マーガレット・アトウッド論: サバイバルの重層性「個人・国家・地球環境」
- 彩流社 (2011年11月14日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779116834
作品紹介・あらすじ
アトウッドは、2010年9月の国際ペン東京大会の基調講演で、「環境保全は文学の大前提」であり、環境を守れない限り、書くものは意味を為さず、環境は人間が存在する基盤であり、文学は環境と密接に関連していると述べ、いま過酷な状況下でのサバイバルの物語が読まれていると述べた。また、彼女の最新小説は、人類および地球環境が絶滅の危機に陥っている世界を描き、人類と地球の生存が一貫したテーマとなっており、いまなおサバイバル(生き抜くこと)を重要な要素として考えていることが分かる。
しかし、そのサバイバルは、初期小説群においてはメイン・プロットの裏側に巧妙に隠された形で描かれていたのである。しかも、そのサバイバルの主体は人間だけではなく、国家共同体あるいは人類/地球環境の絶滅と生存を含むものであった。
本書は、それら三つのサバイバル、つまり個人(人間)、国家共同体、地球環境のサバイバルが彼女の作品世界に重層的に組み込まれ関連していることを論証し、アトウッドの本質に迫る。