デザイン室

著者 :
  • イースト・プレス
4.29
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本棚登録 : 210
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781609515

作品紹介・あらすじ

30年間で10,000冊。人気ブックデザイナーが明かす、本づくりの舞台裏、驚きの制作秘話。

感想・レビュー・書評

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  • ブックデザイナーの鈴木成一氏がこれまでに手掛けた装丁について振り返りながら装丁という仕事について語った本。

    先日読んだ『だれも死なない日』という本の装丁が印象的で、ジャケ借り(図書館で借りたので)したのだが、この装丁を手掛けたのが鈴木成一さんだった。本書にはさまざまな装丁が紹介されているが、書店で見かけた本が何冊もあって、幅広く手掛けておられる方なんだな、と驚いた。

    装丁は「作品」ではなく、あくまでも原稿が少しでも多くの人の手に取ってもらえるよう手を貸すものなのだと鈴木氏は言う。ある意味割り切って締め切りに間に合うように作る、という意識なのだそうだが、本書の端々には、その中でもゆずれない自分の想いとか、こだわりが見え隠れする。
    私は自分のデザインセンスに自信がないので、他の人にああしろ、こうしろ、と言われたら、はいはい、とその通りに直してしまうのだが、時間の制限を受けながらも、1ミリの余白、少しの色の違いにもこだわらないとこうした仕事はできないのだなあ、と改めて尊敬の念を持った。

    本書で紹介されていた中で私の好きな装丁は、よしもとばななさんの『ばななブレイク』というコラム集と、角田光代さんの『今日もごちそうさまでした』というエッセイの装丁である。
    『ばななブレイク』は、「光」を撮影した写真をコラージュしたもので、微妙な光加減によりさまざまな色が表れていて、まるで本自体が宝石のように美しい。
    『今日もごちそうさまでした』は、紺色の野菜や魚などのシルエットに点描でラインを入れたものをクリーム色の紙に配置したもので、シンプルながら楽しい装丁になっている。

    読み終えた後改めて本書の装丁をじっくりと眺めてみる。クリーム色の背景に白い縁取り、中央にちょっと懐かしさを感じさせる明朝体で「鈴木成一デザイン室」(実際は『デザイン室』がタイトルで、『鈴木成一』は著者名らしい)とタイトルがうたれ、最初と最後の文字は少しぼやけている。
    何物にもとらわれない客観的でまっさらの自分でいたいという思い、自分の仕事に対する誇り、けれど自信を失ったり迷ったりもする時もある、そんな今の自分を表現したのかな、と推測。

    • たなか・まさん
      装丁家といえば矢作多聞さん『本とはたらく』がおすすめです。
      装丁家といえば矢作多聞さん『本とはたらく』がおすすめです。
      2023/03/11
  • 鈴木成一さんが装丁を手がけた本について語る本の二冊目。
    とっても綺麗な本。
    本屋さんで手に取った時はページをめくるのも恐る恐るという感じだった。
    パラパラと書影を見るだけでも楽しい。
    文章を読むともっと楽しい。「今だから言えるけど」、「ここだけの話だけど」、で始まる気安い内緒話のような雰囲気の文章。
    もちろん全て装丁や本の話。
    面白くないわけがない。

    本の説明を読んでいるとその本が読みたくなってくるのもこの手の本によくあるパターン。
    今回もまんまと読みたい本が増殖しました。

  • いいなと思う本の7~8割、鈴木成一デザインなのでずっと読みたかった。
    文庫本が収納にも持ち歩きにも優れているのは実感していながら、単行本はカバー装丁から本文のレイアウトまで魅力的すぎる。ジャケ買いならぬ表紙買いをしそうになったことも何度か……ていうか、デザインを眺めに単行本コーナーへ立ち寄ってる節もある。
    紹介している数は多いけどどれも1~2ページと簡潔にまとまっているので非常に読みやすい(鈴木氏は文章も上手いのかよ…)。スカイクロラの透明カバーがコックピットを模しているのは気付かなかったな。直接印刷されていて、透明カバーが掛かっているの。あれがよくて、単行本でそろえたシリーズ。

    で、個人的な話、私はカバーなり遊び紙なりどこか透けている装丁が好きなんだと分かった。鈴木成一さんを知ったきっかけのアンソロジー小説本「I LOVE YOU」は本当に惚れ惚れするデザインなので手に取ってみてほしい。

  • 最近、図書館の本ばかりを読んでいるけれど、この本を読むとそれがすごくもったいないような気がしてくる。
    べったりと貼り付けられた図書館の本は紙質を感じたり、カバーの下に隠れた絵を見つけることができないから。

  • 毎日山ほど眺めている装丁。
    一つ一つの装丁が“作品“である事を再認識した。
    もちろん装丁を含めた本自体が“作品“なんだけど。
    この本に収められているたくさんの装丁を、眺めているだけでもすごく楽しい。「どんな物語が詰まっているんかなぁ」と考えると、もぅ堪らなくなってくる。
    素敵な装丁を眺め、製作話を楽しみ、且つ本のガイドブックにもなってしまう。
    楽しすぎる。

  • 2010年刊「装丁を語る。」の時は、「これまで手がけた約8000冊」
    此の本では「30年間に手がけた装丁10,000冊。」凄いネ!

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    「人気ブックデザイナーが明かす、本づくりの舞台裏。

    30年間に手がけた装丁10,000冊。
    読者を魅了するデザインはいかに発想され、作られていくのか?
    その本の内容にもっともふさわしい「かたち」を探り続ける、鈴木成一デザイン室、驚きの制作秘話。

    「この本では、初期に手掛けたものから最近のものまで、約150冊をランダムに振り返りながら、制作の舞台裏やデザインについて思うこと、日ごろ言いたくても言えないストレス(笑)などについて、お話ししていこうと思います。」――まえがき「手に取られる物を作る」より―― 」

  • あの装丁も鈴木さんが!?本屋で本に出会う時にはもう、正座で読むか、寝転がって読むか決めている。最後まで読み終わって、表紙をひとなで。この表紙モチーフはこういう意味だったかと回想することもしばしば。だから、装丁家の回顧録は面白い

  • 装丁の思考のあとがたり。
    本という媒体の持つ力が伝わる。
    本の印象の具現化と捉えると本を手に取るだけでも今後楽しくなる。

  • 本の本
    デザイン

  • 装丁家の鈴木成一さんによる自身のデザインの解説など。面白かった〜。装丁は、物理的な本でしか味わえない味があるもので、時に本との出会いを導いてくれるものだけど、じきになくなってしまうものなんだろうなあ……レコードみたいな扱いはさみしい。私が生きている間は残っているといいけれど……。小説だけではない本の紹介もあり、いろいろな本に興味がわいてきます。

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