異性愛という悲劇

  • 太田出版 (2024年11月21日発売)
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本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784778319786

作品紹介・あらすじ

あなたはこれからも、怠け者で思いやりに欠け、腹を割って話せる友人もおらず、セラピーにも通おうとしない、子育て並みに手のかかる、ケア目当ての男性と交際したいですか?

異性愛の文化の中で人気を博す映画・ドラマ、恋愛指南書の変遷、ナンパ教室でのフィールドワーク、クィアの仲間たちへのインタビューを通して、同性愛者(レズビアン)の研究者がまなざす、異性愛という悲惨な異文化の正体。世界をひっくり返す、新時代のパートナーシップ論!

異性愛者の皆さんが心配だ。これは私ひとりだけの意見ではない。私たちクィアは、以前から異性愛者の文化に危うさを感じていた。異性愛者が同性愛者を忌み嫌い、暴力を振るい、クィアなサブカルチャーをなかったことにしようとするなど自分たちに被害がおよぶのを怖れるだけではなく、異性愛者の女性を抑圧する異性愛の文化に困惑し、頭を抱え続けてきた。
性的にそそられないとか生意気だとか、稚拙なメディアや自己啓発プロジェクトが作った女性を貶める陳腐なイメージが長年にわたってまかり通っている。男性が女性を性のはけ口にして、自分たちの不満を解消するようなセックスは、どう考えても理にかなっておらず、クィアの多くが異性愛者の文化に戸惑いを覚え、もっとはっきり言えば、吐き気を催すほど嫌悪している。
しかし、私たちが異性愛者の文化を心配したり、異性愛者が異性に欲情するのを否定したり、人類のあらゆる性的指向を論じたりすることは、異性愛者たちからすればわずらわしいだけだとよく知っているので、クィアがあえてこの問題に口を出すことはない。
異性愛者の人たちが心配だなんて、私は考えすぎだろうか?(本文より) 

感想・レビュー・書評

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  • Book Review: The Tragedy of Heterosexuality - Rachel O’Neill, 2022
    https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1097184X21995236

    The Tragedy of Heterosexuality by Jane Ward – Roar Cat Reads
    https://roarcatreads.com/2023/03/14/the-tragedy-of-heterosexuality-by-jane-ward/

    scholarship for the feminist future - Jane Ward feminist queer professor and author of Not Gay and other sexuality studies books
    https://www.janewardphd.com/

    異性愛という悲劇 - 太田出版
    https://www.ohtabooks.com/publish/2024/11/19171215.html

  • n=著者界隈ではあるものの、クィアのひとたち視点での異性愛者のふるまいやカルチャーの息苦しさが言語化されており、「まあそうですよね...」とうなだれることしきり。そもそも歴史的に、好き同士でいっしょに幸せになろうね!が婚姻の動機じゃないんだものね。生き延びるための方策だからね。やれやれですよ。

    とはいえ誰かとペアになることがあまりにも性愛駆動で記述されており、さすがときめきが失われたら離婚する文化の国で書かれた本であった。日本のクィアから見た異性愛の本があったら読んでみたい。

  • 読んだ。うん。内容は至極まっとうで、正しい。ただ、これは結局、誰に向けて書かれたものなのだろうか、と考えてしまった。おそらく異性愛者の女性、そして男性に向けての本なのだろうけど、語り口があまりにも「異性愛はいかに愚かなものか」「異性愛者の女性はいかに被害者で、いかにかわいそうか」という点を強調しすぎているように感じた。はたして、これを最後まで読み通す異性愛者の女性はどれだけいるのだろう。

    「あなたはかわいそう! あなたは被害者! それはあなたが愚かだから!」という語り口は、いくら内容が正しくとも、それを自分のこととして受け止めることに壁を作ってしまうのではないか。異性愛者であることがかわいそうだなんて、そんなふうに言っていいのか、という気持ちも湧いてしまう。

    海外の書籍を翻訳したものだから、ということもあるのだろうけど、X(蔑称)に垂れ流されているような言説をそのまま書籍として読む必要があるのか、と思ってしまった。特に著者の知人たちへのインタビューのパートは正直ひどいなと感じた。

    アメリカで書かれた本でもあるし、そもそも前提となる状況が異なるということもある。日本では異性愛者の女性がクィアの人たちと出会ったり、頻繁にコミュニケーションを取るような環境は、まだそこまで整っていない。

    土壌がまるで違う以上、この本の受け取られ方も同じではないと思う。翻訳されたということは日本の読者にも読んでもらいたいという意図があったのだろうけれど、正直なところ異性愛者の女性であっても、すでにフェミニズムやミソジニーに関する知識を持っている人たちに向けて「そうそう、ほんと最悪だよね!」と溜飲を下げるための本にしかなっていないように感じた。

    改めて言うが、内容自体はとても正しい。家父長制やミソジニーの弊害を女性がこうむっていることについて、しっかり書かれている。でも、それが読む側にきちんと届くかというと、必ずしもそうではない。そんな、惜しい印象を受けた。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/730357

  • 1. 異性愛規範と女性の苦しみ

    異性愛制度は家父長制とミソジニーと深く結びついている
    歴史的に女性が不利な立場に置かれてきたことを指摘
    日常的な性差別と暴力的な言説を批判
    ロマンティックな幻想が現実の不平等を隠蔽していると主張

    2. ミソジニーと異性愛のパラドックス

    男性の女性蔑視と異性愛関係の矛盾を分析
    ナンパビジネスやモテ講座におけるジェンダー役割の固定化を批判
    男女間の権力関係の不均衡を浮き彫りにする

    3. クイアの視点から見た異性愛

    異性愛の規範性と創造性の欠如を指摘
    異性愛文化に対する多様な批判的視点を提示
    「残酷な楽観性」という概念を通じて異性愛規範の強固さを分析

    4. 女性の主体性と連帯の可能性

    女性のエンパワーメントと解放を追求
    女性同士の親密な関係と連帯の重要性を強調
    BDSM、ポリアモリーなどオルタナティブなセクシュアリティの可能性を探求

    結論

    異性愛規範の構造的問題を徹底的に批判
    女性の自己決定権と解放に向けた新たな視点を提供
    セクシュアリティと性別に関心のある人々への重要な洞察

  • すごい面白い。言われてみるとなんでみんな不満いっぱいなのに異世界を選べって言われているんだろうかとなる。なんでだろう。

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