かわいそ笑

著者 :
  • イースト・プレス
3.17
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本棚登録 : 1046
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781621111

作品紹介・あらすじ

「死んだ人のことはちゃんと可哀想にしてあげなきゃ駄目でしょう。」
一度読んだら引き返せない、怪異が侵食する恐怖のネット怪談。

雨穴氏(『変な家』著) 推薦!!
インターネット上に伝わる多くの怪談。
その中に何故か特定の「あの子」が被害にあう奇妙な怪談が出回っていた。

とある掲示板のQRコード、インタビューの書き起こし、出典不明な心霊写真、匿名のメールデータ。
筆者がこれまでに収集した情報をもとに怪談を読み解く、読者参加型のホラーモキュメンタリー。
一見バラバラに見える情報から、浮かび上がってくる「ネット怪談の裏側の物語」とは。

【雨穴氏コメント】
この本を読み終えたあと、まったく読み終えた気がしませんでした。
かつてその場に自分が居合わせたのではないかと錯覚するほどリアルで気味の悪い映像が
文章を通じて、目の数センチ先に突き付けられるような不快感。
確実に何かが繋がっているのに、完全には説明されないもやもや。
まるで奇書を読んでいる気分でした。
ただ同時に、この感覚に懐かしさを覚えました。
ある時点で気づきました。子供の頃に、インターネットを見ていたときの気分と同じなのです。
閉鎖的で、情報が少なくて、画像と文字と粗末な動画しかなかった昔のインターネット。
私は、個人の書き込んだ体験談や創作、とりとめのない雑談などを読み漁っていました。
それらは、書き手の呼吸が聞こえそうなほど身近に感じられ、しかし、書かれている以上のことは何も分からない。
それ以上を知ろうとすれば、ディスプレイの向こう側を想像するしかない。この本の読み心地は、まさにそれに近いものがありました。
「ネットを読み終える」などということが不可能なように、きっとこの本を読み終えることは、一生できないのでしょう。
私は近いうちにまた、読み返そうと思います。そして、想像します。
この本が日本全国に出回れば、手に取った人の数だけ想像が生まれるでしょう。
そして『あの子』は……。



――「もうやり直せないよ 残念でした」

感想・レビュー・書評

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  • 筆者がこれまでに収集した情報をもとに怪談を読み解く、読者参加型ホラーモキュメンタリー。

    あ~怖かった…だけど詳しく知りたくて即ネットの考察読んだらさらに怖くなった…
    チ━━( ꒪⌓꒪)━━ン・・・

  • 洋子のはなしは信じるな

    一貫して右上から左下理論で攻めてくる
    同人誌、個人サイト、掲示板だけでは飽き足らず書籍化まで狙う執念には恐れ入った

    最初は死体蹴りをしているのかと思ったけど途中で呪いの対象者が生存していることが判明
    夢の中で撮った写真が現実に現れるという謎

    名前置き換え、写真ばら撒き、幽体離脱、QRコード
    あの手この手で加害者側にさせてくる
    しっかりと呪いの代償は払わないといけないの理不尽すぎるだろ

  • 最終章までの話は良いホラーでした。読んでいると1人の女性の像がチラついてきて、モキュメンタリー特有の各章の繋がりを感じたときの恐怖はよかったです。
    最終章はそれまでの内容と変わったテイストの文体になります。説明的でくどく感じるので、なんか読むの飽きてきたな〜と読むのを辞めそうになった瞬間、壁を越えてきて巻き込まれました。頭が混乱してきます。

  • オリジナルの呪いを考案して、鬱憤を晴らしていたら、本物の呪いになっちゃって、それがウィルスみたいに拡大している内に、呪いをかけている側に返ってきているという流れになるのか。
    最初は、架空の人物を酷い目に合わせる、呪ってみるというのだったのが、架空の怪談話の登場人物の名前を憎い人の名前に変更して、ねっとの掲示板なのどに掲載して拡散するとか、そういったささいな悪意で、手順を踏んだ呪いではなかったのにな。
    この話の作者を巻き込んで、読者を呪いゴッコの輪の中に引き込んで、呪い返しというか、穢れみたいなものを分散しようという魂胆なのか。

