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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784781621760
作品紹介・あらすじ
判断を迫られる数々の場面
会社・学校・家庭・地域社会...
早さ・効率だけでは解決しない!
「わからない」不安を受け容れ、正解がない問題に向き合うための処方箋
VUCAの時代にあって、より質の高い解決策を見出すために、あえていったん立ち止まり、物事の本質を見極めることの大切さ。ネガティブ・ケイパビリティの基本的なエッセンスの解説から、その高め方、具体的事例までをトータルでお話しします。
はじめに 答えを急いではいけない時がある
第1章 ネガティブ・ケイパビリティとはそもそも何なのか
第2章 「わからない」という不安を受け容れる~2つのキーワードから
第3章 判断を性急に下さない~ホールドとサスペンド~
第4章 ありたい自分に近づき、他人に寛容になり、物事の本質が見えるようになる
第5章 ネガティブ・ケイパビリティを高める方法
第6章 「何もしない」ことの大切さ~人を育てる
第7章 「わからない」と正しく向き合う~リーダーシップとチームや組織の中で
第8章 共有ビジョンと“結論を出さないルール”の「場」~地域ぐるみでネガティブ・ケイパビリティを発揮する
第9章 東洋思想の叡智とネガティブ・ケイパビリティ
おわりに 本当に大事なものを見落とさないために
【関連ワード】
ネガティブ・ケイパビリティ キーツ ビオン システム思考 VUCA リーダーシップ 組織 教育 東洋思想 レジリエンス シナリオプランニング
感想・レビュー・書評
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ネガティブ・ケイパビリティという言葉は広く知られるようになってきているが、ポジティブ・ケイパビリティとの関係性や実践例も入っていて実用的な内容だった。
いろんな切り口で書かれていてニーズに合わせて読めばよいのだと思う。この言葉を生み出した英国の詩人のジョン・キーツ、および蘇らせた英国の精神分析医者、ウィルフレッド・ビオンの定義を知るだけでも意味はありそう。ルーツを知っておくと、ネガティブ・ケイパビリティという言葉や態度そのものに対しても答えを急がなくなれそう。言葉遊びみたいだが。
すべてのSNS民に知ってほしいなあと思う面もあるが、原発立地の柏崎市の事例も読むと、静かに実践していくしかないのだとも感じた。
この言葉に出会った当初から、東洋的な概念だよなあと考えていたので、老子や沢庵禅師などの引用もあるのも我が意を得たりという感覚になれて助かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【動機】タイトルに惹かれて
「とりあえずの『答え』」をすぐに出したい衝動があることに自覚的だったので、書店でみかけて興味をもった。
本書を読んで、あっさり「できました」というものと違い(この考え方は「ポジティブ・ケイパビリティ」的)、本書の内容を意識した上で、ちょっとずつ時間をかけて、醸成させていくと、ある日「以前より待てるようになった自分」に出会える、かも。
病気になったときに「患部はなおしました」という処置で終えてしまうのもポジティブ・ケイパビリティ的だろうか。
じっくり時間をかけて根本にせまる「ネガティブ」のアプローチも、両輪の片側として、バランスよく伸ばしていきたいところ。 -
思うに、この本を一度読んで「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念をすんなり理解できた人は、すでにネガティブ・ケイパビリティが相当高い人だ。なぜならこの言葉自体がとても抽象度が高く、曖昧で、多様な意味を含むものだから。
私はイマイチ消化できなかったので、その特徴をいくつかの行動や態度に要素分解して、自分なりにかみ砕いてみることにする。
①分からない状態に耐える
分からなくても取り乱さない。白黒つかない状況、先の読めない状況でも不安や焦りに耐えられる。知的寛容さ。おおらかさ。
②あえて判断や結論を保留する
早合点せず、じっくり情報を収集し吟味し判断する。多様な意見に耳を傾け、広い視野と長い時間軸で正否を考えることができる。メタ認知。
③自分の知識や能力の限界を自覚する
世の中には自分のコントロールが及ばないものがある。分からないことや矛盾したことがあって当然とする謙虚な心構え。無知の知。ダニング=クルーガー効果。
④既存の知識や価値観、こだわりや目的意識を捨てる。
自分の認知バイアスやフィルターバブルに気づく。アンラーン。
⑤迷うことや躊躇うことを前向きに捉える
正しい答えを出すことより、迷ったり右往左往する中での学びや反省が成長を促す。結果よりプロセスを重視する。
⑥空っぽの状態に価値を見出す
積極的に分からないままでいる。身体感覚や無意識に身を委ねる。無心。無為自然。ゾーン。マインドフルネス。
⑦作為性から離れてみる
偶然の出会いや他者からのインスピレーションを信頼し、期待する。セレンディピティ。創発性。コネクティングドッツ。
こうして分解して考えてみると、ネガティブ・ケイパビリティの裏には「未来の“計り知れなさ”は言わば伸びしろだから、答えを急がなくてよいよね」という楽観的な信念が通底していて、逆にポジティブ・ケイパビリティの方が未来を不安やリスクとして悲観的に見ているんじゃないか?
