ボーイミーツガールの極端なもの

  • イースト・プレス
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本棚登録 : 860
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781612935

作品紹介・あらすじ

"恋愛は苦手だけど、恋愛小説は好き"なあなたに贈る、心に柔らかい刺を残す連作短編小説集。人気多肉植物店「叢」のサボテン×山崎ナオコーラのラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • ショートストーリーの各短編が、最後に繋がっていくという構成で、わかりやすい表現で書かれており、グイグイ読めました。
    ストーリーを繋げるアイテムが「サボテン」というのも良かったです。
    色々な形の恋が描かれています。
    ぜひぜひ読んでみてください

  • 多肉植物が好きだから、検索して引っ掛かったので読んでみた。
    ナオコーラさんの小説も好きだし。
    多肉といってもサボテン。しかも結構ごついというか不思議な形。
    そんなサボテンを手にする人たちのお話。短編集だけど、さりげなく繋がってるような。
    とっても読みやすいし、なんか心地良い。

  • 読み進めていくうちに登場人物のつながりが見えてくる連続短編小説集。

    ナオコーラさんの小説には、徹底的にイヤなことっていうのが出てこなくて、家族も大体協力的でそこが好きなんだけど、「恋人は松田聖子」に出てくるお母さんが珍しく結構キツくて、勝手にショックを受けた。
    のちに、発言した本人もずっと悔やんでいたことがわかるのだけど、いじめられて学校にいけないことを打ち明けた息子に「ごめんね。もっと強い子に育てなければならなかったのに、私が子育てを失敗したのね」と泣く母親は、ヤバすぎる。
    言葉は、あの時はごめんね、で済まない今日凶器だ。

    それ以外は、結構楽しく読めたし、天国の描写もあったりして、本当に枠にとらわれない自由な小説を書く人だな、と思って面白かった。
    お気に入りは「誰でにでもかんむりはある」。
    サボテンが気になる。

  • 山崎ナオコーラさんのいい感じに力の抜けた小説が好きで、タイトルからして恋愛ものなのかしらと思いながら読み始めたのだけど、なんと主軸(?)にあるのがサボテン!
    全9話の短篇集で、すべてのお話に1つずつ違う種類のサボテンが登場する。親切に写真と解説付きで。
    これだけ説明するとなんじゃそりゃ?って感じだろうけど、なんの違和感もなくサボテンたちは登場してくる。
    それぞれお話の登場人物たちは、みな同じサイトに関連したところからサボテンを購入する。
    1〜3話、4〜6話、7〜9話がそれぞれ繋がっていて同じ人物で構成されているのだけど、途中でそれらをまたいだ相関図を感じさせる描写が出てきて、エピローグにてすべてに合点がいくというつくりが心憎い。ミステリじゃないのに謎が解けた!みたいな気分になる。

    ドラマティックではなくどちらかというと淡々と進むのだけど、人には様々な生き方があるのだな、としみじみ思わされる。
    恋を知らないままお婆さんになった人、40代後半で劇的な恋に落ちて再婚する人、いじめが原因で引きこもりになったがネットに活路を見出す人、友人に秘めた恋心を持つ同性愛者、などなど。
    生きている人間全員にドラマがある、というのは常日頃から思うのだけど、そういうことを描いている作品はすごく好きだ。ジェットコースターのような物語も悪くないけれど、淡々としていることに読み応えを感じる場合もある。

    サボテンって育てやすいイメージがあるけど意外と難しい植物だとよく聞く。日に当てちゃダメでじめじめした場所を好む種もあるとか。
    砂漠でも強く生きる的なイメージだけで接して私もダメにしてしまったことがあるので、以来サボテンに近づくのはやめることにしたのだけど。笑
    色んな種類があるのだなぁと物語とは関係ない部分で感心しつつ、よく読むときちんと物語と繋がった要素があるところもまた心憎い。

  • “恋愛は苦手だけど、恋愛小説は好き”なあなたに贈る心に柔らかい棘を残す連作短編小説集

    っていう帯がずるい。山崎ナオコーラだから面白くないわけないのに、こんな帯つけたら読まずにはいられない。

  • ボーイミーツガールの連作短編集。
    ナオコーラさんの作品はどこか不器用な登場人物の雰囲気が伝わってくる。読んでいてとても心地が良い。ボーイミーツガールなんだけど、こんな都合のいいこと発生しないんじゃない?と思う人には駄目かもしれない。私は「起こるときは起こるよ」と思っているので抵抗なく読めた。かわいくて前向きになるお話が多かったと思う。作品に出てくるサボテンも作中に写真と説明があってよかった

  • サボテンとの出会いと人生の転機。
    恋愛小説というよりは迷子になった人が自分にとっての大切なものに気付くあたたかくて勇気の出る物語といった感じ。

    サボテンは生まれ持った性質だけではなく生きた過程が自身の形に反映されるところが人生を表しているようで面白いと思った。

  • さらっと書かれているものの現代の問題が上手に組み込まれている。ただの恋愛小説かなぁと思って読んだら期待を良い意味で裏切られた。流石ナオコーラ先生だ!

  • サボテンをテーマに描かれる連続短編集。

    本当にどの作品も「極端」で、読み終えて本の題名見たらすごくしっくりきた。

    個性的で極端。
    だけど、なんだろう…優しい。

  • 多肉植物の佇まいからヒントを得て書かれた短編作品と言う感じでしょうか。多肉植物の写真と解説を丁寧に交えつつ、人間関係についてや恋愛する自由さや距離感など。ゆらゆらした感じがナオコーラさんらしいなぁ、と。短編ですが繋がっているので読みやすく、ナオコーラさんの作品の中で一番良いと思いました。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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