    横次鈴と洋子という二人の女性が出てくる。
    それぞれに語られる体験談の中で、横次鈴という女性が、酷い目にあったりおかしくなったりしているが、横次鈴は一人の女性の事を指しているのだろうか?
    なんて思ったりした。
    呪いの対象としての概念が横次鈴なのかなとも。

    ねっとの中で無限増殖していく悪意の象徴として、洋子と横次鈴がいるのかな。

    スッキリする回答のないお話なので、怖いは怖いけれど、答えのないもよもよが多く心に残って、もう怖くて読めない!とはならなかった。

    だけど、途中の

    「それを繰り返したせいで、どんどん変な方向に向かって行ったんですよ、みんな」 
     彼がそういうと、あなたの頭の中にはその台詞を喋っている彼の声が入ってきました。

    で、実際に、男の声が聞こえてくる。音として「聞こえて」いる訳ではないけど、脳内再生されているので

    後ろから聞こええいた男性の声は、回り込むように右耳を経由して、今度は正面から聞こえている。

    と、続く一文で、見えない存在が自分の直ぐ側にいるような気配を感じてぞっとした。

    本の内容をちゃんとわかっては居ないけれど、ゾワゾワ怖さを楽しめるポイントが何箇所もあって、楽しい本だった。

  • 書き方が好き。
    説明している文は同じところをぐるぐる回る。
    心の気持ちを表しているような文章が好きだし、この本はそうだった。
    最後の章がいまひとつしっくり来なかったのは説明が届かなかったからかも。
    表紙のカバー写真が心霊写真だったってことか。
    怖さというよりは面白さが強い作品でした。
    呪いの物語。


  • なんてことをしてくれたんだ
    という感想

  • ネット上に拡散されている怖い話と、それに対するSNSの書き込みやオカルト掲示板の書き込みの引用でほぼ構成されている物語。冒頭のQRコード読み込んだらX(Twitter)のポスト画面が出てきたりして、面白い仕掛け。なんか新時代の小説だなぁって思いました。
    ひとつひとつの話はネット上にある不気味な話、という感じで面白く読んだのですが、最後の方どんどん意味がわからなくなってきて、意味わからないまま物語の中に引きずり込まれるような不快感がすごかった。ただただこの意味不明な世界から抜け出したくて最後まで読み切ったという感じ。
    平成のオタクの黒歴史を追体験させられているようで物語と関係ないところで心が死にました。

  • 怖がりたくて買ったが、怖がるために結構段階が必要なタイプの本だった。
    しかしこういう悪趣味さとか、地の文でああいうことしてくるのはなかなか好み。
    にしても構造が複雑すぎるな。

  • 『あの子』の話が手を変え品を変え
    ネットで広がり何が真実なのか?
    誰にも分からないし
    自分が何に巻き込まれてるのかも分からない、
    何が恐ろしいのか?
    ネットでの拡散で受け取る数だけ
    違う形で伝わり広がり繋がる…。

    話の筋は分かるのだけど漠然としてるので
    正直読んでて、こんがらがる、こんがらがる…
    怖いというより( ˘•ω•˘ ).。oஇって感じ(笑)

    でも怪異って実際理解できないものだと思うので
    こういうのも有りだと思う。
    怪異が侵食するネット怪談。


    ホラーモキュメンタリーって好きだけど
    ただ今回は私に合わなかったなぁ…
    怖いよりこんがらがった∑(; ̄□ ̄A アセアセ

  • 明らかに理解が及んでいないのに関わらず、本能的にゾクゾクしてしまうし、生理的に拒否してしまう。なんて見事な構成力と文章力。最新作『6』も今すぐ注文したいと思いますし、同ジャンルっぽい某作品も読んでみたい。あぁ、今から電気を消して寝るのか。果たして寝られるのか。

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著者プロフィール

インターネットを中心に活動する怪談作家。日常に潜む怪異や民間伝承を取り入れた作風が特徴。主な作品に『かわいそ笑』(イーストプレス)、原案『コワい話は≠くだけで。』(KADOKAWA)などがある。そのほか、2021年10月よりWebメディア「オモコロ」でライターを、BSテレ東「このテープもってないですか?」で一部構成を担当するなどあらゆるメディアで活躍している。

「2023年 『6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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