三島由紀夫対談集 尚武のこころ[復刻版]

  • イースト・プレス (2025年1月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784781624211

作品紹介・あらすじ

私は自分のものの考へ方には頑固であつても、相手の思想に対して不遜であつたことはないといふ自信がある。これが自由といふものの源泉だと私には思はれる。世間からは、いろいろな偏見で見られてゐる対談者も(もちろん私を含めて)、この本の中では、明るい光の下の広場【アゴラ】に会して、お互ひに自由な対談を楽しんだ、といふことが、読者にわかつていただけるとよいと思ふ。(本文より)

三島由紀夫生誕100年。
幻の対談集がここに復刊。

三島の晩年の思想、評論を知る上で重要な対談集。所々に三島の自決を暗示させる言葉が散見されている。1968年(昭和43年)から1970年(昭和45年)にかけ雑誌、新聞紙上で行なわれた小汀利得、中山正敏、鶴田浩二、高橋和巳、石原慎太郎、林房雄、堤清二、野坂昭如、村上一郎、寺山修司との対談十編を収録。政治問題からヤクザ映画や空手談義まで幅広い内容である。

【目次】
守るべきものの価値 われわれは何を選択するか/石原慎太郎
エロスは抵抗の拠点になり得るか/寺山修司
天に代わりて/小汀利得
サムライ/中山正敏
刺客と組長 男の盟約/鶴田浩二
大いなる過渡期の論理 行動する作家の思弁と責任/高橋和巳
現代における右翼と左翼/林房雄
二・二六将校と全学連学生との断絶/堤清二
剣か花か 七〇年乱世・男の生きる道/野坂昭如
尚武の心と憤怒の抒情 文化・ネーション・革命/村上一郎

感想・レビュー・書評

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  • 著者のイデオロギーには辟易する部分もあるが、ぶれない個性(美学)という点でエッセイにしろ対談にしろ一読の価値があり、本書も互いに言いたい事を言い合う様に、今日読む事のできない類の面白さがある。相手に敬意を持った前提で存分に批判し、また批判も受け止めるので一種爽快さがあり、それが一番激しい石原慎太郎との対談を冒頭に据えたのも象徴的。

  • イントロダクション
    本書では、日本文化や社会における価値観、特にナショナリズムと個人主義の問題が中心に議論されています。著者たちは文化的、政治的な視点から、守るべきもの、失われるべきでないものについての考察を深めています。

    守るべきものの価値
    三島由紀夫の視点
    - 存在の表現: 三島は「守るべき価値」を消去法で考えるアプローチを提案し、最終的には天皇制が守るべきものであると強調しています。
    - 文化の持続: 歌舞伎やお能などの古典文化は共産主義の影響下でも生き延びる可能性が高いとし、天皇制はその逆であると述べています。

    石原慎太郎の視点
    - ナショナリズムの重要性: 石原は、ナショナリズムが左派に侵食されつつある現状を憂い、その回復が必要であると主張します。
    - 文化の本質: 日本文化は代替不可能であり、共和制になった場合、その本質が失われると警告しています。

    現代日本における文化と価値観
    エロスと政治
    - 寺山修司の見解: エロスは抵抗の拠点になり得るとし、言語や行動の自由が重要であると主張します。
    - 政治と文化の関係: 現代の政治が文化に与える影響について、特に言論の自由とその限界について考察されています。

    学生運動と社会変革
    - 全共闘運動: 学生たちがどのようにして新しい運動を形成し、既存の社会構造に挑戦しているのかが議論されています。
    - 責任と論理: 学生運動の中での責任の所在や、どのように行動が組織されているかについての洞察が提供されています。

    結論
    本書は、日本文化の価値とその存続に対する危機感を強調しており、現代社会におけるナショナリズムや個人主義の重要性を再確認する内容になっています。著者たちは、文化を守るためにはそれぞれの立場からの行動が求められていると訴えています。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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