ネガティブが楽観的で、ポジティブが悲観的だなんて、なんか逆説的で面白い。 -
大人になっていくにつれて、どうしても効率重視になってしまいそれが正しいと思ってしまっていた。
この本に出会わなかったら、ずっと自分の思い込みを自分にも他人にも押し付けていいように場をまとめようとしていたと思う。
新たな視点に気づかせてもらえたので、とても良いきっかけになった。 -
1日12時間くらいで生きていい
スローに、自分の答えを熟成させる -
こういった忍耐力の事を、ネガティブケイパビリティという能力やスキルとして定義した事が素晴らしいなと思った。頑張って身につけよう。
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ほんとうに、その通りだと思いました。答えを急がない、課題の中にい続ける。こういった状態でいてもいいんだ、と安心させてくれる、素敵な言葉だなあ...ほんとうに、その通りだと思いました。答えを急がない、課題の中にい続ける。こういった状態でいてもいいんだ、と安心させてくれる、素敵な言葉だなあと思っています。
いきなりの自分語りすみません……
上記のことに気づかせてくれた、貴方のコメントに感謝しています。2024/08/14
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わかった気にさせてくれる本でした。
感覚になんとなく訴える書き方(そして読者が自分で勝手に補って「そうだね」と納得する流れになる書き方)をされているので、ざっと読んで、なっとなくわかった気になります。
でも、よく考えると、「それってちょっと違うんじゃない?」「嘘じゃないけど、そう言い切るのはどうだろう」という点がたくさんあります。
ロジカルに書かれているようで、そうでない箇所が結構あるように感じました。
例えば、言葉をきちんと定義をした上で論を展開しているわけでではないので、解釈によって如何様にでも考えらる箇所が多かったりします。
他者の著作や言葉・主張の引用も、ご自身の論を混ぜて書かれているので、雑な印象でした。どこが元の方の言っていることで、この本の著者のオリジナルなのか、ちょっと不明瞭です。また、元の著者が使っている文脈の意図とは少しずれているような箇所もあったり、著者の解釈を織り込んで取り上げているような箇所もあります。(完全に違うわけじゃないのですが、5%の部分を99%みたいに言ってない?みたいな感じがちらほら。)
というわけで、読んでいて、私にはちょっとストレスでした。
箒木先生のネガティブ・ケイパビリティの本も読みましたが、箒木先生の本の方が、この種のモヤモヤ感は少ないと感じました。
ただ、ざっと読んでまぁこんな感じかぁと、なんとなく参考になりました。
書いてあることを文字通りに受け取ってはいけない感じで読むというか、素直に受け取れない感じだったのはちょっとつらかったです。ある意味、ネガティブ・ケイパビリティを鍛えられる一冊でした。 -
年末に友人たちと泊まりがけの忘年会に出かけました。温泉入って食事してコタツに入ってごろごろして、なんとなく今年面白かった本談義になった時に、たまたま読んでいた中公新書「ウクライナ動乱」の中で提示されていた「錯綜した亀裂」「オーバーラップした亀裂」の対比図が目鱗だったという話をしました。いくつかある亀裂がバラバラな時は大丈夫なんだけれど、その線が重なり合うといきなり戦争になる、という指摘です。それって「ネガティブ・ケイパビリティ」に通じるものがあると教えてもらったキーワードです。これほど正解の見えない時代に必要とされている能力のこと、とのこと。全く知りませんでした。で、この本です。いくつか薦められた本の中で一番易しそうなもの,読んでみました。本当に優しい語り口で語っているのでするする読めてしまいますが、そのテーマは深く、広く、重いです。しかし、この能力は、別の語り手を持ってして「聴く能力」とかあるいは「ケアの力」として語られていることとも重なると思います。とても気づきの多い本ですが…今、まさにウクライナのこととかガザのこととか思ってしまうと、ネガティブ・ケイパビリティではなく思考停止してしまう感じにも陥ってしまいます。まあ、急がず慌てず,同じ著者の「システム思考の上手な使い方」でも読んでみようなかな…
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人間の器の大きさはネガティブケイパビリティの大きさかもしれない。
わかりやすさ、速さに価値を置き過ぎない。
リーダーからネガティブケイパビリティを発揮していれば、メンバーにも伝染する。完ぺきでなくてもいい、わからないこともある。
