裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書)

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 650
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778315603

感想・レビュー・書評

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  • 私の知らない恐怖、私の知らない痛み、私の知らない世界。
    それがこの本にありました。
    言葉もつたなく、自分の思いを表現することに長けていない彼女達。
    十代で未婚の母になり、生活のために夜の世界に入り、ダメだといってもDV男の元に戻ってしまう。
    幼い頃から暴力に晒されていると暴力を振るわれても「当たり前」だと思ってしまうようになる、という事を聞いて衝撃を受けた。
    そんな世界から裸足で逃げてきた。
    上間さん達に過去を語り、自分の感情を吐露することでなにか変わったのだろうか。
    彼女達と上間さんたちとがじゃれあいながら笑い合いながら‘日常’を送っているシーンの数々がキラキラしすぎて眩しい。
    もしかしたら、私の知らない幸せの味わい方を知っているのかもしれない。
    彼女達をジャッジせず、ただ寄り添うように話を聞き、描いた筆者の姿勢は好感が持てた。

  • 青い海、きらめく太陽、鮮やかな緑の山、楽園の沖縄…
    でもこの本はそんな沖縄の夜の街をさまよい歩く10代の少女たちの言葉を集めたドキュメンタリー

    沖縄の言葉やら、筆者の文章もちょっとわかりにくいし、いきなりよくわからない人の名前が出てきたりして読むのにかなり時間がかかってしまった。
    でもそれだけじゃない。読むのに時間がかかったのは少女たちの人生があまりにも過酷だったから。

    家族や彼氏から日常的なDVにさらされている少女、
    家庭の事情で自分の居場所がなかった少女
    レイプされて自暴自棄になってしまった少女
    たった一人で子供を産むという選択を選ばざるを得なかった少女
    身体を売ることだけが彼氏の愛と日常をつなぎとめる手段だった少女

    彼女たちを自業自得だという人もいるかもしれない
    でもそれを言う人は「自分自身がそんな過酷な人生を経験していないから」なのではないだろうか?

    子供は母親や父親の愛情を無条件に注いでもらえる
    甘えて安心して幼少期を過ごす
    でも、このインタビューに応じてくれた少女たちは違う
    子供なのに、ある意味「大人」であることを周囲から押し付けられ子供ではいられない

    誰よりも早く大人になることを強いられた少女たち

    妊娠した少女に「あんたが決めろ」ではなくて一緒にどうするのかを考えてあげるのが大人なんじゃないのかな
    レイプされて心も体もボロボロな少女にまずすることは彼女をいたわってあげることだったんじゃないのかな

    彼女たちが欲しかったのは「あなたは悪くない」という自分自身を肯定してくれる言葉だったと思う

    今の世の中、そんな言葉すらかけることもできない大人が増えちゃったのかい?

  • 10代で出産を経験し、生活のために
    キャバクラで働く少女たち。
    暴力や貧困、DVという言葉を言葉として知る前に
    身をもって知ってしまうような環境で育ち、
    自分が何者であるかを考える暇もなく
    生きるために性を切り売りするようになっていく。
    眼をそむけたくなるような過酷な環境の中を生きる少女たちの心を、著者は丹念に掬い取り記録に残している。
    この本で語られる少女たちの言葉は、
    あまりにも拙く、幼く、
    注意深く気持ちに寄り添わなくては、伝えようとしている言葉をここまで深く聞き取ることはできなかっただろうと思う。
    青い空や美しい海に眼を奪われて、
    沖縄の貧困や暴力の連鎖に私たちはなかなか気づくことができないし、すぐに何かを変えてあげることもできない。
    だけれど、満足に自分を守る言葉さえ持たない少女たちに
    この本が『あなたたちは、本当は守られるべき存在なのだ』ということを
    きっと伝えてくれると信じたいと思う。

  • 少女達にインタビューするだけではなく、完全に彼女達の人生の一部に関わってしまうスタンスで書かれたルポタージュです。
    ルポタージュの定義をよく分かっていないのですが、客観的視点が欠けているのがマイナスになりそうな感じではあります。でもその踏み込み方が感動を呼ぶのも確かです。
    本当なら中学や高校に通っているレベルの女の子たちが、妊娠し子供を産み、DVを受けたり性的暴行を受けたりしながら、それでも生きて行こうとする姿は胸が痛むし、それでも前を向いて進む姿には涙が流れそうです。
    生家の貧困やネグレクトからそういう道を選ばざるを得なかった少女が、この本の大半を締めますが、彼女たちが負の連鎖を断ち切れるのか未知数ではあります。
    中には脳性麻痺の子供を抱えて看護師を目指す子もいます。他の子たちも光に向かって歩ける子ばかりなので、幸せになれる事を祈るばかりです。

