はつづけられない。

    ~あとがき より~
    p.259~
    私もまた、ここ沖縄で何が起きているのかを記述しながら、多くの方と手をとりあって、子どもたちがゆっくりと大人になれるように、そして早く大人にならなくてはいけなかった子どもたちが、自分を慈しみ、いたわることのできるような場所をつくりだしていきたいと思っています。
    女の子たちが自分の足で歩こうと切り開く道が、引き受けるに値する相応の困難と、それを克服する喜びに満ちたものであることを願っています。
    そして彼女たちのあのさえずるようなおしゃべりや声が、多くのひととかわされ柔らかく広がっていくことを願っています。
    朝をまちながら 上間陽子

    本書を読む人が増えることで社会の理解がすすみ、サバイバーである彼女たちの未来が、明るい方へ明るい方へ拓かれていきますように。

  • 妻に勧められ読んだ。沖縄に住むものとして、辛い現実であったが、重く受け止めたいと思う。

  • 青い海、きらめく太陽、鮮やかな緑の山、楽園の沖縄…
    でもこの本はそんな沖縄の夜の街をさまよい歩く10代の少女たちの言葉を集めたドキュメンタリー

    沖縄の言葉やら、筆者の文章もちょっとわかりにくいし、いきなりよくわからない人の名前が出てきたりして読むのにかなり時間がかかってしまった。
    でもそれだけじゃない。読むのに時間がかかったのは少女たちの人生があまりにも過酷だったから。

    家族や彼氏から日常的なDVにさらされている少女、
    家庭の事情で自分の居場所がなかった少女
    レイプされて自暴自棄になってしまった少女
    たった一人で子供を産むという選択を選ばざるを得なかった少女
    身体を売ることだけが彼氏の愛と日常をつなぎとめる手段だった少女

    彼女たちを自業自得だという人もいるかもしれない
    でもそれを言う人は「自分自身がそんな過酷な人生を経験していないから」なのではないだろうか?

    子供は母親や父親の愛情を無条件に注いでもらえる
    甘えて安心して幼少期を過ごす
    でも、このインタビューに応じてくれた少女たちは違う
    子供なのに、ある意味「大人」であることを周囲から押し付けられ子供ではいられない

    誰よりも早く大人になることを強いられた少女たち

    妊娠した少女に「あんたが決めろ」ではなくて一緒にどうするのかを考えてあげるのが大人なんじゃないのかな
    レイプされて心も体もボロボロな少女にまずすることは彼女をいたわってあげることだったんじゃないのかな

    彼女たちが欲しかったのは「あなたは悪くない」という自分自身を肯定してくれる言葉だったと思う

    今の世の中、そんな言葉すらかけることもできない大人が増えちゃったのかい?

  • 沖縄の若者事情、家庭環境事情。
    連鎖なのかそれも風土なのか、筆者が仲間となる事で得た情報である。
    疎まれたり不思議がられながらも仲間にいれてもらう。
    決して知りたがりの部外者でないから見えたものがあると思う。

    土地ならではの商売や強みを活かして、雇用を増やし定着させ悲しみ苦しみを抱える人たちを減らしていけないだろうか。
    この辺りは沖縄出身の議員さん達がしっかりと考えて欲しい。

    DVの連鎖や水商売と風俗、そんな事を考えさせられた書でした。

  • 「女性と教育」ということに、学生の頃から関心を寄せてきた。
    そこに連なる「貧困」や「虐待」「DV」の連鎖ということにも。
    本書はそれらに「地域性」を深く組み込んだ一冊だ。
    沖縄、という場所のことを思う。
    日本のほかのどこよりも、圧倒的に海に囲まれ、米軍基地と接し、逃げることが容易でない場所。
    そこに閉じ込められた女性たちが、世代を超えて生活を繰り返してゆくことに、直接的に手を差し伸べることはできなくても、目をそらさずにいたいと思う。

  • 10代で出産を経験し、生活のために
    キャバクラで働く少女たち。
    暴力や貧困、DVという言葉を言葉として知る前に
    身をもって知ってしまうような環境で育ち、
    自分が何者であるかを考える暇もなく
    生きるために性を切り売りするようになっていく。
    眼をそむけたくなるような過酷な環境の中を生きる少女たちの心を、著者は丹念に掬い取り記録に残している。
    この本で語られる少女たちの言葉は、
    あまりにも拙く、幼く、
    注意深く気持ちに寄り添わなくては、伝えようとしている言葉をここまで深く聞き取ることはできなかっただろうと思う。
    青い空や美しい海に眼を奪われて、
    沖縄の貧困や暴力の連鎖に私たちはなかなか気づくことができないし、すぐに何かを変えてあげることもできない。
    だけれど、満足に自分を守る言葉さえ持たない少女たちに
    この本が『あなたたちは、本当は守られるべき存在なのだ』ということを
    きっと伝えてくれると信じたいと思う。

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著者プロフィール

1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。生活指導の観点から主に非行少年少女の問題を研究。著作に『海をあげる』(筑摩書房)、『裸足で逃げる』(太田出版)、共著に『地元を生きる』(ナカニシヤ出版)など。

「2021年 『言葉を失ったあとで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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