視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話

  • イースト・プレス
4.05
  • (37)
  • (50)
  • (17)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 772
感想 : 54
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781620947

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 思考OSのアップデート、物事を多面的に捉える視点を養う。

    ◯思考OSの変遷
    ・紀元前6〜4世紀(鉄の利用による農業の余剰生産)
    →「生きるとは何か」「人間とは何か」の問い
    ・4世紀(キリスト教)
    →「神が世界や人間をつくった」「聖書に書いてあることが正しい」
    ・18世紀後半(宗教革命→ルネサンス→フランス革命)
    →「国家のために人民が頑張るOS」
    ・二度の世界大戦
    →人権OS
    ・現在
    →誰もが世界に対して好奇心を持って生きてい良い、人類初の時代、インターネットの発達により誰もが発信できる時代

    ◯物理学
    ・学問による「理解」の違い
     数学:分類できた
     物理学:予測できた
     工学:実現できた
     社会学:共感できた?

    ・ビジネスモデル、因果関係の予測への応用
    →慣習、規制等は予測できない、知識が必要

    ・高温超伝導による抵抗ゼロの電線
    ・トポロジカル物質(異常ネルンスト効果)による熱の電気変換

    ◯文化人類学
    ・参与観察とエスノグラフィー
    ・自らの社会を常識とせず異なる系譜を理解。一歩引いた視点で社会の構造を観察

    ◯仏教
    ・唯識:あらゆるものは、個人の認識によってのみ存在している
    ・中観(「空」の概念):可能性があるから現前する(色即是空)、現前しているからこそ可能性を類推できる(空即是空)
    →形而下だけでなく形而上の世界を意識。身体性による理解
    →「私」とは「『自分以外のあらゆるもの』ではないもの」「他者が変化すれば自分も変化する」
    →利他的に動くことを前提にすれば、自分が幸せになる

    ◯歴史学
    ・限られたファクトからいかに情報を引き出すか

    ◯宗教学(キリスト教)
    ・宗教的な概念が起点となる人間の理性

    ◯教育学(教育政策)
    ・卒近代

    ◯脳科学
    ・自由エネルギー原理:外の環境から得られる情報と、脳が推論することの誤差が最小になるように、脳が働くことで、見えること、動作、感情全てが説明可能

  • 広く学ぶということの重要性もそうだが、それらをどう関連づけているかの思考方法が垣間見えて非常に良い本だった。

  •  現代は「個人が行き方を主体的に選ばなければならない、史上始めての時代」であるから、教養(=リベラルアーツ)が大切であり、ものごとを「どこから見るか」がリベラルアーツと定義する。本書は、7つの学問分野の研究者・専門家との対談を通して、様々な世界の見方を提供する。

     印象に残ったのは、キリスト教における神と人間の関係である。キリスト教では、絶対的な神がいるからこそ、それ以外の人は平等と考え、これが人格の独立、自尊心の源泉となる。対して、一神教の神様がいない日本では、時と場合に応じて人に頭を下げる必要があるとのこと。まさしく私にとっての新しい視点であった。

     本書を読み終えて、「複数の視点を自己の中に留めておくにはどうしたら良いか?」という疑問が生じた。自分の意見や価値観といった言葉を考える時に、複数の視点を一つにまとめようとして、思考がぐちゃぐちゃになる経験がしばしばあったからである。本書を振り返えると、学問分野によって、目的や前提条件・仮定が異なることに気づいた。だからこそ、ケース・バイ・ケースで、視点を使い分ける、あるいは、移動させることが大切であると思う。

  • リベラルアーツ 古代ギリシャ・ローマ 文法,修辞学,弁証法,算術,幾何学,天文学,音楽(自由7科)

    本書中の紹介 物理学,文化人類学,仏教学,歴史学,宗教学,教育学,脳科学

    教養がある→視点が多数ある
    思考OS→時代ごとに社会のベースとなる考え方 過去,キリスト教OS→国家のために人民頑張るOS→命と人権OS→働き方改革OS

    アップデートの感覚が短くなっている・コミュニケーション技術の発展のため ネット

    出口治明さん「人間の学びには人,本,旅」・好奇心が大切

    原子や電子のように物質を構成する粒→粒子 超電導物質→抵抗ゼロで発電所から送電

    欧米人から見た日本の会議→承諾の場,議論しない

    ジリアン・テットGillian Tett1967年英国7月生まれ/サイロ効果(Silo effect)→牧場のサイロの中に入ってしまうと外が見えず、その中が世界のすべてであるかのような思考や行動をしてしまい、しばしば大きな間違いをしてしまうこと 専門家が陥る罠

    参与観察→現地に2年間入り研究 途中で心が折れる研究者/学者に戻るのがバカらしく感じて放浪する研究者
    会議を文化人類学的に観察 PCR検査の研究者を観察

    実験寺院・寶幢寺 21世紀にフィットしたお寺
    三蔵法師(固有名詞ではなく尊称・3つの経典を暗記し修めた人)
    握手で素粒子が交換される→どこまでが自分なのかの明確な境界はない