    虐待やネグレクトを受けた子供が親になると、どうしても加害者になる可能性が高いと言われています。いつの時代も一定数います。僕の子供時代も周囲にいました。お母さんの手料理食べたことないなんて子もいました。今どうしているんだろうと思います。みんな幸せになっていますように。

  • 沖縄で、援助交際やキャバクラで生計を立てる10代の女の子達の実態。
    予備知識なく読みはじめて、戸惑いを感じ、ネット検索してみたところ、沖縄県はDV発生率、離婚率、シングルマザー率、いずれもワースト1位との事。
    中卒や高校中退の人数も多く、女の子はキャバクラや風俗、男の子は鳶職が多い。
    地域差はあるんだろうし、そうじゃない子ももちろん多いのでしょうけど。

    本に出てくる女の子達は、親の愛情を受けられなかった子が多い。
    居場所がなく、家出したり、彼氏と同棲したり。
    家を出たら、お金を稼がないといけないからキャバクラや、援助交際に走る。
    ここまでならまだいいのかもしれない。
    更に、望まない妊娠や、彼氏からのDVが重なる。
    何故避妊しない?何故DV?これは男尊女卑の意識が根強いせいもあると思う。
    付き合いを解消した後も、援助交際していた過去に苦しみ、新しい彼氏ができても、バレたら別れを切り出されるのではないかと常に不安が付きまとう。
    それでも前向きに人生を歩もうとする彼女達。
    どうか、信頼できる人と、安心して過ごせますようにと、願わずにはいられない。

  • 家族にも友人にも恋人にももしかしたら話せないかもしれないような話。でも多分彼女たちは話したくて著者に話すんだと思う。こうやって自分の人生が聞き取られて、文章にされること。その気持ちを、想像した。
    岸政彦さんが言うように「かわいそう」や「たくましい」を挟まずにただ話を聞くのは難しい。涙は余計なのか?
    彼女たちは自分のことを「かわいそう」や「たくましい」と思っているだろうか。
    わたしはわたしのことを、この人生を、「かわいそう」や「たくましい」と思っているのだろうか。

    家族でも友人でも恋人でも(お店の客でも)ない誰かに人生を聞き取られること、聞き取ることはとても大切なことで、大切な時間だと思う。
    質的調査とは、こんなにも近く、深いのだ。こういうことが、学問としてあることを全然知らなかった。冷たくはない。とても優しい。
    けれど余計な熱っぽさを持ってかわいそうと言う人とも、ましてや軽視する人とも、関わりたくないと思った。自分ですらそうしないことは難しいのだけれど。
    当たり前にたくさんの人のことを知らずに生きて死んでいく。
    そのことがとても切なかった。記録するということは少しあたたかいことだった。

  • 無理。やっぱり無理。

    ヤンキー嫌いの私に元教師の両親が勧めた一冊。色々な環境に居る人の事を理解させたいと思ったのはよく分かる。でもやっぱり私には無理だった。

    読んでいて疲れた。
    著者の文章が下手過ぎる事、当事者の言葉遣いが酷過ぎて読みにくい事。
    そして、
    主張し過ぎる彼女達の環境云々…。
    全ては環境のせい?その結果は本人が選択した先にしかないと思う。

  • 言葉にならん。何を書いても上から目線な感じになる。
    沖縄のキャバ嬢たちへの生活史聞き取り調査ルポルタージュ。
    読んでてキツい。

  • タイトルが、裸足の少女とネガティブなイメージでしたが、読み終わると、ネガティブから脱出しようと強い命を感じた!

  • 沖縄でキャバクラや風俗で生計を立てる女性、いや少女たちをテーマとしたノンフィクション。著者は琉球大学の教育学部で非行問題などを研究している教授。本書は研究テーマのフィールドワークでありながら、少女達に寄り添い、時に支えながらその実態を報じたルポでもある。
    俄かには信じがたい貧困とDVの連鎖。平凡な日常では決して目にも耳にもしない現実。その中で懸命に生を全うしようともがく少女達が何とも痛ましい。
    確かに本書は沖縄が舞台なのだが、どこまでが沖縄特有のことなのだろう。児童虐待などの報道を見ていると日本中どこでも起きえることではないか。日本の今の現実をもっと知りたいと思う。

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著者プロフィール

1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。 1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、2017)を刊行。ほかに「若者たちの離家と家族形成」『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(乾彰夫・本田由紀・中村高 康編、東京大学出版会、2017)、「貧困問題と女性」『女性の生きづらさ その痛みを語る』(信田さよ子編、日本評論社、2020)、「排除Ⅱ――ひとりで生きる」『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(岸政彦、打越正行、上原健太郎、上間陽子、ナカニシヤ出版、 2020)など。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている。

「2020年 『海をあげる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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