二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ

著者 :
  • ポット出版
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本棚登録 : 127
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780801354

作品紹介・あらすじ

「長い付き合いを応援する」新宿のゲイバー「タックスノット」。
同店の店主である大塚隆史が自らの経験を元に、同性愛者に限らず、パートナーとの関係に悩むすべての人に説く、二人が一緒にいるために必要な「技術」。

感想・レビュー・書評

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  • <2022年度男女共同参画推進センター推薦図書>
    2人でいることの幸せと悲しみ。
    1970年代からゲイであることを公表し、日本のゲイ文化を牽引してきた著者。
    これまでのパートナーとの生活を赤裸々に語り、関係の育て方、持続法、暮らしのルールなど、パートナーシップに大事な技術を教えてくれます。

    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB03657126

  • 新宿3丁目の「タックスノット」というゲイバーを営む、大塚隆史さんによる書籍。

    内容は、筆者の半生を語った自叙伝であり、なおかつパートナーシップに関する持論を展開していく。

    個人的には面白いと感じた。星評価するならば、星4.5くらいの面白さになるかと思う。

    過去の描写がビビッドでよい。幼少期や青年期について、筆者の記憶力の強さに驚かされる。描写は詳細で、なおかつその中に感情を込めるのが巧い。

    行ったことのない当時のニューヨークに自分が立っているような、自然に手を繋いでデートをするゲイカップルに感銘を受けたような、追体験のような読書ができる。

    ゲイの人生について問われたら、自分語りするよりもこの本を1冊薦める方がスムーズかもしれないと感じるほど。

    ただし、生きてきた時代背景がそうさせるのか、筆者には恋愛的な部分で奔放さ(と言って良いんだろうか)を感じてしまって、その部分を受け入れがたい読者もいるのではないだろうか。と思ってしまった。

    例えば、彼は付き合って9年になるパートナーがいたが、疎遠になってきてしまって、バーに来店した若い男性を自宅に呼び、その日の内にキスを迫る…など。

    しかし、そういう部分はありつつも、全体的には学ぶべき箇所がある書籍だった。奔放さとは書いたものの、筆者のパートナー歴は10年、9年、そして現在のパートナー、とそれぞれ長い。その中で学び、試行錯誤した点については、若い読者にとって教訓となりえるかもしれない。

    例えば、二人の間の問題について。どちらかが悪い、ということではなく共有することが大事。二人の問題にしてしまえば、問題の半分は解決したようなもの。などと言った教えは、深く頷ける想いがした。

    (書評ブログもよろしくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2021/12/21/%E3%80%90%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE%E7%AF%89%E3%81%8D%E6%96%B9%E3%80%91%E4%BA%8C%E4%BA%BA%E3%81%A7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E6%8A%80

  • 著者はゲイです。つまり、この二人というのは、ゲイのカップル。

    私はゲイのかたがたについて、いろいろ疑問を持っていて
    でもそのことが書かれていそうなサイトや本を開くのは
    中学生が18禁を見てしまうような、なんだか怖くて
    ずっと関わらないできました。

    でも今回この本がNHK週刊ブックレビューで
    篠井英介さんによって推薦されました。
    ですので、堂々と読むことができました。

    このレビューを読んで、もしゲイのかたが気を悪くされたら、ごめんなさい。

    この本を読んで、随分ゲイのことがわかりました。
    まだまだだと思いますが。
    でも、この本の目指すのはそういうことではなくて、
    二人がずっと仲良く暮らしていけること。
    ですから、男女の場合にも参考になると謳っています。

    けど、男女の方が難しくないなあと思いました。
    やっぱり自然なことだし(そうじゃないと、人類は滅亡してしまうでしょう?)大多数だから情報も多いし。

    男同士のカップルで長く続けるのって大変なことなんだなあとつくづく思いました。
    もし私がゲイだったら…、いいや。カジュアルな関係で、一人暮らしが楽。
    そう思っていたら、著者の元彼たちは、その後別な人と良い関係を続けているらしいので、「男同士もそのほうがいいのかな?本当は」と考えているところです。

