現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781650852

作品紹介・あらすじ

この30年、日本の論壇はどのように在ったのか。たとえば、「若者論」。バッシングから擁護へと大きく舵を切った「若者論」の背景には、年長世代の粗雑で自己肯定的な「世代論」があった。昨今のリベラル知識人のSEALDsへの前のめりな評価は、そのような若者の「政治利用」の帰結でもあるのではないか?本書で批判の俎上にあげられているのは、柄谷行人、上野千鶴子、内田樹、高橋源一郎、宮台真司、小熊英二、古市憲寿など。60年代・70年代・80年代生まれと、世代が異なる個性的な論客3人が現代ニッポンの言論空間を語り尽くす刺激的な鼎談。

感想・レビュー・書評

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  • ●鼎談なので読み易いが、色々と人物を知っていないと楽しめない。今まで読んできた言論人が沢山出てきて面白かったなあ。
    ●若者論はみんな大好き。きっと気軽に斬り込めるからだろうなあ。当の若者にとってはいい迷惑だろうが。
    ●やはり3人とも頭の回転が早そうで、途中は難しいなあという部分もあった。
    ●経済面が弱すぎるという指摘はもっともだと思う。
    ●これからの時代に台頭してくる言論人は誰なのかなあ。個人的には古市さんがどこまで生き残るのか見守りたいですね笑

  • 重版

  •  「30年史」とあるが歴史的な叙述ではない。全体に通底するのは、リベラル/文化左翼およびそこに属する論壇人たちへの批判である。かれらがコミットしているのは、脱成長・成熟社会論を前提とする方法論である。これこそ日本の論壇の宿痾だと言えよう。
     「はじめに」で北田氏が指摘するように、「経済を文化の下位に置く文化的左派の方法論は、特定の世代との連帯を切り捨て、その精神論的正当化、あるいは自らが属する世代の自己愛撫でしかありえない」(7頁)。リベラル/左派が踏まえるべき自己批判として読んだ。

    ※ 姉妹書として以下の本を薦める。
     ◉ブレイディみかこ・松尾匡・北田暁大『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう:レフト3.0の政治経済学』(亜紀書房, 2018)
     ◉稲葉振一郎『増補 経済学という教養』(ちくま文庫, 2008)
     ◉飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』(ちくま文庫, 2012)

  • ロスジェネ世代を無視した内田樹の発言をきっかけに生まれた鼎談

  • さして論壇を仔細に観察している風でもない北田先生のマウントのだしにつかはれてゐるだけなので、ロスジェネのひとりとしてつらい。「当時は黙って聞いていましたが」(p.182)といはれても、面とむかつていへないのなら、そのままだまつて墓までもつていつて、としか思へない。

  • 今の40代が若者だった時には論壇で批判され、その論壇は今の若者を賞賛しています。そのため40代はロスジェネという言葉の通り、忘れ去られようとしています。その論調。その言葉の発言者について疑義を提する著者たちの対談です。若者論を中心に展開されていますが、その中から若者論で食べていく人々の主旨が分かります。この辺りのことが、社会批評の30年として語られています。
    論壇を主導する中心として著名な方々のことが語られていますが、それを批判的に論じられています。ブランドとなった人々の言葉を鵜呑みにするのでは無く、ちょっと立ち止まって自分で考える。その苦しみと必要性を感じた一冊でした。

  • ロスジェネ・氷河期世代に対する論説を振り返り、リベラルによる「若者バッシング」を指摘する。

    最近日経系メディア中心に目にするバブル世代論もバブル世代の力の陰り(組織における氷河期世代との逆転、など)が見受けられるようになってきたことが背景にあると思うが、「若者」が同世代をどう扱うか。ヘイトスピーチを若者の「被害者意識のほうが優っている層」が担い手とする分析(72ページ)の観点からは見もの。

  • 疲れているときは鼎談や対談の本を読むに限りますね。論壇はあるのかないのか僕にはよくわかりませんが、有名論客に対する3人の評価を楽しみました。

  • 論客として活躍されている著名な方々を批評する鼎談形式の一冊です。自分の知識不足により、知らない論客の方が登場したのが大半でしたので、勉強後に再度読んでもいいかなと思いました。ツイッターのつぶやきが世論の反応とはだいぶ違うということは、頭に刻んでおきたいと思います。

  •  北田暁大 栗原裕一郎 後藤和智の三人がここ30年の若者バッシングを総括する。

     若者バッシングを軸にここ数十年の社会学の論客達を振り返れて、読むと色々と整理されたように思える。
     確かに内田樹らの論説は無責任に思うし、古市憲寿ブームみたいなものもこれを読むと流れの中の一つとして感じられる。
     もうちょっと何か芯があればここ十数年でキラリと光る本になったように思える。何か惜しい。

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著者プロフィール

東京大学教授

「2022年 『実況中継・社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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