    無限分岐する世界 形而上・形而下の世界☆形而下学は実体のない原理を研究の対象とする形而上学の反対であって実体のあるものを対象とする応用科学の学問

    ゲーム理論→無限繰り返しならば,相手の利益も考えることが最適解 人生は無限繰り返しゲーム

    吾妻鏡(北條氏をヨイショ),平家物語(聴衆のために話を盛ってサービス)
    歴史学→想像力を膨らまして解釈
    戦前の皇国史観から反動 また揺り戻しもありえる

    ユダヤ教 安息日には一切の労働はいけない→羊飼いは休めない・キリスト教では必要な仕事

    ユダヤ教,キリスト教,イスラム教 一神教 全知全能の神ヤハウェ☆いつかバチカンで天井画見たい
    キリスト教で命は神が与えたもの→自殺は罪
    教会で結婚式を挙げたいというクリスチャン増・神が結婚させた→離婚できない
    正しい結婚から生まれた人のみ相続権・教会が証明→相続のために教会の言うことを聞く
    聖書を通じて神と直接つながるプロテスタント

    一神教は神に頭を下げる→人には下げない・奴隷・庶民から指示

    国際人権規約13条2項bとc 高校,大学の無償化☆大阪府で無償化したい吉村知事ニュース・無償化は世界のトレンド?都合が悪い人がいるから報道しないのか?/ネット記事で政府は条約英文を都合の良いように訳しているとの指摘あり
    ☆社会権規約13条2(b)及び(c)
    第13条2
    (b)種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は,すべての適当な方法により,特に,無償教育の漸進的な導入により,一般的に利用可能であり,かつ,すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
    (c)高等教育は,すべての適当な方法により,特に,無償教育の漸進的な導入により,能力に応じ,すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

    マークシート試験の問題点→ミスを見つける力を養っている
    1990年慶応大学のSFC・論述試験・慶応受験生は4万人 早稲田10万人→早稲田に働きかけて論述試験導入・文系でも入試で数学

  • 簡単に、学問ごとの知見、最新の知見などが紹介され、それぞれの学問で、それぞれのものの見方、視点があるところが面白い。

  • ポッドキャストで聞いていたので、目新しい情報はないのだが、文章で読むと、サラッと流していたところなどで、新たな気づきが得られた。

  • 「一つの物事を色んな視点からみる」は、まさにこのこと。学問によって、色んな視点があるんだな。深井さんの発想や質問力は、やはり凄い!
    個人的には、本能寺の変 四国説が面白かった。

  • 本のタイトルにもあるようにいろんな視点からリベラルアーツが語られているのが面白かった。
    例え話がどれも分かりやすかった。
    ポッドキャストを聞いた章の方が理解しやすかったので、聞いていない回についても復習がてら聞いてみようと思う。

    コミュニティースクール、放課後、デイサービス、子供向け事業に興味がわいた。

    「どちらも知っていて、時と場合によってどちらのスタンスも取れるようにすることが、リベラルアーツ的な態度ではないでしょうか」と言う言葉があり、普段から自己防衛や周囲との関わり合いの中でこのスタンスが取れるよう情報を仕入れているのでリベラルアーツ的な考えでもこのスタンスを取ることができればいいと思う。

  • 背ラベル:002-フ

  • リベラルアーツ(教養)は人間が「自由人」として生きるための学芸(文法、修辞学、弁証法、算術、幾何学、天文学、音楽の自由7科)。本書で紹介する学問分野は、物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学の7つ。今は価値観が多様化し、一人ひとりが生き方を自分で選ぶ時代。自由な反面、選択する価値観を自分で見定めなくてはならず、難易度は高い。教養により視点が増え、人生のオプションが増え、決断ができ、混乱から抜け出すことができるようになれる。中でも仏教学(東洋哲学)は面白かった。

全54件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

深井 龍之介/株式会社COTEN 代表取締役

島根県出雲市出身。大学卒業後、大手電機メーカーや複数のベンチャー企業の取締役・社外取締役などを経て、2016年に株式会社COTENを設立。「メタ認知を高めるきっかけを提供する」をミッションに掲げ、3500年分の世界史情報を体系的に整理。数百冊の本を読んで初めて分かるような社会や人間の傾向・行動パターンを、誰もが抽出可能にする「世界史データベース」を開発中。COTENの広報活動として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。2019年には、「JAPAN PODCAST AWARDS2019」で大賞とSpotify賞をダブル受賞。 Apple Podcast総合ランキング1位。NTT「ナチュラルな社会をめざすラボ」顧問。*2022年5月11日現在

「2022年 『視点という教養(リベラルアーツ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深井龍之介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×