裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書)

著者 :
制作 : 岡本尚文 
  • 太田出版
3.88
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本棚登録 : 362
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315603

感想・レビュー・書評

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  • 私の知らない恐怖、私の知らない痛み、私の知らない世界。
    それがこの本にありました。
    言葉もつたなく、自分の思いを表現することに長けていない彼女達。
    十代で未婚の母になり、生活のために夜の世界に入り、ダメだといってもDV男の元に戻ってしまう。
    幼い頃から暴力に晒されていると暴力を振るわれても「当たり前」だと思ってしまうようになる、という事を聞いて衝撃を受けた。
    そんな世界から裸足で逃げてきた。
    上間さん達に過去を語り、自分の感情を吐露することでなにか変わったのだろうか。
    彼女達と上間さんたちとがじゃれあいながら笑い合いながら‘日常’を送っているシーンの数々がキラキラしすぎて眩しい。
    もしかしたら、私の知らない幸せの味わい方を知っているのかもしれない。
    彼女達をジャッジせず、ただ寄り添うように話を聞き、描いた筆者の姿勢は好感が持てた。

  • 10代で出産を経験し、生活のために
    キャバクラで働く少女たち。
    暴力や貧困、DVという言葉を言葉として知る前に
    身をもって知ってしまうような環境で育ち、
    自分が何者であるかを考える暇もなく
    生きるために性を切り売りするようになっていく。
    眼をそむけたくなるような過酷な環境の中を生きる少女たちの心を、著者は丹念に掬い取り記録に残している。
    この本で語られる少女たちの言葉は、
    あまりにも拙く、幼く、
    注意深く気持ちに寄り添わなくては、伝えようとしている言葉をここまで深く聞き取ることはできなかっただろうと思う。
    青い空や美しい海に眼を奪われて、
    沖縄の貧困や暴力の連鎖に私たちはなかなか気づくことができないし、すぐに何かを変えてあげることもできない。
    だけれど、満足に自分を守る言葉さえ持たない少女たちに
    この本が『あなたたちは、本当は守られるべき存在なのだ』ということを
    きっと伝えてくれると信じたいと思う。

  • 沖縄で、援助交際やキャバクラで生計を立てる10代の女の子達の実態。
    予備知識なく読みはじめて、戸惑いを感じ、ネット検索してみたところ、沖縄県はDV発生率、離婚率、シングルマザー率、いずれもワースト1位との事。
    中卒や高校中退の人数も多く、女の子はキャバクラや風俗、男の子は鳶職が多い。
    地域差はあるんだろうし、そうじゃない子ももちろん多いのでしょうけど。

    本に出てくる女の子達は、親の愛情を受けられなかった子が多い。
    居場所がなく、家出したり、彼氏と同棲したり。
    家を出たら、お金を稼がないといけないからキャバクラや、援助交際に走る。
    ここまでならまだいいのかもしれない。
    更に、望まない妊娠や、彼氏からのDVが重なる。
    何故避妊しない?何故DV?これは男尊女卑の意識が根強いせいもあると思う。
    付き合いを解消した後も、援助交際していた過去に苦しみ、新しい彼氏ができても、バレたら別れを切り出されるのではないかと常に不安が付きまとう。
    それでも前向きに人生を歩もうとする彼女達。
    どうか、信頼できる人と、安心して過ごせますようにと、願わずにはいられない。

  • 家族にも友人にも恋人にももしかしたら話せないかもしれないような話。でも多分彼女たちは話したくて著者に話すんだと思う。こうやって自分の人生が聞き取られて、文章にされること。その気持ちを、想像した。
    岸政彦さんが言うように「かわいそう」や「たくましい」を挟まずにただ話を聞くのは難しい。涙は余計なのか?
    彼女たちは自分のことを「かわいそう」や「たくましい」と思っているだろうか。
    わたしはわたしのことを、この人生を、「かわいそう」や「たくましい」と思っているのだろうか。

