武道は教育でありうるか (イースト新書) (イースト新書 7)

著者 :
  • イースト・プレス
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650074

作品紹介・あらすじ

本書の武道論は、柔道の創始者・嘉納治五郎の思想を踏まえている。嘉納が画期的だったのは、柔道に教育的価値を発見したところだった。しかし、柔道をはじめとする武道は礼儀作法や躾といった教育的効果を期待される反面、常に体罰や暴力の温床という暗部も抱えてきた。中学校の武道必修化が始まり、女子代表監督の暴力や全柔連の不祥事がメディアを賑わせる今こそ、「武道は教育でありうるか」を考えなければならない。自ら「生涯武道」を実践する著者による、武道で「伝統とグローバル化」までを考察する「武道教育論」。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの武道関連の書物。
    柔道に関する記述が多く、嘉納治五郎氏の言葉を解釈して説明がなされることが多い。非常に興味深い。
    柔道や武道団体に対する苦言といえるような言葉も多いが、団体・集団としてのコンプライアンスがなっていないの一言で済んでしまうような気がする。
    武道は教育に有用かどうかは、長く携わる身にもあまりわからない。数多くの武道団体が仲違いをしているのを見ると、むしろよくないのではと思わなくもない。
    著者は、武道を修練するにあたり、創意工夫をすることが現実社会で役に立つということのようだが、そこも少々疑問である。

    その辺りに関しては、嘉納治五郎氏も述べているようで、身体の修練だけでは不十分だという言葉を残しているらしい。

    寝技に重きを置かないのは、外で暴漢に襲われたりした時に寝て戦うことは不利であるからというのは興味深い。

  • 武道の定義も教育の定義も定まらない限り、どうしても何?という感想が漏れる。

  • まだ読みかけですが、、、
    良書。武道、格闘技の差とは何か?嘉納治五郎先生が目指した柔道は?一般的に認識されている武道のイメージを、正しい形で伝えている本だと思います。

  • 指摘していることはいわゆる正論であると思う。
    しかし、武道団体が抱える問題構造はそんな単純ではないし、何よりもこれまでの史的経緯を軽視していると感じた。経済学が専門であるため枠組みありきな面もあるのかな?

  • 本を手に取ってみてから、え、この著者?と思いました。経済学の学者さんかと思っていたので。
    本書で取り上げられているのは、武道といっても柔道がほとんどです。
    けっこう話がとっつきづらくて入り込めなかった。最後の著者の思う結論としては、制度的なものが多く、まっとうなことを言っていたように思う。

  • 現在の柔道界の問題点や嘉納治五郎の柔道論について、そして旧帝大七大戦の学生柔道や空道について、東大柔道部部長、空道の師範である東大教授がその強い思いを綴っている。
    本書とは直接関係ないが、武道の礼は、日本人が世界で活躍するためには大切な考え方であると思う。

  • 筆者は、東京大学大学院総合文化研究科教授。
    講道館柔道三段にして、東大柔道部部長。
    国際空道連盟常任理事であり、大道塾総本部ビジネスマンクラス師範 (五段)。
    生涯武道を目指す、松原隆一郎。

    現代柔道の危機、不祥事からみる教育としての武道の危機を指摘。
    死亡事故と指導者については、フランスの指導者国家試験を例に解説。

    嘉納治五郎が描いた柔道と、幻想の伝統で固められた現代柔道との差。
    嘉納治五郎の立場でみる、高専柔道 (七帝柔道)の考察の価値。
    知的身体活用と社会貢献。
    そして、総合武道としてみる空道に迫る。

    筆者は社会学や経済学を交えながら、武道の在り方を真剣に考察。
    自分のところにも柔道と同じことが起こり得るとして、自戒すら示す。

    武道に限らず、格闘技やスポーツ指導者にも読んで頂きたい一冊。

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著者プロフィール

松原隆一郎(まつばら・りゅういちろう)
昭和31(1956)年神戸市出身、放送大学教授、東京大学名誉教授。灘高校・東京大学工学部都市工学科卒、同大学院経済学研究科単位取得退学。専攻は社会経済学・経済思想。著書は『頼介伝』(苦楽堂)、『経済政策』(放送大学教育振興会)、『ケインズとハイエク』(講談社現代新書)、『経済思想入門』(ちくま学芸文庫)、堀部安嗣との共著『書庫を建てる』(新潮社)他、多数。

「2020年 『荘直温伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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