  • 同性愛者の愛の記録である。愛と書いたが人を好きになったのが同姓であれ異性であれ悩みは同じである。楽しかったり、怒ったり、嫉妬したり。出会いと別れの仲でいろいろな思いが交差する。一つだけ違うのは、同性なら結婚という縛りがあるが、同性だとそれがない。だからなのか、同性愛者には長続きするカップルは少数である。
    この本はどうすれば長続きすることが出来るのかということを体験を基に考えている。技術というよりこうすれば上手くいくんだよと経験を積んだおじさんが若い者に蘊蓄を話している。しかし、その蘊蓄は嫌味が無くてためになることが多いように感じた。同姓であれ異性であれ愛するということは悩みが多い。そんな人にお勧めの本である。

  • 同性愛が異性愛と全く変わらない愛のひとつだということを事実として社会に突きつけることができていると思う。同性愛ということに偏見を受けながらもパートナーを築いていく様子を描く書。同性愛の人が、励まされ共感するところもたくさんあるだろうし、いくつものハードルを乗り越えていく様子は、同性愛だからではなく異性愛でも似たようなことがいくつもあること。だから、あえて異性愛の人にこそ読んでもらいたい。

  • すごく、良かった。
    なんだろう、何がいいんだろう。

    ちゃんと、この人が自分の言葉で自分の感情を言葉にしているからかな。すごく、理解できた。
    嫉妬する事、恋愛したときの事、恋人への思い、セックスへ意識・・・。


    私も・・・恋人とトゥマンな関係になりたい。
    もう、結婚したから幸せ、なんていえない。
    ちゃんと、好きな人と、チームを組んで、お互いを許し合って、生きていきたい。



    これ…図書館で借りたけど、欲しいなぁ。ほんといい本。

    -------------

    まずはそこに「二人の問題」があると、二人の間で認識が共有されることが重要だったのです。

    僕は、この贈り物を手にしたことで、自分がどれだけ「身近なひとから全肯定されたい」とのぞんでいたのかを知りました。


    「一人で生きていく」ことを肯定的にとらえようとしてみる。
    「僕にとってパートナーシップというものは、基本は一人で生きられる人間が、敢えて二人で生きることを選択するもの」


    現状の把握は、今自分たちがどこにいるのかを教えてくれます。「今どこにいるか」がわかり「どこに行きたいのか」のイメージがあって、初めて正しい方向へと動き出せるのです。


    「目的地を共有しておく」
    「意思を確認しておく」
    「現状を把握する」
    「技術によって関係を調整する」

  • タイトルが間違っている。
    「二人で生きる技術」ではなく、「二人で生きたいと願った私の自叙伝」ぐらいが正しいのではないか。

    著者が、これまで生きてきた60年で、付き合ってきた人それぞれとの関係を綴ったもの。
    参考になる部分もあるが、「技術」と書くほど提案がさまざま掲載されているわけではない。

    著者が60歳程度ということもあり、ちょっと昔のゲイ情報をさっくり知る資料にもなるかもしれません。

  • 私は生物学上も異性ですし、ストレートなので、
    ちょっと引く生々しい表現もありますけれども、
    表面的なものに惑わされず、きちんと本質を読むと深いです。
    普通以上にハードルの高い皆さんの努力の数々は
    見習うべきことも多いと思います。

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著者プロフィール

大塚隆史(おおつか・たかし) その昔、一世を風靡したラジオ番組「スネークマンショー」に参加し、ゲイのポジティブな生き方を発信。これに影響を受けたゲイは数知れず。1982年、バー「タックスノット」を新宿に開店。現在に至るまで多くのゲイやレズビアンの相談相手として幅広い支持を得ている。この店の人的交流をベースに生まれた別冊宝島のゲイ三部作『ゲイの贈り物』『ゲイのおもちゃ箱』『ゲイの学園天国』(すべて宝島社)を責任編集。著書に『二丁目からウロコ』(翔泳社)、『二人で生きる技術』(ポット出版)、訳書に『危険は承知/デレク・ジャーマンの遺言』(アップリンク・河出書房新社刊)がある。また長年にわたり造形作家として数多くの作品を生み出し、独特の世界観を披露し続けている。

「2023年 『二丁目からウロコ 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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