波紋と螺旋とフィボナッチ

著者 :
  • 学研プラス
4.15
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本棚登録 : 263
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780908695

作品紹介・あらすじ

『細胞工学』の人気連載「こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?」の単行本化.著者ならではの面白く分かり易い文章で,生物の形や模様が決まる精妙なメカニズムが直感的に理解できる内容.指紋のパターンが決まる仕組みに迫った書き下ろし作も収録.

感想・レビュー・書評

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  • ブクログ仲間さんの本棚で拝見し、なんともおもしろそうだとわくわくしながら手に取った1冊。

    アンモナイトの巻き方、シマウマの模様、指紋のでき方…などなど、生物の形や模様の裏に隠された法則を近藤先生が解説してくださいます。
    模様や形の生成なんてとても複雑そうなのに、「実はシンプルな原理なんです!」と説明されると、驚きとともに爽快感がわきあがってきます。

    特に近藤先生の「ユリイカ!」の瞬間を追体験できる、9章・10章が最高でした。
    シミュレーションの予測通りに魚の模様が変化したときの喜びがひしひしと伝わってきて、科学者の特権をおすそ分けしてもらえたような気持ちです。

    理系ではない私でも楽しく読み進められたのは、豊富なイラストや写真と、近藤先生の軽妙な文章のおかげだと思います。
    数式や物理がわからずとも、科学の魅力を存分に味わえて大満足でした。
    これから自然科学を学んでいく学生さんにも、ぜひぜひおすすめしたい本です。

  • ぽんきちさんのレビューを見て、本屋に注文する。

    貝殻や動物の角の螺旋構造、シマウマや魚の模様がどうしてできるのか解明していく。何故、数学的現象が発生するのか、生物学的意味を洞察していく辺りがモノスゴク面白い。
    シマウマなどの模様や人間の指紋は「波」であるという。この理論を発見したのはコンピュータ理論の生みの親、天才数学者チューリング。解説図の幾つかはチョット理解が足りなかったが、大雑把ながら理解したその理論は驚きの連続で、面白くて堪らない。

    そして、生物に見られるフィボナッチ数、黄金律、螺旋の関係は更に驚き。何故数学的にそうなるのか、僕には理解が出来ないのが残念。ところが、近藤先生は生物学的にはダメ、と更に説得力ある理論を出してくる。只々感服。

    全体的に冗談っぽいくだけた文章で、最後は宝を探してインディー・ジョーンズしようという文章。おふざけで終わるのかなと思ったら、近藤先生がたった一人でチューリング理論を立証していく研究史。よもや、これが本題で、ここまでは壮大なる序章ではあるまいか。
    メンデルは答えが判って実験をしたはずというコラムもこの隠れ実験の伏線だったようだ。近藤先生。ふざけてばかりだけど、その実はかなりの手練れと拝察する。

    自然の摂理を表すと云われるフラクタル幾何学の話は出てこないかなと思いつつ読み進めると、アブラナ科ロマネスコのフラクタル構造がチラッと出てくる。だけど、この本読んでるとフラクタルは生物学的に成立しないと思い知らされた。フラクタルっぽく見える現象も部分が全体を写像し続けているんじゃなくて、全体にも部分にも同じ原理が働いているだけ。近藤先生が明かにしたような生物が螺旋を生み出していく営みなんて、フラクタル理論にはあり得ないよ。

    また良い本に会うために、近藤先生の名前は忘れないでいよう。

  • 語呂のよいタイトルである。
    しかし意味のわからないタイトルとも言える。
    なんだこの無闇と画数の多い漢字の羅列と「ふぃぼなっち」って・・・?
    そう思う人も機会があったら手に取ってみてほしい。
    本書は、とても楽しい、数理と生物の本だ。

    生物の形はどうやってきまり、模様はどのようにしてできるのだろうか?というのがこの本の主題である。
    おとうさん、おかあさん、シマウマはなぜ縞があるか?とお子さんに聞かれて困ったことはありませんか?
    通常、シマウマの模様はサバンナで迷彩色の役目をする、と言われる。でもそれって本当だろうか? 鮮明な白黒は、実際にサバンナで目にすると、相当目立つという証言もある。
    ではなぜ、シマウマはシマシマなのか? この本を読めば、答えがわかる、とまでは言わないが、少なくとも1つの仮説が提示され、その仮説はかなり説得力がある。

