戦争を伝えることば―いらだつ若者を前にして

  • かもがわ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780303797

作品紹介・あらすじ

若者に戦争は伝えられるか!?語りにくい体験を「孫娘」に伝えようと品川氏は言葉をさがし、展望の見えぬ「平和な」社会にいら立つ若者を前に清水氏は佇む。ふたりの講演と対話には、どうしても届けたい言葉が溢れている。青山学院大学主催「戦争体験の継承と平和認識」講演と対話の報告集。

感想・レビュー・書評

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  • 記憶は弱者にあり
    本当にそのとおり!
    「平和を生きのびるための言葉をわたしたちはもちあわせていないのではないか」(清水真砂子さん)
    さすがに、清水さんらしい慧眼にあふれた言葉。
    この、言葉に出逢うだけでも この一冊は値打ちがあります。
    明日を創る若い人に手渡したい一冊です。

  • 2009年に青山学院大学の公開フォーラム「戦争体験の継承と平和認識」で話された品川正治氏と清水眞砂子氏の講演録と対談録。

    なぜ、戦争体験者がその体験を語ることができずにいるのか、から始まり、孫娘さんに戦争体験を伝えることになり、一般ではなく自身の体験を伝えることから始められたこと、

    戦争はまず価値観を転倒させてしまうんだということを話しました。
    戦争に勝つためにという価値観がすべてになってしまうことの恐ろしさ。
    その戦争は、抽象的な国家というものがおこすものではなく、天災地変でもなく、起こすのが人間だということ。それを許さず、止めることができるのも人間だということ。
    人間を基準に考えることにより、止めることができる。

    戦争を知らない世代にとって、この平和な時代を生きることがどういうことなのか、平和とはいえ、経済では行き詰まり先の見えなくなっている時代を健全に生き抜くこと、戦争に向かわずにいること。

    戦争を望まない状況をどう作り出していくかということなんです
    若い人たちの希望を奪うような現在の状況が心配です

    戦争を期待するという空気を作らない

    希望を持つ人は物事を時間をかけてみる フラナリ・オコナー

    教育は戦争をどう教えているか
    10歳以下の子どもたちに向けて戦争を語る必要などまったくないと思っています。子どもたち自身、自分たちが生きていくことで必死なんですよね。自分が今、なぜここにいるのかという問い、存在の根源的な不安にものすごく揺れている。死の不安も、幼い子どもたちにだってあります、そういう子どもに向かって、なぜ戦争の悲惨さをあえて伝えなきゃいけないのか。
    「生きてごらん」ということをまず伝えたい。

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著者プロフィール

1924年、神戸市に生まれる。
旧制第三高等学校在学中に志願して旧陸軍に入隊、中国戦線へ。
東京大学法学部政治学科卒業。
日本火災海上保険社長・会長、経済同友会副代表幹事・専務理事・
終身幹事、財団法人国際開発センター会長を歴任。
2013年逝去。
著書『9条がつくる脱アメリカ型国家』(青灯社)『反戦への道』(新日本出版社)
『戦後暦程』(岩波書店)ほか

「2013年 『遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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