- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779511226
感想・レビュー・書評
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宇宙開発を倫理学的な視点から見てみよう、という本。
特に有人宇宙開発からの宇宙植民について、それが許容される世界はどのようなものか、倫理学から述べている。
技術的な点ではなく、倫理的なところから宇宙植民について述べている本は少ないと思われ、大変面白い内容でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:538A/I51u//K
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難しい。「放射能の観点で危ねぇ!からスペースコロニーに反対!」ということは理解した。功利主義、カント倫理学、徳倫理学については勉強になった。
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まさに知りたかったことが書かれた一冊だった。
宇宙開発が正当化される理由の糸口を探したかったので、それが明示されなかったのは残念だったが、非常に合理的な考察であり、勉強になった。
また、AI倫理の観点でも示唆に富む考察があったことも望外の収穫だった。
特にリベラリズムの限界、徳倫理学の可能性についての考察は刺激的で、結局世の中はそちらの方向、全体主義的・非科学的方向に揺り戻されるのではないと思う。またそこに、宇通開発が正当化される余地はあるのかもしれない。
リベラリズムの限界や、戦争・競争が宇宙開発を正当化しうるという観点で、改めて本書を批判的に考えていきたい。
【まとめの目次】
・本書の課題空間と結論
-リベラリズムに基づく宇宙開発可能性のまとめ(本書の結論)
・スペースコロニーの倫理学
-オニール構想とその吟味
・宇宙植民に意味はあるのか
-大規模有人ミッションの可能性
-小惑星コロニー
-宇宙植民が成立する条件
-恒星間飛行
・自律型人格的ロボット
-自律型ロボットの倫理的課題
-自律型ロボットによる宇宙探査が認められる社会
-『PLUTO』考察
-「宇宙SF」の現在とポストヒューマン
・リベラリズムの限界と徳倫理学 -
稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』読了。久々に人文書をちゃんと読んだ。宇宙SF自体は科学の進歩の結果として流行を過ぎて久しいが、リベラルな現代社会において許容されうる宇宙開発のあり方を構想するという試みがこれほど刺激的であったとは。人文研究らしい細々とした配慮に満ちていて読み応え十分。
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【内容紹介】
タイトル 宇宙倫理学入門
著者 稲葉振一郎
出版社 ナカニシヤ出版
本体価格(予定) 2500円
ページ数 272p
Cコード 0012
発売予定日 2016-12-23
ジャンル 一般/単行本/倫理(学)
ISBN 9784779511226
判型 四六
宇宙開発はリベラリズムに修正をもたらすのか。宇宙開発が与える哲学的倫理的インパクトについて考察する、初の宇宙倫理学入門!
<http://comingbook.honzuki.jp/?detail=9784779511226>
【簡易目次】
はじめに
1 倫理学・政治哲学と宇宙開発――リベラリズムを中心に
1-1 応用倫理学のなかの宇宙倫理学
1-2 ミドルレンジの宇宙倫理学の困難
2 「スペース・コロニー」の倫理学
2-1 ジェラード・オニールの「島」
2-2 オニール構想の吟味
3 宇宙植民に意味はあるか?
3-1 有人宇宙ミッションの意義?
3-2 野田篤司の小惑星
4 恒星間航行
4-1 有人恒星間航行の絶望的困難
4-2 「人間」の意味転換
5 自律型‐人格的ロボット
5-1 人格的ロボットの倫理学
5-2 未来社会のひとつのイメージ――あるSFまんがから
6 「宇宙SF」の現在
6-1 宇宙SFの変質と解体
6-2 ポストヒューマンSFの台頭
7 リベラリズム再審
7-1 「飛躍」の論理
7-2 応用(宇宙・ロボット)倫理学から倫理学原理へ
7-3 ハンナ・アーレントの宇宙開発論
おわりに
補論1 ニック・ボストロムの「超知能」と「シングルトン」について
補論2 デイヴィドソン=ヒース的道徳実在論
註
参考文献
あとがき
索引