    全般にくだけた口調だが(そしてこれが鼻につく人は多分、ある程度いるだろうな、というのが少々心配なのだが)、解説される内容はかなり高度だ。高度だけれどもわかりやすいのが本書の美点である。

    シマウマの縞は、本書タイトルの最初の「波紋」の一例である。生物の模様にある、縞も、斑点も、できる原理は同じであり、簡単にいえば、活性化因子と抑制因子のせめぎ合いである。元々これを考え出したのは、人工頭脳の父と言われるチューリングであり、この現象は、彼の名を冠して「チューリング波」と呼ばれる。長年実在が疑問視されてきたチューリング波の働きを、タテジマキンチャクダイで示したのが本書の著者なのだ(Science 10 February 2012: Vol. 335 no. 6069 p. 677)。

    「螺旋」の例は、貝やアンモナイトの渦巻き、亀の甲羅、そして細胞性粘菌の移動体。著者の手に掛かると、一見まったく違うものが、同じ原理が少しだけ形を変えたものだということが見えてくる。
    異常巻アンモナイトの話は非常におもしろい。

    「フィボナッチ」は、フィボナッチ数列(1つ前と2つ前の数字を足していく数列:例えば1、1、2、3、5、8、13・・・)である。植物の葉の付き方やらヒマワリのタネの並び方など、実は自然界に多いといわれる。
    黄金比とも深い関わりがあるこの数列は、いささか神秘的な感じがするところから、フィボナッチ投資やらフィボナッチ馬券学(「学」・・・?)やら、怪しげなものまで存在する。さて、その真実は・・・?

    挿入されるコラムも、チューリングが悲劇の天才であったことや、偉大だったのになかなか注目されなかったメンデルの業績の秘密など、これまでとは違う視点が提示されて興味深い。
    著者が数理生物学にたどり着くまでの若き日の武勇伝もまた楽しい。

    こんなに笑えるのにこんなに感心させられる生物の本はそうそうない。
    借りて読んだが、買おうと思っている。


    http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/skondo/
    著者研究室HP
    本書に関連するページもあり、おもしろいです。

    *個人的には(いくつか漫画ネタがわからなかったことを除き)、とてもツボにはまった。万人に5つ星の本ではないと思うが、これに5つ星をつけずどうするか!?というくらいおもしろかった。「自然が創り出す美しいパターン」三部作にもう一度トライしようかと思うほど。
    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』を楽しく読めた人も、『かたち: 自然が創り出す美しいパターン』にいまいち挫折してしまった人も(どちらも自分だったり(^^;))、お薦めです。

    • bokemaruさん
      ぽんきちさん、こんにちは。
      うわっ、これめちゃくちゃ面白そうです!
      ご紹介のHPもちょっと覗いてみましたが、ここもおもしろい!
      数学は...
      ぽんきちさん、こんにちは。
      うわっ、これめちゃくちゃ面白そうです!
      ご紹介のHPもちょっと覗いてみましたが、ここもおもしろい!
      数学はからきし駄目ですが、フィボナッチ数列とか聞くとどうも反応してしまいます。
      読んでみます~。
      2014/01/16
    • ぽんきちさん
      bokemaruさん

      ありがとうございます。
      軽快な説明で楽しい1冊です(^^)。
      お気に召しますように☆
      bokemaruさん

      ありがとうございます。
      軽快な説明で楽しい1冊です(^^)。
      お気に召しますように☆
      2014/01/16
  • いつも本棚を参考にさせていただいている方のレビューで俄然興味を持った本書。
    う~む、タイトルからしていかにも私の好きそうな分野!いやいや、理系は全く駄目なのだけれど(汗)いわゆる「非線形科学」というやつが大好き。そこへ、またまた知識不足なくせに興味大いにアリの生命科学が絡んでくるとなれば、これは読まずしてどうする!と期待に胸ふくらませて読んだ。

    期待にたがわず、おお~なるほど、いや~面白い!というワクワクの連続。
    らせんのなぞ解き(ここでもまた例の粘菌が登場!いやはや、あっちでもこっちでも取り上げられる粘菌てやっぱりすごいな~と変なところに感心)、亀の甲羅の成長、シマウマなど皮膚模様のある生物のその模様の形成の仕組み(Turing波)、フィボナッチ数についてなどなど、どれもこれも面白くて面白くて一気に読了。

