ウツボラ(2)(完) (エフコミック) (エフコミックス)

  • 太田出版
4.07
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本棚登録 : 1367
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・マンガ (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778321642

作品紹介・あらすじ

中村明日美子初のサイコ・サスペンス、 描きおろしエピローグ22pを加えて、ついに感動の完結
誰が『ウツボラ』を書いたのか? 謎の死を遂げた美少女「朱」。
入れ替わるように作家・溝呂木の前に現れた、「朱」とそっくりな美少女「桜」。
溝呂木の最新作『ウツボラ』が盗作であることに気づく編集者の辻と、少女の正体を追う刑事達。

それぞれの思惑が絡み合い、物語はクライマックスへ。
「顔のない死体」とひとつの「小説」をめぐる物語。 すべての謎が、いま明かされる――。

感想・レビュー・書評

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  •  2巻も読了だよん。完結しなきゃこの感想、書けなかった。1巻だけじゃ何にも分からないんだもん。


     どうだろうね。溝呂木さんに寄り添って読むなら、業の深さだったり、作家として腐敗しきったことへの哀れみだったりを思うのだろうけど、

     私は多分、「三木桜」さんに寄り添ったかな。


     よく理解出来てるのか分からないけどさ、

     「こっち側」へ残した「三木桜」の思いを汲むのなら、


     多分、藤乃朱さんの…っていうか秋野富士子さんのためなのでしょ?彼女をここまでの行動に駆り立てたのは。

     ただ図書館で声掛けただけの始まりで、整形だの色々細かい細工までして、なのに富士子死後もそこまで溝呂木にウツボラを書かせたかったのか、余程の動機がないと、そこまでできないよ。

     「いつも、同じ作者ばかり読んでいるのね。」的発言は、
     「いつも彼女は秋野富士子を見ていた」という事実なしに存在し得ない。


     だから、私が一番納得出来る理由は、

     元OLの「三木桜」さんは、多分、心から富士子さんを愛してたからなんじゃないかと思う。

     勝手にそう思う。


     全編通して描かれる、自己愛に満ちたオナニープレイ的なセックス描写の中で、最後のシーンは泣けたな。あの二人のシーン。あの、女流作家と担当のそれが、あまりに醜悪に描かれてたので、ものすごくそれを感じてしまいました。

     あと、「彼女のこと書いてくださいね」と、
     流したあの涙。


     美しかった。とてもとても美しかった。


     


     中村さんの作品、もっと読みたいなって、思った。
     好きな作家さんを読み終えたときの清々しさを、この本を読んでも感じた。

     無粋なのでしたくないけど、忘れないためのメモ

     お腹の子はきっと、溝呂木さんの子どもだと、私は思います。彼女は、彼女の愛した人の望むことを、したかったのでしょう。富士子さんも失敗した。愛されたかったけれど、溝呂木の不能を受け止めきれず。作品の中でしか、叶わぬことなのだと絶望した。だからこそ。そして溝呂木さんは、次へつなぐ、何かを生み出すことができたから、「謎の死」を遂げたのでしょう。


     彼は繋いでいなかったんじゃない、生物的に次に繋げなかったことへの苦しみを、書くことで「生み出し」、繋げてたのでしょう。それはいかほどの苦しみか。だから、次に繋げることができたという思いは、彼を生から、解放してくれた。それはとても穏やかに。彼を解放してあげることは、「藤乃朱になりきる三木桜」でしか、成しえないことだった。 



     哀しいけれど、私は読んで、救われた。

     ※これは私の勝手な解釈に過ぎませんのであしからず。


    追記:
     再読してみた。
     ちょっと見方変わった。
     愛してたからは行き過ぎだわ。三木桜にはそこまでする動機があったんだわ。横領事件の犯人だったんだから。まさか富士子さんが死ぬとは思わなかった、のだと思うけど、死なない事には彼女の求める安泰は得られないんじゃないのか…?レズビアンだったことは確かでしょ?

     あと1つの不可解。なんで編集者と寝たんかってことか。
     その辻褄がまだ分かってないわ。もう一度読むか。
     
     追記の追記。
     横領事件の犯人だったってことは、さして重要じゃないのかと。「一度私は失敗した。浮き草のような気分を味わった。」のが、横領事件以降の三木桜で、「彼女が熱を与えてくれた」のが、それ以降の三木桜なのかと。

     で、編集者と寝たのは、彼女の最終手段というか。溝呂木に書かせるために、溝呂木に心酔していた編集者を貶める捨て身の行為だったのではないかと思われる。

     だから、あながち、最初の感想で間違ってないかもしれない。

  • ミステリーの形態を借りた「物語になろうとした女の物語」。作者の物語論でもあるのだろうか。整った顔より表情のある描写に魅力を感じる。

  • ダメだ…非常に混乱している…
    話の軸は至極明快なはずなのに、そこに複雑に絡み合う個々の想いと、圧倒的な見せ方とで、わけがわからなくなってしまう
    このウツボラという作品は作中に出てくる「ウツボラ」をなぞっているのかな…?
    かといって「ウツボラ」がノンフィクションなわけではなく…

