田中角栄秘録 (イースト新書) (イースト新書 8)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650081

作品紹介・あらすじ

角栄が好んだ浪花節「天保水滸伝」は新潟に降る雪のひとひら、米粒の涙である。貧しい馬喰の兄ちゃんが、果たした昭和という時代の光と影、戦後日本の象徴となった男の一代記!鉄の結束を誇った「田中軍団」、大宰相としての絶対権力、ロッキード事件後も闇将軍として威力をふるい戦後史に圧倒的な足跡を残した田中角栄。その権力の源泉はどこにあったのか。元秘書から小沢一郎、羽田孜、石破茂といった一世を風靡する政治家まで数多くの側近たちの証言をもとに昭和の巨魁・田中角栄の実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄返還によって
    日本の戦後処理に一応のくぎりをつけたのが佐藤栄作だ
    そのあとを継いだ田中角栄は、中華人民共和国との国交を正常化させた
    しかしその対価に、日本は中華民国(台湾)と断絶
    精力的ながらも、きわめて場当たり的な印象の強い総理大臣である
    日本列島改造論の実現は、交通インフラを急速に発展させたが
    同時に地域経済の公共事業依存度を高め
    税金無駄遣いの原因構造にもなった
    また、民主主義の本質を選挙闘争と見抜いてのことだろう
    どこからか多額の資金をかき集め
    これをばらまく政治手法を得意としたが
    それは、本質的な思想の欠如を埋めるものでもあり
    後に深刻な腐敗を招くこととなった

    田中角栄という人は、人情家…ヒューマニストとして知られている
    つまりそこに彼の思想はあったのだけど
    しかしヒューマニズム自体がもともと、性善説を前提とする
    あやふやなものである
    「選挙に勝たなきゃ意味がない」という、彼自身の政治哲学によって
    それは、形骸化・陳腐化していく運命だった

    この本は、人情家としての側面から田中角栄を描く狙いによって
    つくられている
    早い話、浪花節の世界なんであるが

  •  政治・歴史的な詳しいことは相変わらずわからないしあんまり興味も持てないままだけど、今まで読んだ田中角栄関連書籍の中で一番好きだったかも。ところどころちょっとうるうるしちゃった。
     田中角栄に関する本は、彼がいかに有能で素晴らしい政治家だったかを力説するか、お金にモノを言わせて権力を拡げていったと糾弾するか、その両極端であるように思える。この本は、必要以上に田中角栄に肩入れしたり神格化したりすることなく、かといって罵倒・糾弾することもなく、ニュートラルな立場から彼の業績と、身近な人物たちとの関係を記述している。とはいえ、どちらかといえば著者の文章の全体の雰囲気になんとなく田中角栄への愛を感じて、好きか嫌いかで言ったらたぶん好きなんじゃないかな〜と勝手に推測した。

  • やっぱり田中角栄の歴史は何回読んでも面白い、政治自体が面白かったし、勢いがあったんだなあ

  • 田中角栄の人柄が伝わってくるような、様々なエピソードが、盛りだくさん紹介されている。一気に読めてしまう一冊。

  • 戦後の時代にはまった政治家。今の時代であれば、そっこーで発言の揚げ足取られて炎上とかってパターンかもしれませんが、当時の義理と金で解決する世界では抜群の求心力と強さを持ってますね。
    今の時代のリーダーではないかもしれませんが、成長期の日本をひっぱった紛いもない英雄ですね。

  • 田中角栄の一面が見れた。
    もうちょっと全体的なところが知りたかったけど、そういう本ではなかった。
    若いころがイケイケでエキサイティング。
    人としての魅力がたっぷり。見てみたかった。

  • 君たちね、自分の置かれている立場をありがたいって思わんとダメですよ。寝言を言ったり不満ばかり言っているやつは人生終わるまで不満を抱き続ける人間になるぞ。sh回が悪い、政治が悪いなんて言って、いったい何があるんだ。人に貢献できるようになってからいうべきじゃ。

    どえらい大仕事を果たすには、大将の懐に飛び込んで、そのキンタマを握ることだ。そうすれば取り巻きどもが一目も二目もおく。足軽ばかりを相手にしていれば、それで一生が終わる。

    人の喜びは特に励ましてやる必要はない。本人が幸せなんだから。むしろ苦境、悲しみの最中にあるとき、力になってやるべき。

    田中が精力的に動きまわった。
    仕事をすれば、批判、反対があって当然。何もやらなければ叱る声も出ない。私の人気が悪くなったら、ああ田中は仕事をしてるんだと、まあこう思っていたいだきたい。

  •  昔の政治家って今と全然違ってなんか私は好きだなぁ~と思いながらと、つい涙腺緩んじゃうような話もあってウルウルしながら読みました。
    「貸した金はわすれろ、借りた金はわすれるな。」
    等、何ページかに角栄の一言が記載されているのだが、
    一言一言がぐさっとくる。

  • 貴重な証言から紡いだ本。角栄本は飽きない。

  • エピソード主体で語られるため、全体的な流れを解説するものではなく
    展開はやや飛び飛びであり、大まかな流れを把握したうえで
    読む必要がある。
    またエピソードも良くも悪くも新書といった印象で、角栄好きな人が
    角栄にまつわるエピソードを読んで楽しむ本であると感じた。
    小澤一郎や石場茂に関するエピソードは面白い。

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著者プロフィール

1944 年6月7日、広島県に生まれる。1968 年3月、広島大学文学部仏文科卒業。1970 年、『週刊文春』の記者となる。記者時代『小説電通』(徳間文庫)を発表し、作家としてデビュー。さらに月刊『文藝春秋』に発表した『三越の女帝・竹久みちの野望と金脈』が反響を呼び、岡田社長退陣のきっかけとなった。1983 年、週刊文春を離れ、作家として政財官界から経済、芸能、犯罪まで幅広いジャンルで創作活動をつづけている。
著書は、「十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊」「美空ひばり・時代を歌う」(以上、新潮社)、「闘争! 角栄学校」(講談社)、「トップ屋魂 首輪のない猟犬」(イースト・プレス)など400 冊以上にのぼる。
近著に、「田中角栄秘録」「官房長官秘録」「小泉純一郎・進次郎秘録」「清和会秘録」(イースト・プレス)、「映画女優 吉永小百合」(朝日新聞出版)など。

「2016年 『田中角栄の酒 「喜びの酒」「悲しみの酒」「怒りの酒」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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