- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781650623
作品紹介・あらすじ
SEALDsは日本社会を変えうるか?
若者はなぜ、荒野をめざすのか。これほど違う、日中台香、若者の社会変革の〝ゆるさ″と強熱。
安保法制の是非に揺れた二〇一五年秋、一躍注目を浴びた明治学院大学生・奥田愛基率いる学生デモ団体「SEALDs」の本質と運動体としての脆弱さ、それ故に受け入られた社会変革の可能性は、ひと夏のメディアの消耗品に終わるか、否か。己の人生を擲っても巨大な中国共産党権力と闘い、成果をあげた台湾の「ひまわり革命」。植民地化に異議を唱える香港「雨傘革命」のリーダー無き戦略性。中国問題に健筆をふるうジャーナリスト福島香織が東アジア若者デモの深層を現地取材! その構造問題を浮き彫りにする国際政治レポート!
感想・レビュー・書評
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やはり現状への危機感の違いですね。
日本は敵が安倍政権だもん。安倍さんが世界で恐れられているか、ってーと、そんなことないわけだし、中国共産党を相手にしている台湾、香港との危機感のギャップは想像もつかないくらい大きいのでしょう。
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日本の安保法制反対を叫んだ「SEALDs」。
台湾のサービス貿易反対を訴えた「ひまわり学生運動」。
香港の真の普通選挙を求めた「雨傘革命」。
これらを一章ずつさきながら、背後関係も含めて解説しています。
「SEALDs」に関しての第一印象は、著者とまったく同じでした。
だからよけいに、入っていきやいと感じた一冊でもあります。
ただ、日本のデモと比較すると、台湾、香港は命がけというか、気迫の違いを感じました。 -
台湾デモ、香港デモの取材を通して、SEALDsデモとの比較を試みた本。並べて眺めてみるのも勉強になる
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シールズ(日本)、ひまわり学運(台湾)、雨傘革命(香港)。この3つの学生運動の特徴が、がそれぞれの対比を通して分かりやすく浮かび上がってくる。昨今の学生運動について論じられた(かつ分かりやすい)本というのは稀なのではないか。
シールズという組織が漠然としたものになってしまうのは(少なくとも自分にはそう見えるのだが)台湾のひまわり学運や香港の雨傘革命にあるような"切実さ"ーそれはつまり「中国」という差し迫った脅威であるわけだがーが存在していないということだろう。つまり、明確な目的が国民で共有されていないのだ(これは本書の最後で「核心的利益」という言葉で言及されている)。だからこそ多くの人にとってシールズという組織が「なぜ」運動しているかが分からず、だから支持することもできない。
でもこれって、これまで日本が「日本という国が目指す方向性」というような抽象的な議論を避けに避けてきた結果である気もする。結果経済が発展したのは良かったのかもしれないが、成熟社会で経済の発展も見込めない今日、そうした理念を持たない国は脆い。シールズにしたってその理念を明示できてるとは言い難い。彼らは「戦争反対」と既存の価値観に異を唱えているだけに過ぎず、彼らとて自分たちの理念を持っていないのだから。
シールズのトップ(と思われる)人物は明治学院大学の学生、対するひまわり学運は台湾大学と清華大学。台湾の人が 東大だった多少インパクトは違ったのかな、と思わなくもないし、もう少し運動を効果的にできたのではないだろうか、とこれは本書とは関係のない個人的なシールズへの感想。東大ならいいとか学歴が大事だとかそういうわけじゃないけれども、なんか頭悪そうに見えるんだよね…。戦略も何もないよね、彼らには。