- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779117572
感想・レビュー・書評
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愛憎と照れとシャレが入り混じった愛すべき追悼。晩年の声も出ない体調でも落語を続けた全身ドキュメンタリー落語家の追悼には、野暮な神格化よりこういう俗世臭い文のが相応しいのではないか。
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談志がケチなのは有名ですが、いろいろと面倒くさい人だったわけです。「悪口」という意味では談志へのオマージュとも言えるわけで、こういう愛され方もいい。故人のことは美化されがちですが、談志が死んだ後のコメントでは柳家小三治のそれがかっこよかったなぁ。参考までにhttp://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/102201.html
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立川談志から唯一破門された(破門と言っても実際に判決を下したのは立川流顧問の吉川潮だが)落語家、快楽亭ブラックの「素顔」の立川談志評、と銘打った追悼作品?およそ、落語家は死ぬと名人で良い人、となるのだが、「あれじゃ、まるで談志がいい人みたいじゃないか」ということでペンを取ったのがブラック師匠。
ブラックの毒舌は満載で談志が如何に弟子に対してヒドい師匠であったか、特に金に汚いのか、と声を大にして罵っている。が、しかしそれは既にあちこちで立川流の弟子達が語っている談志像であり、決して新ネタではない。新ネタと言えば破門された後も浅草のとんかつ屋とかで会ったりしたという懐かしい思い出を語るもので、却って弟子想いの談志像が浮かび上がってくるのだから皮肉なもんだ。
弟子の頃のブラックは外ではメチャクチャをやっても談志の前ではおどおどしていた、と自ら書くように流石のブラックをしても談志には頭が上がらないのかもしれない。ブラックを持ってしても悪人に描けないのなら「本当に談志は良い落語家だった」となってしまいそうだ。