糸杉の影は長い

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感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779115936

作品紹介・あらすじ

ノーベル文学賞の受賞に限りなく近いといわれたスペインの国民的作家ミゲル・デリーベスの「ナダル賞」受賞の長編!

ミゲル・デリーベスは2010年3月12日、故郷バリャドリッドで亡くなった。スペイン国民はその死を悼み喪に服した。

本書は、デリーベスのデビュー作で、スペインの芥川賞とも言うべき「ナダル賞」受賞作品であり、デリーベスの生涯のテーマである「幼年時代への回想と死へのこだわり」が糸杉の影に託して色濃く投影された作品である。
第1部では孤児で育った主人公ペドロが同じく孤児の境遇にある12歳の親友を肺結核で失い、幼くしてすでに人生に深い虚無感を抱く過程が描かれる。
第2部では、少しでも俗世間を離れるべく船乗りの職業を選ぶのだが、ふとした機会に最愛の女性に巡り会う。人生を厭い、すべてに懐疑的なこれまでの生活を捨てて彼女の手を取り、希望の未来へ向けて歩み始めたばかりのところで身重の妻を交通事故であっけなく失ってしまった。ここに親友の死と最愛の妻の死とがひとつに重なって主人公を悲嘆のどん底へ突き落とすのだが、やがてそこから瞳をあげて明るい将来へ踏み出すまでの姿を描いている。

感想・レビュー・書評

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  • 誤植が多いのがもったいない。
    良い本。

  • 頑なな厭世家が生きる喜びを知り、大打撃を受けつつも逆戻りせず立ち上がる。くそ真面目な少年ー青年が延々自分語りを続けるので、なかなか疲れる読書だった。意外な展開なんかは一切ないし。まあでも「人生バランスがとれればいいじゃない」というばあちゃんの言葉が主人公の心に届いてよかったです。あと、何かあったときに帰れる土地があるって素敵ですね。

    翻訳文のリズムがどうにも合わなかったので、次のデリーベスは別の人が訳した本にする。

  • スペインの国民的作家の処女作。
    スペインの古都アビラが通奏低音のような小説。
    不遇な少年時代をアビラで過ごしたペドロは「失う痛みを思えばはじめから持たない方がいい」と、人との関わりを避ける船乗りとなる。
    自分は最後まで独りで生きていくのだと考えていたペドロだが、病にかかったとき療養生活を助けてくれた友人の母の優しい言葉に勇気づけられ、一回は諦めた(というよりは関わりを恐れて自分から去った)女性とともに人生を歩むことを決める。

    というとハッピーエンドになるように思えるが、ラストに向かってどんどん不幸フラグが立っていき、まさにその通りに。
    ここでペドロが自暴自棄になってしまわないのは、アビラ、昔の時間が今と交わり、生と死が共存しているような古都で少年時代を過ごしたためか。死んだ者をすぐそばに感じ、彼らとともに生かされていると実感できるから辛い別れがあっても生きて行くことができるのだろう。

    ラストで少年時代の親友の墓に亡き妻の指輪を落とすシーンで不覚にも涙がでた。

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著者プロフィール

Miguel Delibes Setién (1920-2010)
20世紀のスペインを代表する作家の一人。
『糸杉の影は長い』(1947年:岩根圀和 訳、2010年、彩流社)で
ナダル賞を受賞し文壇登場。自然の中で伸び伸びと生きる
子どもたちを描いた『エルカミーノ(道)』(1950年:喜多延鷹 訳、
2000年、彩流社)で確固たる地位を得た。
以後、家族・子ども・自然・死をテーマに、独自のスタイルで
数多くの作品を発表し、セルバンテス賞を始め、多くの文学賞を獲得した。
時期的にはフランコの厳しい検閲(1940-1975年)と重なるが、
検閲を巧みにかわし抵抗した『ネズミ』(1962年:喜多延鷹 訳、
2009年、彩流社)や『マリオとの五時間』(1966:岩根圀和 訳、2004年、
彩流社)などの作品もある。
その他の邦訳された作品に、
『落ちた王子さま』(岩根圀和 訳、2011年、彩流社)、
『翼を失った天使』(ミゲル・デリベス 著、近藤勝彦 訳、
 2007年、私家版)
『異端者』(岩根圀和 訳、2002年、彩流社)、
『灰地に赤の夫人像』(喜多延鷹 訳、1995年、彩流社)、
『赤い紙』(岩根圀和 訳、1994年、彩流社)、
『好色六十路の恋文』(喜多延鷹 訳、1989年、西和書林)
 がある。



「2020年 『そよ吹く南風にまどろむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ミゲル・デリーベスの作品

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