ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅
- イースト・プレス (2017年9月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781615820
作品紹介・あらすじ
絶対に行っておきたい悲劇の現場
井出明さん(追手門学院大学教授)、角田光代さん(作家)、下川裕治さん(旅行作家)のインタビューを掲載
■押さえておきたい「歴史の傷痕」を網羅!
アウシュヴィッツ強制収容所、チェルノブイリ原子力発電所、グラウンド・ゼロ、福島第一原発など、世界を震撼させた悲劇の舞台への「巡礼の旅」が今、人気を集めている。また、数々のジャーナリストや評論家なども現地を訪れ、その論考にも注目が集まっている。実際に現地を訪れると、悲しみや嘆き、狂気、ユーモア、強さなど、さまざまな感情が入り交じる空気に触れることができる。不幸な歴史の記憶を後世に伝えるために訪れておきたい、世界と日本の81カ所を網羅した入門書。
【目次】
インタビュー 井出 明(追手門学院大学教授)
Part1 日本篇(福島/三陸海岸北部/連合赤軍山岳ベース/御巣鷹の尾根/長島愛生園/豊後森機関庫/三毛別/八甲田山/三宅島/クブラバリ/陸軍丹賀砲台園地/原爆ドーム、平和記念公園/アブチラガマ/大久野島/伊江島/旧海軍司令部壕/その他16カ所)
Part2 欧米篇(ベルリンの壁/チェルノブイリ、プリピャチ/アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所/ソロヴェツキー修道院/ベーリッツ・サナトリウム/マンザナ日系人強制収容所跡/北キプロス・トルコ共和国/ポトシ銀山/その他16カ所)
インタビュー 角田光代(作家)
Part3 アジア・アフリカ篇(タンザニア/ムランビ虐殺記念館/キリング・フィールド/ヤド・ヴァシェム/チッタゴン/チベット人難民コロニー/その他16カ所)
インタビュー 下川裕治(旅行作家)
感想・レビュー・書評
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ブクログのおすすめで知った本。
教科書では事実として載っていた内容でも現地に足を運んで方々が取材して書くと、本当に込み上げてくるものがあります。
日本人はどちらかというと「臭い物には蓋をする」傾向があると思います。今のネット社会ではいくらでも情報のアクセスが可能なので、だからこそ未来へ繋げていくために正確な情報を伝えていく必要があると思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大変興味深く読んだ
アウシュビッツ、イスラエル、グラウンドゼロ等、死ぬまでに一度は行ってみたいが、共感性を発動してかなりしんどい状態になってしまわないか心配
ケア職でもそうだと思うが、自分と切り離して考える、感じることが大事だと思う
また、「日本人だから」「○○人だから」といったアイデンティティが暴走しがちだったり、人種や国籍、考え方が自分と異なる人々への偏見があるような人には向いていないのだろうなと思った
どの人種にも、国家にも、暗い歴史がある
罪を犯し、同時に悲劇を被っている
歴史をまずは知ること、フラットな目線で見ること
その行為自体が戦争や差別をなくし、ひいては世界の安定や平和につながるのだと思う -
そもそもダークツーリズムというもの自体が、人間の暗部、悲劇にわざわざスポットライトを当てる悪趣味なものだとして敬遠される見方が日本にはまだありますが、欧米では近年盛んに研究されているんですね。これはまず欧米人の根底にある考え方、キリスト教の原罪「人間はそもそも罪深きもの」があるのではないかと、そして反対に日本ではルーズベネディクトが「菊と刀」で示したように「恥の文化」があるからこそ流行らないのではないか、と考えました。
個人としてはこういう人間の負の遺産というべきものは文化的価値があると思いますので、いずれ機会があればこの本で紹介されていたいくつかには行ってみたいと思います。 -
ダークツーリズムという言葉を初めて知った。
歴史を振り返り違う視点から影の部分をみる。
そうすることにより新たな未来に進むことができる。
暗い過去がある場所には行きたくないと思っていた。しかし、実際に行ってみて感じることが大切なのかもしれない。 -
負の遺産って非常に大事なんだよね。反省を見ることだから。なのに一見ネガティブだから、ポジティブ信仰者から批判される。そのあたりがもったいないと感じつつ読んだ。
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旅行先で一切楽しい気分にならない場所に行く人の気持ちがよく分からなかったが、負の歴史を記憶に残すということはより良く生きるための覚悟の表れかもしれない。
特に「虐殺」の項目は読むだけでも気合が要る。あとは、片岡恭子さんの文がやたら頭に残る。「黄金の玉座に座る乞食」ボリビアとか、「インドにはマサラ味のものしかない」とか…。 -
・連合赤軍のベース(栃木)、日本航空の墜落地(群馬の尾根)、ハンセン病患者隔離施設(岡山)、毒ガス工場(広島)…
・キリング・フィールドだけは行ったけど、確かにこういう世界線があるんだ、ということを体得する意味はあったな…
・ツーリズムというポップな言葉にはしてるけど、意味はありそう。
・子連れでひめゆりの塔行ったときも割と説明大変だったな… -