うみべの女の子 2 (F×コミックス)

著者 :
  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778321871

感想・レビュー・書評

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  • 中学生の男は女を彼女とは思ってないようで
    でもそのくらいの頃はそんなものなのか?
    女は女で思うことはいろいろありそうだけど
    男にいってしまうようで
    そんな物語を楽しみました

  • 磯辺がうみべの女の子見つけちゃってからの元気さ、私も嫌だったな。

  •  街の閉塞感、モヤモヤした気持ち、思春期として吐き捨てられる感情。青いなと言われるであろうこれらの感情を言葉の表現なく展開とキャラの表情で描いてるのはさすが浅野いにお作品と思いました。

     磯辺くんのクソガキマインドは実にイイ。自分が出せず取り繕いながらそれでもダラダラと生きている。八つ当たりもすれば流されるままセックスもする、正義気取りでDQNを狩ったりもする。クソみたいな世界を変えるためなのかそれとも兄の仇討ちか、どちらか定かではないけど彼の中でひとつの節目となっています。その後気が向くまま歩きひとつの奇跡と出会う。本当にメルアド交換したとか同じ学校目指すとかはどうでもよくて彼の中で人生の変化が起きた、それだけでなんだか救われた感じがして良かった。

     女の人は小梅ちゃんに同情するだろうな。惚れた男を探して台風の中歩きだす、泣きながら彼との別れを海に叫ぶ、あぁ可哀想そんだけ愛してるんだと見た人は思うだろう。だけど彼女の行動をみると磯辺くんがセックス中に言った言葉以上の感想はでない。磯辺くんは彼女に対してこれ以上振り回されるワケにはいかないと吐き捨てるけど、対等で居られないからこその言葉ではないか。そのあとの泣きながら歩く磯辺くんの姿が色んなことを物語っている気がしました。

     中学から高校にあがる最中の出来事。通り過ぎればなんてことない過去なのか、それとも忘れことができない思い出なのか。浅野先生も感情の切り売りが激しいぶん描きたいこと終わったらどうなるのか気になります。

  • 今までで一番好きな漫画。前に好きだった投稿者の方が1番好きな漫画ですと紹介していたので読んでみたら自分にすごくハマった。2人に感情移入してしまって苦しかった。高校生になった小梅にどこか磯部の面影を感じて小梅の中に磯部と過ごした中学生の思い出のかけら一つ一つは絶対に面影として残るだろうしその時に味わった感情を小梅は一生忘れて欲しくないと思った。ただの田舎の中学生二人の日常が少しづつ歪んでいく様はとても面白かった、羨ましいようで絶対に味わいたくない青春。

  • 不可視で未知な葛藤を抱擁したまま、刹那的な快楽の終までの距離を測れないことは分かっているのに、それでしか得られない物があまりに大きすぎた。哀憐の重圧は暖かかったのに、記憶が美化されずに生きたために存在が兄の思念体になってしまった。

    諭しておきながら己を赦してやれなかったのは、それの重要性を一番よく知っていたからだ。悔やみ続けているからだ。そして愛があったから、なるべく傷付かないように傷付けられた。許してやれた。振り返らなかった。際限なく共に過ごせなくても、記憶と心根は不変であると分かっていたからだ。




    不可視で未知な葛藤を抱擁したまま、刹那的な快楽の終までの距離を測れないことは分かっているのに、それでしか得られない物があまりに大きすぎた。手軽に欲求を消化出来る身体が便利なことは理解が易かったが、満たされることが無かった。解が分かるのに、分からない振りをしていた。

    愛より前に愛しさを手に入れるべきだった。シーグラスのような些細な愛しさを集めてできたのが愛だって、失ってからじゃ気付くのが遅すぎた。探しても見つからない愛しさ、所々の仕草の愛しさ、強い言葉と信念への愛しさ。

    その起源を知ろうともしなかった己の愚鈍さが、好きだったあなたを殺してしまった。

  • 女の子だって無茶したり、行動に素直になりたいんです。

  • はじめてこんなにも本に感情移入することができました。磯辺みたいな人といつか巡り会いたいです。

  • 思いもよらず好きだったなぁ。
    浅野いにお氏のほかの作品読んだことないんだけど。

    いちばん最後に結ばれなかった二人がキスするシーンがあって、これってたぶん果たし得なかった現実の幻影を見てるんだろうなって考えて、細野守の『時をかける少女』思い出した。

  • 浅野いにお氏の作品はどうも苦手なんだけど、これは素晴らしい。薦めて貸してくれた後輩に心から感謝したい。

  • 言いたいことがいっぱいあって書ききれない。やっぱり浅野いにお大好き。「なんだエロ漫画かよ」→「ただのサブカル厨漫画か」→「やべぇこれ名作じゃん」というふうに自分の中で評価がころころ変わった。台風と文化祭と誕生日と命日の高揚感。文化祭のクラスTシャツ着ながら一人で雨風に打たれる小梅の「大切な日の大切な時間が儚く流れていってしまいます感」がすごい。

    浅野いにお本人にとってはもしかすると『おやすみプンプン』のラストスパートに向けたウォーミングアップ程度の作品なのかもしれないけれど、そういう煮詰まってない作品のほうが好みだったりする。

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著者プロフィール

1980年生まれ、漫画家。1998年、デビュー。日本の青年誌漫画を牽引してきた作家のひとり。主な作品に、『ソラニン』『おやすみプンプン』『うみべの女の子』『零落』など多数。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を連載中。

「2019年 『漫画家入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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