    少し長めの4つのコラムも、生物学に絶大な影響を与えたメンデルの秘密、著者の専門分野であるチューリング波を提唱したチューリングについて、ジンクピリチオン効果(メリットシャンプーといえばコレ!何のことかよくわかってなかったよね~、ジンクピリチオン配合って)、みのもんたと科学の客観性など、非常に興味深いネタ満載で、著者自身も気にかけていたやや過剰とも思える(!)軽いノリの文章も、無視できるくらい楽しめた。

    ただ何しろ数学がダメなので、途中理論の説明のために若干数学的内容が数式を伴って出てきて、どうにもそのあたり私の数学力では少々手こずったのだけれど。
    でもそれを差し引いても、非常に楽しく、わくわくと楽しみながら読める本。
    数学が苦手でも生き物好きならぜひお試しを。

    • ぽんきちさん
      わぁ、お楽しみになれたようでよかったです(^^)。
      続編も出てほしいですね♪
      わぁ、お楽しみになれたようでよかったです(^^)。
      続編も出てほしいですね♪
      2014/01/30
    • bokemaruさん
      ぽんきちさん、コメントありがとうございます。
      これ本当に面白かったです!
      ぽんきちさんのおかげで、また楽しい本に出会えました(^o^)。...
      ぽんきちさん、コメントありがとうございます。
      これ本当に面白かったです!
      ぽんきちさんのおかげで、また楽しい本に出会えました(^o^)。
      続編!!いいですね~、出てほしいなあ。
      2014/01/30
  • 自然界の繰り返しパターンが、数学で解かれていくその発見過程がとても面白い。こんな所で天才チューリングに出会えるとは思いませんでした。ただ私はこの著者のユーモアセンスが鼻について邪魔で、半分以上読み飛ばしてしまいました。余計な飾りを捨てて、シンプルに読みたかった。

  • 前から興味のあった数理生物の分野の本。
    数学がそれほど得意ではない私でもスッと読むことができた。
    ところどころに挟まっているコラムもたいへん興味深く、もっと大学時代本腰入れて研究しておくべきだったなと後悔。
    チューニング波などおそらく自分ひとりでは勉強しないだろう分野なのでもう少し自分でも勉強してみようと思った。
    まだまだ知識が足りない!!!

  • 「魚の模様は動く?」「シマウマが縞模様である本当の理由って?」
    生物の形や模様が決まる神秘のメカニズムを解き明かす!
    直観的でわかりやすい、と好評だった雑誌連載に書き下ろしを収録して単行本化!
    著者ならではのユーモア満載の語り口で初学者でもスラスラ読める1冊。
    「Amazon内容紹介」より抜粋

    ブクログでフォローさせていただいている方のレビューを見て読んでみました.正解.興奮.
    生物の神秘を鮮やかに面白く説き明かしてくれる.少し数式が出てくるけど、まぁ、分からなくても大丈夫.その意味するところはきちんとことばで説明してある.
    知らなかったよ、Turing.

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:463.7||K
    資料ID:95140098

  • 学生相手の講義で鍛えたジョークを連発しつつの楽しい一冊。恥ずかしながら数理生物学という分野を知らず、読みながら「へえぇぇこんな研究分野があるのかー!」と驚嘆の連続だった。
    内容については概ね他のレビューや書籍情報にある通り。そして何人かが触れているけれど8章、フィボナッチ数と植物の葉の付き方などについての内容はいささか難しかった(最初から一気に読み進めるとこの辺りでだいたい集中力も切れる)
    それ以外の部分は、理系の素養が多少あれば、じっくり読めば充分理解きるだろう。普段まったく科学関係の説明文に接していない人はちょっと頑張らないといけないかもしれないが…。

    メンデルの論文が発表当時無視された理由を、実際に論文(日本語訳)を読んで考察しているコラムが面白かった。

    最後の9・10章、ご本人のこれまでの足跡を振り返りつつ研究・実験の流れと面白さや可能性について記し後進を励ます部分は恐らく学生向けのメッセージだろうが、年齢を問わず科学好きをわくわくさせてくれる。

  • 同期現象的なやつか!
    パターン、とても興味があるのでどうにかしたいぜ!

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プロフィール

大阪大学大学院 生命機能研究科 教授

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