社会調査のための計量テキスト分析―内容分析の継承と発展を目指して

著者 :
  • ナカニシヤ出版
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779508035

感想・レビュー・書評

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  • 従来の社会調査では、数値化されていない文章のようなデータ、質的データの利用には種々の困難があった。分析方法の確立と普及が遅れていたため。

  • 本書は、そのタイトル通り「社会調査」を行う研究者が、「計量テキスト分析」を行うための「テキスト」。一般論としての社会調査や分析手法の説明ではなく、作者が開発したKH Coderというテキストマイニングの分析用ソフトウェア―に特化した「事例論文」と「使用マニュアル」である。研究、とりわけ社会学的な研究領域では、その双璧をなす研究手法が「量的研究」と「質的研究」であるが、本書は後者での記述的な内容分析を計量的な研究へと発展させるべく、自らが分析ソフトを開発、研究へと適用した。内容分析は、ともすると研究者の主観や価値判断が入り込むリスクに晒されるが、計量的な手法を分析ソフトとして導入することにより、研究成果の客観性・再現性更には新たな知見発見への可能性を高めた意義は大きい。前半の研究事例論文と後半のソフト使用マニュアルは、相互に行き来することによりこのソフトによる研究が論文作成にまで繋がる点は有難い(正に筆者自身がその立場である)。狭い範囲の読者に限定されるが、研究ツールやマニュアル、成果物を惜しみなく無償で公開する筆者の良心的な学者姿勢に感銘できる1冊である。

  • 数年前に一度使ったきり。まずは探索的に。

  • 2階書架 : 361.9/HIG : 3410160907

  • KH coderというフリーソフトの解説本という位置づけ。ソフトダウンロードしたけれど、開発者への敬意を表するために買って読みました。まあソフトの使い方はあまり詳しく書かれていないので、結局実際に使ってみるしかないのでしょう。

  • 学会発表用の図表を作成するために、実際に自分のデータを解析しながら本書を読んだ。試しに複数の大学の3つのポリシーを収集し内容を分析した。試行の結果、ある程度の傾向を見出すことができた。学会で会員の反応を見てみたい。

    ちなみに、4年前の修士論文執筆時は本書は刊行されておらず、自己流でしかもごく一部の機能を使い解析をしていた。このため、強制抽出の機能も知らず、ただ単純に頻出語を列挙するに留まっていた。KH-Coderを使った解析結果は、論文の本論には組み込めず補論として述べて終わった。また、2年前の学会発表でもほとんど使用法の熟練は無く、なんとなく使っていた程度だった。しかし、この本を通読することで、同ソフトでかなりの計算ができることがわかった。分析対象は人文科学・芸術を含めた諸領域に広がる。詳細の用例については同書を参照されたい。まずはできそうな解析だけ進めて、結果を見てさらに構想を練ることもできる。

  • 内容分析の奥深さ、著者が内容分析に向き合う姿勢に頭が下がる思いだ。
    KH Coder というフリーソフトを活用したいがためだけにこの書籍を購入した自分が情けない。

    アンケートなどで獲得したデータを製品企画などにつなげる手法や考え方は、さまざまなものが開発されているが、「機械的な質問から導かれたコンセプトで満足してよいのか」という思いが根底にある。
    結局、これら手法を表面的になぞったところで よいものは生まれない。

    私自身は、顧客の生の声+背景から、文脈を含め 真なる要求を愚直に整理することがもっとも大切であると思っているが、これも著者曰くの恣意的要素が入る可能性がある。

    加えて何よりも、これら言語データの整理を苦手とする者は多く、個人差も相当あるように思う。

    なので「コンセプト明確化」におけるボトルネックは、コンセプトを具現化するところではなく、そもそも何が望まれているのか?という根っこの部分にあり、仮にデータがあっても これをうまく整理する力量が不足していることにあると感じている。

    そんな折、
    KH Coder ではじめて共起ネットワークを描いたときは衝撃だった。
    何もコーディングせず、デフォルト設定のままでデータの概要をほぼ掴むことができたからだ。
    これなら使えるかもしれない。。。 はじめてそう思えた。

    アンケート結果の平均傾向を求めるよりも、自由回答に記載いただいた声をKH Coder にかけることで、いままで気がつけなかったことが発見できるかもしれない。

    不具合事例を KH Coder にかけることで、同じく、いままで気がつけなかった分類区分、自らの弱点が発見できるかもしれない。

    とはいえ、文系各位には敷居は高いかもしれない。アンケートの自由回答を分析するということのみに絞って、ガイドを作ってみたい。


    最後に
    これだけのソフトをフリーで提供されている著者にあらためて感謝したい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。2005年大阪大学大学院人間科学研究科修了。博士(人間科学)。
日本学術振興会特別研究員,大阪大学大学院人間科学研究科助教を
経て,立命館大学産業社会学部准教授。

【主要業績】
『コーパスとテキストマイニング』(共立出版,2012 年,共著)
『データアーカイブSRDQ で学ぶ社会調査の計量分析』(ミネルヴァ書房,2010 年,共著)
「情報化イノベーションの採用と富の有無」(『ソシオロジ』,57 巻3 号,2013 年)。

「2020年 『社会調査のための計量テキスト分析 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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