普通に働け (イースト新書) (イースト新書 12)

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650128

作品紹介・あらすじ

日本の雇用・労働をめぐる議論は、エリートかワーキングプアを対象としたものに偏りがちである。そこには「普通の人」の「普通の働き方」が見落とされており、ブラック企業論争やノマド論争で可視化されたのは、私たちの「普通に働きたい」というこじれた感情であった。しかし、「普通の人」とは誰か?「普通の働き方」とは何か?そもそも私たちは「普通」ということが、実はよく分かっていないのだ。本書は豊富にデータを揃えながら「意識の高い」系言説のウソを暴き、私たちノンエリートのための働き方を考察する。

感想・レビュー・書評

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  •  仕事の資料として読んだものだが、面白かった。
     私には「まともな就職」の経験もなければ、そもそも「まともな就職活動」の経験すらない。会社はつねに「外から接するもの」でしかなかった。そんな私が読んでも十分楽しめ、考えさせられる内容だったのである。

     カバーそでの惹句を引用する。

    《日本の雇用・労働をめぐる議論は、エリートかワーキングプアを対象としたものに偏りがちである。そこには「普通の人」の「普通の働き方」が見落とされており、ブラック企業論争やノマド論争で可視化されたのは、私たちの「普通に働きたい」というこじれた感情であった。》

     エリートにもワーキングプアにも偏らない、普通の人の普通の働き方をめぐる日本の雇用情勢を、豊富なデータから読み解いた本なのである。

     というと、政府の「労働白書」のような無味乾燥な内容を思い浮かべる向きもあろうが、そうではない。
     データが駆使されてはいるものの、著者自身の体験・見聞をベースに論が展開されており、ヴィヴィッドな現場感覚に満ちているし、読み物としても面白い。 

     最後の第4章が鹿毛康司(エステーの宣伝担当執行役で、「消臭力」のCMなどを制作した人)との対談になっており、ここがとくに面白い。もう爆笑ものである。

  • 若い世代の「働き方」に関する言説はあふれているものの、ここまで様々な通説に対してクリティカルになるような本はないだろう。そもそもタイトルは『普通に働け』だが「普通に働く」こと自体が難しくなっていると最初に論じられ、そしてそのような状況下で「新しい働き方」幻想を振りまく論客を言説研究やデータによって撃破していく姿は見物だ(特にロスジェネよりさらに下の世代の置かれた現状の分析についての分析が優れている)。「新しい働き方」言説を正しく葬り去るために是非とも読まれるべきであろう。

  • 弟が教えてくれた本。すっごく優先度低めな感じで勧めてきた。
    けどそんな本ほど先に読んだりする。ここまで計算されてるんだろうか。
    自分では手に取らない本だと思った。

    一つの会社で淡々と働き続ける人を尊敬する。
    わたしはきっと極度の飽き性。

    社畜というのは90年代前半に広まった言葉らしい。
    てっきり最近の言葉かと思っていた。

    >もう一つの例をあげよう。宮崎駿監督作品ジブリの『風立ちぬ』である。
    風立ちぬは友人の大好きな作品で、一緒に観たことがある。生きていると時々この作品について出会い、一般教養なんだなあと感じる。観てよかった。機会をくれてありがとう。

    >その企業では、不正受注が慢性化している。本当の売上は誰も分からない。
    友人の転職した企業や、出向先のエピソードを思い出した。
    顕在化していない事例、まだまだあるのだろうな。

    >実際は、単に漂流しているだけだとしても。
    自分のことかなと思った。汎用的なスキルとか、キャリアアップとか、分からなくなってきた。

    >「ペンは剣よりも強し」という言葉がある。
    慶応の校章を想起した。かっこいいなあと。母校とかではなくて、飲み会のゲーム(うろおぼ絵)で、お題になった想い出。
    余談だけど、三田キャンパスの銀杏も素敵だったなあ。

    >学生の罪って、「考えていそうで考えてない」。やっぱり知識と思考力って、また別ものなんですね。
    わたしのことだろうか。社会人だけど。目に留まったことばなのにちゃんと理解できてないのがなんだか悔しい。

