- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780307535
作品紹介・あらすじ
福島のコメを食べようと思ってもらうには、すごく長い時間がかかるのだろう。でもそこは、焦らない。焦らないで、「自分たちは何も悪くないんだ」ということを心の支えにしてやっていくしかない。福島のコメは安全だという声と、食べるのが恐いという声と、その接点がここにある。
感想・レビュー・書評
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無理して食べなくでもいいですよ。でも私は安全な米を作り続けますよ。いつかあなたが食べてくれたら嬉しいです。このアプローチはとても時間がかかるのは明らかだけど、科学的に実証されただけで人が安心しないのは、穢れの意識があるからだろう。科学的に安全だから食べなさいというのは押し付けであるという主人公の三浦さんの考えに好感が持てた。また東電や官僚との折衝なども福島育ちで本当に福島を好きでないと出来ないと思われる情念を感じた。
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大地震、津波、そして原発事故被害と闘い続けている農民連の三浦さん、でもこの人の不屈の闘志、柔軟な発想と行動力、明るさにはいつも、こちらが励まされます。原発をなくし福島の再生、未来のために応援し続けます。
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2016年に読んだ1冊目はこちら。取材相手である、南相馬市に住んでいた農家、三浦さんのことを書いた本。作った農作物の放射線量を測って、安全かどうかを伝えることはできるけど、それを安心と考えるかどうか、というのは、人それぞれ。長くかかるであろう問題を、本当に言い得ている気がした。そして、やっぱり農業ってすごく長期的な目を持って取り組む、大変な仕事なんだ、と感じた。
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対象に対して批判的に向き合うことのむずかしさ。
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福島農業サイドの交渉役を務めている三浦広志氏の活躍を楽しく読んだ。交渉といっても本質的に明るいのは三浦氏の人柄。交渉のテクも参考にさせていただこうかな。
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1000万袋以上のうち、2012年=71、13年=28、14年=0。
3年を経て福島のコメからは、国基準以上のセシウムは検出されなくなった。普通の除染のように土を取り除くと、田んぼから栄養も奪われる。だから、セシウムの多い表土を掘り起こし、稲が吸い込まない下の方に埋め返す、そんな地道な作業のくり返しだ。福島の農民の努力と厳格な検査の結果、コメの安全性に三浦は自信がある。しかし、「食べてほしい」とは言わない。「安全」の押しつけと反発する心も分かるから。ただただ安全なコメをつくり、測り続ける。売れないのは国と東電の責任だから、「食べる」「食べない」で国民が分裂してはダメ。売れないことの賠償は国・東電に求める。長い闘いだから楽しくやりたい。三浦のまわりには笑顔と笑い声があふれる。農民・三浦の愉快な闘いの記録。