    家族でも友人でも恋人でも(お店の客でも)ない誰かに人生を聞き取られること、聞き取ることはとても大切なことで、大切な時間だと思う。
    質的調査とは、こんなにも近く、深いのだ。こういうことが、学問としてあることを全然知らなかった。冷たくはない。とても優しい。
    けれど余計な熱っぽさを持ってかわいそうと言う人とも、ましてや軽視する人とも、関わりたくないと思った。自分ですらそうしないことは難しいのだけれど。
    当たり前にたくさんの人のことを知らずに生きて死んでいく。
    そのことがとても切なかった。記録するということは少しあたたかいことだった。

  • 無理。やっぱり無理。

    ヤンキー嫌いの私に元教師の両親が勧めた一冊。色々な環境に居る人の事を理解させたいと思ったのはよく分かる。でもやっぱり私には無理だった。

    読んでいて疲れた。
    著者の文章が下手過ぎる事、当事者の言葉遣いが酷過ぎて読みにくい事。
    そして、
    主張し過ぎる彼女達の環境云々…。
    全ては環境のせい?その結果は本人が選択した先にしかないと思う。

  • 実家が沖縄なので、特にいろんな風景が思い浮かび、痛みがリアルに迫ってくるようでした。内容はインタビューを綴った形なので、沖縄全体としてどうなのかとか、データとか、政策とか、経済とか、米軍基地との関連性とかそういう話は一切ないが、それ故に個々人のスートーリーが生々しく辛い。ぜひまとまった研究成果の方も読んでみたい。

  • 全話、涙をポロポロと流しながら、やるせなさと悔しさでいっぱいになりながら読みました。
    人は一人で生きていけない。心から大丈夫だよとギュッとしてくれる人がどうしようもなく必要だと思う。生きてていいんだよ、愛されていいんだよ、愛していいんだよと、間違ってもきちんと受け止めて認めて包容してくれる社会がいい。そんな人がいい。

  • 私には合わなかったみたい。書き分けがが出来ていないので、誰のことなのかわかりにくくて読みにくかった…。取材している少女に向かって「ばか」って言ったとか、けっこう感情的な印象を持った。馴染まなかった。

  • 感傷的な書き口と説明不足がところどころ気になるものの、著者の訴えかけたい沖縄の実情が胸に残る。ひと昔前ならまだしも、自分より10歳も下の女の子たちの話なんだよなぁ。上さんは、そんなん沖縄ではいまさらの話さーって言ってたけど

  • 沖縄の社会学者が、沖縄のキャバクラで働く少女、若くしてシングルマザーになった少女らのエスノグラフィー調査を書籍化。そんな社会学的考察をはるかに超えた、上間さんの行動と思いに感動しました。ともに行動し、相談にのり、手紙をやりとりし、出産の病院に立会いもし、ともに病院に憤る。自らも沖縄の少女として、友の行末を見て案じてきた背景がそうさせるのだろうか。DV被害にあう友人に心配の声をかける前に、同じような“DVメイク”して2人で写真をとる親友。その強い優しさに心を動かされました。

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著者プロフィール

1972年生まれ、沖縄県出身。琉球大学教育学部准教授。学校における人間関係の分析や、生徒文化の分析をエスノグラフィーや統計調査の手法を用いて行っていたが、最近の関心は教育実践・学び論。主要論文として、「沖縄の若者をめぐる労働市場の現在と相互扶助ネットワーク」(『現代と教育76 貧困・格差問題と教育』桐書房、2008年)、「若者は今をどのように生きているか」(久冨善之・長谷川裕編『教育社会学』学文社、2008年)、「進路をめぐる親子間葛藤」(乾彰夫編『18歳の今を生きぬく』青木書店、2006年)、「現代女子高校生のアイデンティティ形成」(日本教育学会『教育学研究』第69巻、2002年)など。

「2009年 『若者と貧困 いま、ここからの希望を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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