自分にも相手にも完璧を求めるリーダーの組織は息苦しいかも。 -
解決できない状況に耐える、事実や理由をすぐに求めない「しないでおく」能力。今の時代と真逆を行く発想だが、ネガティブケイパビリティを教えてくれる1冊。
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周囲の人の話を聞かず、自分の浅くて狭い経験から物事を断定的に判断する自分の癖を批判されることがあり、このあたりの本を読んでみた。
ネガティブ・ケイパビリティとは、
・すぐに結論を出したり、判断を下したり、わからないとイライラしたり、決めつけたり、諦めたり、逃げたり、思考停止したり、というようなことをしないでおく能力。
・曖昧さやパラドックスと共存しそれを許容する能力。
・不確実で曖昧な状態のなかに留まる能力。
・知的寛容さ。
・その都度、相手や状況によって揺れ動き、不安定で、再現性も予測可能性もない状況の中に居続ける能力。
・わからなさや不安を器に容れて受けとめる
・場をホールドする
・自分の意見を保留して相手の意見を聴くことは相手の意見に同意することとは違う
というのは、なるほどと納得はした。
精神分析、組織経営論、東洋哲学の観点からネガティブ・ケイパビリティを身に着ける方法が割と具体的に書かれていて、できるできないは別として、勉強になる。
即座に反応することに抵抗する
今この瞬間の自分の思考、感情、身体の反応を観察し始める
変化に対して「素直な心」で柔軟に順応する
そうは言っても決断は必要でしょう?に対しては「タイレノール危機」が例になるわけだけど。
唐の諫議大夫や黒田長政の腹立てずの異見会の例からは、自分の判断が絶対唯一の正解と思い込まない・自分以外の誰かから見たその他の可能性も知っておくために、人の話を聞けるようになる必要がある、と理解した。 -
ネガティヴ・ケイパビリティとポジティブ・ケイパビリティの両軸を持つビジネスパーソンになる必要があることがわかった。どちらかだけが優れていることではなく、状況によりどちらの考え方を使うか・どちらの態度で行動/思考すべきかを適切に判断できるようになるべき。
日々の仕事の中ではどうしてもポジティブ・ケイパビリティのみが求められるなかでどうネガティヴ・ケイパビリティを伸ばしていくか、具体例もあり行動に落とし込みやすい印象だった。 -
ネガティブケイパビリティ=予想外のことを面白がる余裕というのが、この本を読んだ感想です。
それを思ったエピソードです。
【エピソード】
ある知人Aさんの還暦パーティのプロデュースを知人Bさんが実施していました。Aさんはパーティでやりたいことを次から次に話します。Bさんはそのアイディアをひとつずつアクションアイテムに落とし込み、スプレッドシートにto doで落とし込み、各方面との調整や指示を行います。Bさんがここで発揮しているのは、ある日に向けてプランを実現させるポジティブケイパビリティです。
パーティは大盛況のうちにフィナーレ。事前にAさんから、妻へプレゼントをサプライズで用意していることを告げられていたBさん。会場のレイアウト上、大きいと隠す場所も準備する必要があるので、プレゼントの内容を聴こうとするも、Aさんは大丈夫、大丈夫と軽くあしらう。
そのフィナーレで、Aさんは朝から腰につけていたポシェットの中から、ネックレスを取り出しました。常にAさんはポシェットをしているので、誰も気に留めていませんでした。
還暦に感謝を伝えるべく用意したネックレス。奥さんへの首へつけよう頭からかぶせますが、入らない。首の後ろの留め具を外すタイプ。しかし、老眼のAさんは留め具が見えない。Bさんは心の中で、「Aさん、きちんと練習しないからじゃん」とつぶやく。見かねた長男が、Aさんの代わりに留め具を外します。Aさんは首に着けようとしますが、老眼で留め具が見えない。結果、長男が母につけてあげ、母は長男が大好きだからすごく喜んだ。この光景を見て、Bさんはすごくいい光景だと心が温まり、本番中こらえていた涙が一挙に溢れた。会場も温かい雰囲気と笑いに包まれた。
ここで、Bさんは進行の都合上、Aさんの不手際に対し、怒っても良いし、代わりに私が付けますとしても良いのだが、そこを面白いものとして、何もせずに受け取った。このBさんの態度がネガティブケイパビリティだと思う。
【エピローグ】
一人称の体験を伝えようとしたとき、そのままでは伝わらないので、共通ののものに寄せて伝える。しかし、そうすることで、一般的な話に近くなり、熱が伝わりづらくなる。実は、内容は相手に伝わらないが、熱は伝わるような話が大切じゃないか。その話には、うんとしか言えない。しかし、そのうんと受け止めることが大切な気がする。それがネガティブケイパビリティの初め。
