檸檬 (まんがで読破 MD116)

著者 :
  • イースト・プレス
3.09
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本棚登録 : 97
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781608495

作品紹介・あらすじ

不吉な塊が心を終始おさえつけていた-。なぜ人間は見すぼらしく壊れたものに魅きつけられるのか?梶井基次郎は生涯死と隣合わせに生きながら、表題の『檸檬』をはじめ『桜の樹の下には』『冬の蠅』などで、そんな人間の心の深淵を詩情豊かに表現し続けた-。「近代日本文学の古典」とも言われる小品群をあわせて漫画化。

感想・レビュー・書評

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  • なんとも言えない独特の暗さを感じさせる作品。
    著者はいったい何が伝えたかったのか、というような読後の解釈は、読み手でかなり違うだろうなと想像できる。シンプルにおもしろいとは言えないが、読み解いていくことで自分なりな解釈を愉しむようなスルメみたいな作品。

  • レビュー省略

  • まんがで読破を読破するシリーズ。
    文学史で聞いたことがある程度だった「檸檬」ですが、小品集なんですね。
    病に苦しむ芸術家の生死感。暗いですね。

  • 【きっかけ】
    2018年9月23日(日)猫町倶楽部 課題本(角川・『檸檬』)関連。

    「檸檬」「泥濘」「Kの昇天」「桜の樹の下には」「冬の蠅」「ある崖上の感情」を漫画化。プロローグとエピローグも。

    《読書クイズ》
    1「檸檬」において、「あんなに好きだった丸善」が私にとって「突然重苦しい場所」になったのはどうしてか。そのきっかけになった出来事。(もとからの心情ではないことに注意)。

    2「泥濘」おいて、ケイキチは、執筆するのを億劫に感じる自分を、あるもののある状態にたとえている。それは何か。

    3「Kの昇天」において、作中で引用されていた作家と作品を三つあげよ。

    4「桜の樹の下には」において、作者は何を見て、「墓場をあばいて屍体を愉しむ変質者のような残忍な喜び」を感じたのか。

    5「冬の蠅」において、作者は久しぶりに帰った際に、冬の蠅が死んでいたのを見て、どんなことを感じたか。

    6「ある崖下の感情」において、話し手の生島は、懸命に崖上から他人の家の窓を覗き見していると、ある感情が湧いてくる。それはどんな感情で、生島をどうさせるか。

  • 美しいだけのものなどいらない

    不吉な塊が心を終始おさえつけていたーー。
    なぜ人間は見すぼらしく壊れたものに魅きつけられるのか?
    梶井基次郎は生涯死と隣合わせに生きながら、表題の『檸檬』をはじめ『桜の樹の下には』『冬の蝿』などで、そんな人間の心の深淵を詩情豊かに表現し続けたーー。
    「近代日本文学の古典」とも言われる小品群をあわせて漫画化。


    <あらすじ>

    「私」は体の不調なとき、美しいものに心を惹かれたり、ちょっとした贅沢をしてみたくなる。そんなときは、丸善に行って、香水や煙管や小刀や、いろいろ小一時間もかけて見たあげく、一番高い鉛筆を一本だけ買ってみたりするのだが、最近ではその丸善に行くのも気が重く、避けるようになっていた。
    ある日、檸檬を買った。ちょっと不思議な感じの八百屋で買ったその檸檬は、特にめずらしいものではないのだが、単純な色彩、寸詰まりな紡錘型、ひやりとした触感や香りなどが、「私」の心を弾ませた。
    「私」は檸檬を眺めながら町を歩き、気付くと丸善の前にいた。
    普段は気が重くて避けていた丸善だったが、檸檬のおかげで気分が良く、思い切って入ってみることにした。
    ところがやはり、入った途端に気が重くなった。
    その気の重さを紛らわそうと、片っ端から本を取り出しては出しっぱなしにして、また次の本を引っ張り出して、と繰り返した。しかし、いっこうに気鬱が晴れない。
    そこでふと、「私」は一計を案じた。
    棚から取り出した本を山積みにして、その一番上に檸檬を置いて丸善を出たのである。
    その檸檬が爆発したりしたら面白いのに。そしたら、あの気鬱な丸善も木っ端微塵になるのにな。

  • 爆弾として檸檬を置いていったという話は、こんな話だったのか。

  • 短編小説集「檸檬」の中から、幾つかの短編を漫画にした漫画短編集のような構成。う〜ん、難しい。私小説でもあり、芸術を追求していた梶井基次郎。闘病生活で陰鬱さが出ているなか、見せかけの美しさは本当の芸術ではなく、それと対になる闇の部分があってこそ芸術であり、そういう部分に魅かれたのでは感じた。そして、美とは人間の身近にあるもの全てにあるのだ。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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