若者よ、マルクスを読もう (20歳代の模索と情熱)

  • かもがわ出版
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780303605

感想・レビュー・書評

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  • 【労働者に向けて】
    「かれらは世界を獲得しなければならない」p45

    フォイエルバッハ『キリスト教の本質』
    「宗教が人間をつくったのではない、人間が宗教をつくったのだ」p69

    マルクス「ドイツ人の解放は人間の解放である。この解放の頭脳は哲学であり、それの心臓はプロレタリアートである」p175

  • 何を成し遂げた人か解ってるようで解ってないマルクスの思想、その背景の一端でもつかめればと高校生をターゲットしたとまえがきにあるこの本を、内田さんが著してることもあり買ってみた。ふたりの書簡形式で進んでいくこの本、石川さんのパートが読みづらいものがあり挫折しそうだったが、良い頃合いに内田さんのパートに移り持ちこたえるということを繰り返し何とか読了に至ったという体たらくだった。とはいうものの、何を以て正しいか、正しくないかという基準は与えられるものでなく、自分で練り上げていくマルクスのスタイルは嫌いじゃ無い。

  • 「世の大人がこれだけ夢中になっているものだから、おもしろいものだよ。」
    とゴルフを勧められ数回うちっぱなしに行ったことがあるけれど(残念ながら長続きはしていない)、これだけ名前を聞くマルクスについて読んでおいてもいいのかもなぁ、と手に取った本。

    『マルクスを読んでいると、自分の思考の枠組み(「檻」と言ってもいいかもしれません)を外側からがんがん揺さぶられて、檻の壁に亀裂が走り、鉄格子が緩んでくるような感じがする。』

    僕の中では、差別が当たり前だった世界から民主化を経て今の平等な社会に発展してきた、という感覚がなんとなくある。人権が保証された平等な社会に生まれて良かったなぁという感覚。
    けれど、歴史は現在に向けて一直線に進化してきたものではないはずだし、今の社会が最善のものであるわけではもちろんながらない。そもそも、「効率」を第一とした高度資本主義社会が良いものなんだろうか。社会で成功できないのは能力がないからだ、と解釈されるような社会が。
    僕が当たり前に受け入れている常識は正しいのだろうか。

    なんてことをごちゃごちゃ考えさせられるいい本でした。

    本としては高校生向けとのことで読みやすいけど、やっぱり難しい。(とても高校生向けとは思えない!)
    内容を実感できるようになる(心の底から理解する)には人間としての経験とか成長といったものがまだまだ必要だろうな。

  • 政治、共産党、旧社会党出身者の愚行、全共闘世代、そのあたり
    の思想、考えのルーツを知りたいがためにマルクスを読んでみたい
    と思ったのがこの本を手にしたきっかけ。
    「資本論」は経済を勉強する中で出てくるので断片的に知っている
    が、この「資本論」と「共産党宣言」をどういう経緯でマルクスが著す
    ことになったのかが知りたいと思った。
    若くは無いが読んだことはないので教えてもらう。

    この本では20代のマルクスが著した、「共産党宣言」、「ユダヤ人
    問題によせて」、「ヘーゲル法哲学批判序説」、「経済学・哲学草稿」、
    「ドイツ・イデオロギー」について、石川康宏氏、内田樹氏が書簡を
    やりとりする形式で紹介する構成となっている。

    石川氏は20代のマルクスの情熱を、内田氏は「共産党宣言」について
    跳躍感、浮き足立つ感覚を魅力として紹介している。
    情熱、跳躍感、たぶんこれがキーワードではないか。
    両氏曰く、するめのようなものであるとされているので、難解と感じても
    繰り返し読み返せば何か思い当たるのであろうか。
    そういう捉え方があるのだと参考になった。

  • 内田樹氏のブログに掲載された韓国版の序文を読んだ。マルクスを読むことが、「大人」形成の装置という考えに、いわゆるもうマルクスを読まなくなったと言われる世代の私だけど、とても共感した。まだ、私が小中高生だったころは、そういう時代を抜けてきた先生がいて、弱者に対する視点というものを、社会や国語や音楽の授業で叩き込まれた気がする。共産主義は至上善なのだと、素直に理解すれば、そう思うくらいに教育は弱者視点で作られていた。結果として、その理想社会の実現の難しさが明らかになった今、もうマルクスは取るに足らないものとして片付けられているが、そこにある青くさいまでの正義感はやはり若者が一度は感じなければいけないのではないか。そんなことを思いました。

  • 内田樹と石川康宏の共著。
    お互いに書簡を1通ずつ書いていくという文通形式で進む。

    マルクスの思想を分かりやすく噛み砕いて紹介する趣旨の本であるが、石川康宏の書簡は網羅的である代わりにどうやら噛み砕くつもりが無いらしく難解。
    内田樹の書簡は、僕のバイアスを認めつつもやはり分かりやすく興味を引く内容だが、部分的すぎる難も否めない。

    内田樹の第6書簡と第8書簡が☆5の評価に値すると思いましたが、他がいまいちだったので全体としては☆3にしました。

    でもまあ、確かにマルクスは面白そう!とは思いました。
    巻は続くようなので、期待しておきます。

  • アンフェアな社会の実情を無視することのできない、人間的で熱いマルクスが好きです。自分の力を総動員して問題を突き詰め、ぐいぐい探求して、答えを探り当てようとする。そういうマルクスの「熱」を、マルクスのことが大好きな素敵なおじさま方が丁寧に、熱意を持って教えてくれる本。
    私的マルクス体験で言うと、初めて世界史でマルクスを知った時、共産党宣言のあの有名な文句を何度も暗唱してたことを思い出しました。マルクスを読むと胸が熱くなる。

  • 面白そうだと思って。

  • マルクスは熱血漢だった。
    知的な熱血漢。
    漫画家に喩えると島本和彦だな。
    =ぼくはマルクスが好きだな。
    帰納法的証明おわり。

    石川康宏氏が地盤を固め、
    内田樹先生がそれを踏み台にするというスタイルの本書(偏見)。

    だから、
    内田樹先生が面白いのは当然である。
    足蹴にしてるんだから。

    それを差し引いても、
    彼のエンターテイナーとしての芸は卓越している。
    芸人で言うとバカリズム的(もっとすごいけど)。
    優れて豊かな視点だな、とつくづく思う。

    石川氏の言説も知識面では非常に充実している。
    歴史的経緯や背景を盛り込んでいるため、
    パースペクティブがしっかりとれていて分かりやすい(あまり理解してないけど)。

    この文章を書きながらふと思ったけれど、
    本書は掛け合い漫才のようなものだな。

    石川氏がまず振り、内田先生がボケる。
    そして石川氏が突っ込み次の振りへ、という具合に。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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