今だけで評価しない。
手袋をこがした。わかっていたけど、そのままにした。
=>先週は燃やしちゃった。
今だけで評価せず、過去からの変化や成長に目を向ける。
相手を信頼し、学びの機会を奪わない。
ネガティブケイパビリティ的な存在がチームに居ることで、
①別視点の意図的な獲得
②心理的安全性を担保したうえで、本音を言える場づくり
ができると思った。 -
ネガティブケイパビリティが自分の具体的な行動などと簡単に結びつけることはできないが、こうした考えを持っておくことだけでも大切
良質な問い、聴くことをもっと大切にしていこう -
本書の提唱する「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、何かを「しないでおく」能力だという(p28)。
逆に言えば、何かを「即解決」できそうな時代に合って、そんな時代だから苦しむ人々にとって、目からうろこの逆転の発想といえる。
ただしこれは「諦める」「現実甘受」「思考停止」ではない。(p32)
観察、傾聴、辛抱。まさにAIにはできない、人間と人間(複数の)にしかできないことだ。ポストモダンの動物化に抗する一つのヒントになりうる。本書の指摘は、きっとどこかで「ケアの倫理」につながっている。そんな気がする。 -
著者の二冊目
追われて、「こなす」仕事をしてきたので、その頃にこの本と出会っていたら、と、思う
わかりやすくかかれていると思うが、理解することが難しいと感じながら、最後までたどり着いた
書かれていることの意味を考え続けるズクが足りない
皆さんの感想を読んで、少し理解に近づいた気がする
わかった気にならないように、ここにとどめておこう
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読了!早急な結論、判断や見解に飛びついたり、諦めたり、思考停止しない 持ちこたえる能力、待ち続ける能力をたかめるように、意識して日々過ごしたいと思いました
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「答えを行動を急がされる」「分からないが言えない」学校で特に感じること。
子どもの「ネガティブ・ケイパビリティ」を奪っているのではないか。
私自身、特にこの2年、「聴く」ことができるようになりたいと思い、いろいろと考え動いてきた。
今感じているのは、「“ただ”一緒にいる」その重要さと難しさ。
今の私の中にあるものはなんだろう。
それをゆっくり見るために春から余白の時間を持ちたいんだな、私は。
・脳は不確実性を嫌うように進化してきたため、物事が予測・コントロールしにくくなると、私たちは私たちは強い脅威を感じる。脅威を感じると、脳は「闘うか、凍りつくか、逃げるか」というモードになり、モチベーションや集中力、敏捷性、協調性、自制心、目的意識、ワーキングメモリも低下する。
・意味がわからないと、わかりたいと思うのは心の根本的な傾向。
・ネガティブ・ケイパビリティとは、事実や理由をせっかちに求めず、不確実性や不思議さ、懐疑の中にいられる能力。
・何がわかり、何がわからないのかの区別がわからねばならない。本当にわかるためには、まず何がわからないかが見えて来なければならない。
・“新たな考えのためのスペースを残す”ために、自分が知っていることと、欲していることを忘れ、新しいパターンが展開するのを辛抱強く待て。
・不安や居心地の悪さかは、つい「逃げ出そう、散らそう」とする衝動が生まれるのは、実は自然なこと。その衝動を否定するのではなく、不安などをそのまま器に容れるようにして、不安や居心地の悪さを認めて同居する、一緒に居続ける。
・ある人の前提を「保留する」とは、「いわば、『自分の前に吊るし』、いつでも質問したり、観察できるように」しておくことだ。これは前提を捨てたり、抑圧したり、表現するのを避けたりという意味ではない。自分の前提を自覚し、検証するために掲げるという意味なのだ。これは自分の意見を弁護していたらできないことである。また自分の前提に気づかないうちは、あるいは自分の考えが議論の余地のない事実ではなく、前提にもとづいていることに気づかないうちは、やはりできるものではない。
・素直な心とは、自分の利害や感情、知識や先入観などにとらわれずに、物事をありのままに見ようとする心である。
・方向性を全部捨てた集中力、何もしないことに全力を傾注する、なんにもこだわらない状態、無為。
・何もしないこと、ボーッとしていることは、実はすごくエネルギーがいること。
著者プロフィール
枝廣淳子の作品