    作家、溝呂木舜はいろいろな形でたくさんの人間に愛されていたということはわかった
    「次」につなげられない溝呂木だからこそ、作家としての生き方、そして死に方を選んだのかな
    溝呂木が「次」へとつなげる人なら、一番大事だった人を一番幸せにできたのかもしれないと思うとちょっと切ない
    そしてその溝呂木が一人の女(正確には一人ではなく二人かな?)を救う
    「次」につなげない男が「次」につながるものを救う、結果的に「次」をつなげたところには痺れたね
    溝呂木は多分アレだよね…?辻と「桜」の描写はそれを示してるんだよね…?
    「桜」のお腹の子の父親は多分辻だよなぁ…?
    「桜」は結局、「朱」になった秋山富士子を演じてたってこと…か?
    富士子=藤乃朱で「藤乃朱」、つまり溝呂木の作品の中の人間になりたかったってことだよ、ね?
    …と考えたけど、ううん、難しい
    また何回も読む内に解釈も変わりそうだ
    読む人によって解説の幅がある作品てのは素晴らしいよね

    登場人物の心情描写が生々しくて、どれも理解できるんだよなー
    コヨミが健気でかわいいこんな嫁がほしい
    先生の髭剃り後は男前すぎるが、「朱」にいいようにされてた先生エロくて萌える

  • 帯には「感動の結末」とあったけど、私にはとてもかなしい結末に思えた。
    人によって感想が分かれるってことかな

    分厚いミステリー小説のような読後感。
    読み返してみたら伏線はあちこちはってあったし、絵だから表せる感情の機微もあった。

  • 難しかった、よく出来ているサスペンスだった。
    そして、ただただ美しかった。

  • 中村明日美子さんの作品はこの作品が始めてだったのですが世界観に圧倒されました。溝呂木先生が自殺する前の桜の表情が明るかったのに対し最後の墓参りの所の表情がとんでもなく暗くてちょっとどんよりしました後最後のでかい腹は溝呂木先生の子を孕んだということで良いのでしょうか?まあこここら先は読者の想像に任せるということでしょうけど…とても素晴らしい作品でした。

  • 日頃、世間のペースやリズムとのズレを痛感しながら生きていて、
    急にフッと少し前に出ていたマンガを読む気になって買ってみたら、
    それが「盗作」を巡る話というか、
    「その作品の真の作者は誰か」という物語だったので、
    ある意味タイムリー【※】だな~、と苦笑してしまった。

    それはさておき。

    創作に行き詰った作家が、編集部にて、
    新人賞応募作の山から見覚えのある作者名を発見し、
    原稿を無断で持ち帰り――つまり盗んで、自作として連載を開始。
    タイトルは『ウツボラ』。
    見覚えがあったというのは、自宅ポストに原稿を投函し続ける
    ストーカー紛いのファンがいて、まさにそのペンネームだったから。
    しかし、相手は自殺し、
    双子の妹と名乗る瓜二つの女性が接近してきて彼を翻弄する……
    といった筋立てで、彼女の正体と目的は何か、
    問題の小説の本当の執筆者は死んだ女か現に生きている女なのか、
    あるいは――というサスペンスミステリ。
    小説における叙述トリックにも似た仕掛けがチラホラ見受けられ、
    それらを押さえていくと真相らしきものが浮かび上がってきます。
    上手い。
    そんなこんなでストーリーは大変面白いのですが、
    主人公および彼に纏いつく女たちの人物造形がどうにも気色悪いです。
    常に×××が×××[自主規制]いるかのように
    ベシャベシャしててヤダ(笑)
    ラストも、
    ああいうイタイ人たちに救いがもたらされるパターンって
    苦手なんだよなぁ。
    でも、主人公の姪・コヨミちゃんが素直でかわいい。
    彼女には幸せになってほしい。

    ガチのネタバレ覚え書きは非公開メモ欄へ。

    【※】
     2014年3月10日現在、
     疑惑の作曲家騒動第二幕、居直り謝罪会見(笑)に
     世間の耳目が集まっております。 

  • 一読では何が起こったのか不可能でした…。

    読み直して考え直そう。

    相変わらず線が奇麗な絵でございました。

  • 最高のエロ漫画だった。

    エロスを突き詰めると結局はタナトスになってしまうって、たしか写真家のアラーキーも言っていたけど。

    これはたぶん「幸福論」なんじゃないだろうか。

    生の情動と、死の情動。追加されたエピローグのラストカットには、この相反する二つを同居させた象徴のシルエットが、強く美しく描かれている。

    ジャンル分けは難しいが、やっぱり端的に「エロ漫画」が相応しいと思う。

    作者の方、見事な完結ありがとうございます。至福でした。

  • 素晴らしい....

    今のところ私適に今年一番の漫画ではないだろか?

    とにかくお薦めの一作です!

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著者プロフィール

中村 明日美子(なかむら あすみこ、1979年1月5日 - )は、日本の漫画家。神奈川県出身。女性。血液型O型。
小学1年生から漫画を執筆しており、2000年の大学時代に『月刊マンガF』(太田出版)の第3回エロティクスマンガ賞で佳作を受賞。同年10月、受賞作「コーヒー砂糖いり恋する窓辺」(単行本『鶏肉倶楽部』(2002年)収録)を同誌で発表しデビュー。その後も『月刊メロディ』(白泉社)、『月刊flowers』(小学館)への投稿を継続し、両誌でデビュー。『マンガ・エロティクスF』以外では、ボーイズラブ、少女漫画、挿絵などを多数の雑誌で発表している。

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