〈男〉の落語評論 (フィギュール彩 66)

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  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779170713

作品紹介・あらすじ

《男目線》の落語評論があったっていいじゃねぇか!

落語てなぁ、江戸の富裕な町人の「男文化」のなかで生まれ、
昭和の頃だって寄席では男客が多かった。
いまじゃ女性客のほうが多いが。いけないなんて言いません。
現代文化は女性が作る。

そんなことは百も承知。
落語の噺に関しては、だいたいの作品が男目線で
作られている。
男が作って男が演じ、男とわずかな女性が
聴いていたんだから、しょうがねえや。
それをいまの女性客に受けるように演じるのも
噺家の技だ。

女性にも面白い古典落語を穿ったアングルで論じてみらぁ。

落語評論の目的を次の3つとする。
(1)「落語をひろく世間一般に知らしめる」
(2)「落語家の芸の向上を促す」
(3)「評論を通じて自己表現を行う」。

要するに評論に自らの主張を入れてゆく。
さらには、落語評論を書くうえで留意すべきことは
「落語界のためになる」評論を書くこと、という意見。
五代目柳家つばめは『落語の世界』『創作落語論』の
なかで落語評論について述べている。
いずれも四十年前の本だ。
つばめは当時の演芸評論家たちに
「落語界のためになる評論をして欲しい」と言っている。
「皆が、よいと思っていたものを褒めるだけなら、
それは評判であって、評論というほどのもの
じゃないだろうと思う。「見識が欲しい」とも言う。
そこが重要だ。

「一般の人が見えない、何かを、評論家の優れた
洞察力によって大衆の前にむき出してみせる。
これが値打ちではないだろうか」

落語評論のキモはこれに尽きる。

著者プロフィール

いなだ・かずひろ
演芸作家、落語評論家。日本脚本家連盟、社団法人日本放送作家協会所属。
民族芸能を守る会相談役。作者部屋(歌舞伎作家のこと)同人。
日本大学芸術学部演劇学科卒業。タウン誌記者、コピーライターなど、
1986年頃より作家活動。演芸(落語、講談、浪曲、漫才)の台本、邦楽
(長唄、新内、琵琶など)の作詞、演劇の脚本、演出など。
2019年には初となる時代小説を上梓。
主な著書に『食べる落語 いろはうまいもんづくし』『恋する落語 男と女の
いろはづくし』『落語からわかる江戸の恋 ( いろは落語づくし)』
『落語からわかる江戸の旅 ( いろは落語づくし)』『昭和の名人 この一席』
(教育評論社)『落語が教えてくれる生活の知恵30』(明治書院)
『落語に学ぶ大人の極意』『水滸伝に学ぶ組織のオキテ』
『江戸落語で知る四季のご馳走』『江戸のいろごと 落語で知る男と女』
(平凡社新書)『そんな夢をあともう少し 千住のおひろ花便り』
『女の厄払い 千住のおひろ花便り』『豪傑 岩見重太郎』(祥伝社文庫)
『おやこで楽しむ講談入門』『おやこで楽しむ講談ドリル』
(宝井琴星監修、彩流社)『落語 演目・用語事典』(稲田和浩編、
日外アソシエーツ)等がある。

「2022年 『[増補改訂版]浪曲論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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