傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

制作 : 池見 陽 
  • ナカニシヤ出版
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本棚登録 : 14
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779510458

感想・レビュー・書評

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  • ・患者アンナ・Oは彼らの治療を「お話治癒」と呼んでいました。ブロイヤーはそれを「煙突掃除療法」と呼んでいましたが後に「カタルシス」と呼ぶようになりました。「カタルシス」は元々ギリシャ語で「浄化する」ことを意味します。ギリシャの哲学者アリストテレスが観客にもたらされる悲劇の効用をいうのにこの語を使用したのが最初だと言われます。

    ・人がフェルトセンスを感じるとき、含意された意味の感覚はあるが、それが何なのかをすぐに明在的な言葉で表すことができない。「このお店、いい雰囲気だね」という場合も、「雰囲気」という言葉にはどんな意味が込められているのだろうか>「落ち着く」「活気がある」「内装が綺麗」など、「いい雰囲気」は語り手にとって、何らかの暗在的な意味を含んでいる。
    他方、「私は怒っている」という場合、「怒っている」という明在的な側面だけが語られている。感情の特徴は、それが単一焦点的だということである。つまり、この例の場合は「怒っている」という1つの焦点しか感じられないのである。

    ・心理療法とメタファーの関係はとても古く、フロイトが『夢分析』を発表した頃から注目されていた。フロイトは心理臨床における言葉の機微について言及したパイオニアではあるが、精神分析におけるメタファーの機能を体系化させたのは、フランスの精神分析家であるジャック・ラカンだという。ラカンは、隠喩と換喩の違いを、防衛規制の相違と対応させてメタファーの昨日を臨床的な題材へと発展させている。

    ・フォーカシングでは、なぜ<からだ>で直接的に感じられることを大切にするのだろうか。それは、話し手やCLが話題として取り上げたい状況について最も精密に知っているのが、状況と直接的に相互作用している<からだ>だからである。では、豊富なメタファーとオノマトペを伴って、言葉でその感じを言い表そうと試みるのはなぜだろうか。それは、言葉が状況とかかわり合うことで、曖昧ではあるが確かに感じられている状況の意味を、より精密に理解できるからである。
    言葉と状況のあいだのこの精密で創造的なかかわりのことを、ジェンドリンは「交差(crossing)」と呼ぶ。私たちの生きている状況は、それ自体が複雑であり、多くの意味を暗に含んでいる。
    またある言葉一つ取っても、さまざまな文脈においてさまざまな使い方をもともと含んでいる。同じ「ずっしり」でも、トンカツがずっしりしているのと、金塊がずっしりしているのと、仕事がずっしりしているのとでは、そのニュアンスはわずかに、しかし確かに異なっているだろう。

  • フォーカシングを使った傾聴の実例が分かる本。
    カウンセリングの理論が歴史を追って書かれているので、これ1冊でも「教科書」となり得る。

    個人的には、著編者がバイリンガルとして大人になるまでの「頭の中」の事が書かれている部分にも興味を持った。
    傾聴も、「誰に」聞いてもらうかが一番重要な事かもしれないと感じた。

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