サークル・ゲーム

  • 彩流社
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本棚登録 : 72
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779126833

作品紹介・あらすじ

現代カナダ文学を代表する作家、
マーガレット・アトウッドのデビュー作、本邦初訳!

この恍惚とした回転が喜びだと
誤解していたのかもしれない
でも、そこになんの喜びもない──(表題作「サークル・ゲーム」より)

不穏な空気に包まれた28篇の詩集。

フェミニズム、環境問題等、アトウッドの全作品に共通するテーマが
すでに現われている、注目作!

感想・レビュー・書評

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  • 翻訳詩の楽しみ方が今ひとつわからないので、韻文だと知っていたら開かなかった本。だけどこの詩集はよいです。日本語に移し替えられた言葉が作り出すイメージが不穏で緊張していて、ときどき弛緩して、そして土と水のにおいがする。原文で読んだら単語の響きも楽しめるのかも!と原著が欲しくなった。

    グループ対個人だとか男対女の水面下でのパワーゲームとか、死んだものと生きているものが重なり合って層になっているような光景とか、息苦しいものや寒々しいもの、そこからいつか萌えだす生命がありそうな予感とか。読むペースを少し落として、思い浮かぶイメージの世界を探検したい気持ちになった。

  • 50年の時を経ての翻訳とのことで、これが良かった。執筆当初では、もっとメルヘン不思議ちゃんに変換され、全員が不幸になっていたと思われ。現在の人物像があるから、よりソリッドに伝えたいことが表現できているように感じる。とても抽象的な書かれ方であるが、これを小学五年生が読んだとしても「全然解らないけど何だかスゲエ、普通じゃねえぞ」と感じると思う。この人はストレスを感じると自分に向けるんだね。それで病んだりしないで、丁寧に梱包して、内側から相手に反射する。気付かない猛者は沢山いるんだろうが、大体は戦慄する。

  • 心の表面がざわめきたつような不穏な詩集。わりと好きな感じかも。

  • あわいの言葉を具現化させる、シビュラの託宣を受けるような詩集でした。

    「…アトウッドは、日常から日常性をべろりと剥がす。カーペットのしたに、暗緑の海が広がり、オレンジの皮をむくと、頭蓋骨が露わになる。」

  • 新たな感覚を得たかのように錯覚する読後感。

    それが暗に仄めかされているのが1篇目8p、

    「でも時間をかけて見つめつづけると、
    いつか
    わたしが見えてくるでしょう。」

    きっとこの詩集とも時間をかけて向き合えばはっきりと「わたし」を認識できるようになるのかも知れない。


    1刷
    2021.2.3

  • 一語、一文がやたらと刺さる。

  • アトウッドの初期詩集。どれも不穏が漂う。後の作品の予言めいた詩句もちらほら。

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著者プロフィール

マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood):1939年カナダ生まれ、トロント大学卒業。66年にデビュー作『サークル・ゲーム』(詩集)でカナダ総督文学賞受賞ののち、69年に『食べられる女』(小説)を発表。87年に『侍女の物語』でアーサー・C・クラーク賞及び再度カナダ総督文学賞、96年に『またの名をグレイス』でギラー賞、2000年に『昏き目の暗殺者』でブッカー賞及びハメット賞、19年に『誓願』で再度ブッカー賞を受賞。ほか著作・受賞歴多数。

「2022年 『青ひげの卵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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