    >あのね、「自分に合う会社」って、自分本位じゃん。
    激しく同意。「野ブタ。をプロデュース」という本を思い出した。ドラマの方がしっくりくる人多いかも。
    「学校が自分に合わなくて。。」と転校してきた同級生に主人公は「学校が自分合わなかったのではなく、自分が学校に合わなかったんだよ」みたいなことを心の中で言っていた気がする。

  • メディアに躍るのは極端な例と煽るような言説。正直、そういったものに辟易していたので、著者の主張がすんなり入ったのだと思う。特殊な例を除いて、普通に働いて生きることがどういったことか書いた本。四章はエステーで消臭力のCMをつくった方との対談。

  • 仕事とはと迷い、私を鼓舞してくれと闇雲に手にとった。2013年著書であるので、3章までの数的根拠、考察は参考程度。4章以外は特に読まなくても問題ないかも。4章では、著者の常見氏と鹿毛康司氏(消臭力cmの仕掛け人とのこと)の対談があるが、著者の主張が端的に口語で書かれているためわかりやすい。
    簡単にまとめると、ノマドワーカーになりたがったり、外資に勤めたがったり、自己実現と称して転職したがったり、できる人ぶったりせず、ただ目の前の仕事をしなさい。起業する以外に、キミに合った会社なんてないと一刀両断しつつ、サービス残業はみんなしてる!のような一社の主張だけに惑わされず、安心安全に働ける会社を探しなさいといったお父さん的主張が温かい。
    全章通して、メディアは総じて論的根拠が不十分なので、信用しなくていいとのこと。その点は同意。
    悩みが解消することはないと思うが、社会人の先輩の意見を拝聴という意味で、大学生20代あたり、4章を読んでみることをおすすめします。

  • 普通に働くことがどこまでしんどくていいのかをもうちょっと書き込んでもらってもよかったのではないかなあと。読者は大学生だろうけれど、彼らはこういう本読むことあるのだろうか。

  •  『普通に働け』っていうタイトルがまず、秀逸。
    短いのに、インパクトがある。サブタイトルもなし。
    長くて明らかに狙ったようなタイトルが多い新書の中で、これは良い。
    脳内にガツンと響いた。
    そして、割と骨太の本だった。

     普通の定義が読んでいても難しかったけれど、大企業でも外資系にも勤めていない、天才でも秀才でもない人たちが世の中には大半いて、その人たちが世の中を動かしているということ。
     一部の信憑性の薄いデータや都合のいい部分だけをピックアップした、絶望感を煽るもの、反対に奇跡的な成功を夢見させるもの、センセーショナルな話題性を作るための結論ありきの記事に踊らされない(論じられている元のデータを確かめる)こと。
     天才も秀才も成功者も、謙虚さを失わずに陰で惜しみない努力を重ねており、努力できるのも才能だということ。

     なるほどなぁ、と思う。
    情報に翻弄され、一喜一憂することがある。でも、その情報は一元的に都合のいいように切り取られた断片に過ぎないかもしれないし、それで絶望する必要は無いけれど、一部の天才たちが起こした奇跡に自分を無理に寄せることも出来ないのだ。
    今できることをしよう、ということが「普通の人」の幸せなのだろうな。

     第三章からが特に面白い。
    第四章の鹿毛康司氏との対談、海老原嗣生氏の解説まで、なるほどなぁが詰まっていた。

  • そんなに皆すごくないよ、メディアに踊らされるな、ってことかな?
    でも最後の対談は結局、華やかに見えて裏ではどろどろだよ、成功したかったら努力しろ頑張れみたいに受け取れた・・。
    解説が分かりやすかった。
    日本も欧米のように階層がわかれててもいいな。普通の人は普通の働き方でよい。

  • 流し読み
    最後の消臭力の人とのしゃべりはうーん。
    興味深かったけど。うーん。
    結果出した人って喋れるよね。

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著者プロフィール

千葉商科大学准教授

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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